【おすすめ本】ブランド・パワー/ブランディングを数値化する
こんにちは、寺尾 洋です。今回も、ブランドに関する良書を読んだのでシェアしたいと思います。結論としては『ブランド・パワー』という書籍です。
✔こんな方におすすめの内容です
ブランディングは数値化できないから取り組みづらい、
ただ、デジタル広告等のマーケティングだけだけでは限界を感じている
どうにかして指名検索からのリードを増やす施策を納得感持って取り組みたい
✔概要
これまでブランディングと言えば概念的な話であり、施策に落とし込んだ上でトラッキングすることは難しいとされてきました。ただ、その中でこの本はブランド・パワーという定義を使ってブランディングを数値化する手法が体系的にまとめられています。
✔目次
ブランド・パワーとは?
ブランド・パワーの各指標の定義とは?
ブランド・パワーを活用した事例紹介
ブランド・パワーとは何か?
ブランド・パワーとはブランディングの効果検証を可能にするためのフレームワークです。イメージにすると以下の通りになります。
上図の通り“ブランド想起”と“ブランドイメージ”によってブランド・パワーを可視化することができます。
これまでブランドに関する著名人であるデービッド・A・アーカー(カリフォルニア大学の名誉教授)やケビン・レーン・ケラー(ダートマス大学の教授)がブランド・エクイティに関するモデルを提唱してきましたが、ブランドを数値化できるモデルではなく、概念どまりになっていました。
アーカーモデル
ケラーモデル
それらを踏襲しながらもブランドを可視化して実務レベルで活用できるようにしたのが、今回のブランド・パワーになります。次章ではブランド・パワーを構成する要素の意味とどのように数値化することができるのか、について紹介したいと思います。
ブランド・パワーの各指標の定義とは?
ブランド・パワーにおける各指標の意味とどのように可視化するかについて紹介します。
ブランド・パワーは以下の通りです。
【ブランド・パワー】
⑴ブランド想起
知っているか
思いつくか
購入候補に入るか
購入したか
⑵ブランドイメージ
必要な機能はあるか(POP)
独自の機能はあるか(POD)
⑴ブランド想起
ブランド想起とはブランドに対する認知の“量”と“質”を測る指標です。それぞれ“量”と“質”に分けて数値化をします。
量=ブランドがどれくらいの顧客に知られているかという認知の量
質=顧客がブランドにどのくらい興味を持っているか階層別に分ける認知の質
ブランド想起を評価する軸としては以下の通り4つです。
知っているか=ブランド助成想起率
思いつくか=ブランド純粋想起率
購入候補に入るか=ブランド想起集合率
購入したか=ブランド第一想起率
上記4つの意味と可視化する方法を紹介します。
知っているか=ブランド助成想起率
意味:複数挙げたブランド名の中で自社ブランドを知っている率
可視化する方法:この中で知っているブランドをすべて選択してください(複数回答式)→全回答者のうち、自社ブランドを知っていた人の割合を算出する
思いつくか=ブランド純粋想起率
意味:カテゴリを提示した時に、自社ブランドの名前が挙がる率
可視化する方法:○○のカテゴリの中で思い浮かぶブランドはありますか?(記述式)→全回答者のうち、カテゴリ内にあるブランドとして自社ブランドを挙げた人の割合を算出する
購入候補に入るか=ブランド想起集合率
意味:提示したカテゴリにおいて購入権当時に自社ブランドが選択肢として想起される率
可視化する方法:○○のカテゴリで思い浮かぶブランドとして購入候補に入るブランドはありますか?(記述式)→全回答者のうち、該当カテゴリで購入候補に入るブランドとして自社ブランドを挙げた人の割合を算出する
購入したか=ブランド第一想起率
意味:カテゴリを提示した時に、自社ブランドが一番に挙がる率
可視化する方法:○○のカテゴリで直近○○ヶ月以内に購入したブランドをすべて挙げてください?(記述式)→全回答者のうち、自社ブランドを該当期間に購入した人の割合を算出する
ブランド認知という言葉一つとってもそれぞれ階層があり、認知の中において、どの階層にいるターゲットの認識を変えるためのコミュニケーションが今、必要なのか?を考えることが極めて重要です。また、我々マーケターとしては“購入したか=ブランド第一想起率”を最大化することがゴールとなります。
またもう1つ重要な観点としては購入した層のロイヤリティの深さをトラッキングすることです。商品を購入した層の中でもその商品の好き度合いは以下の通り変わります。
ノーマルユーザー:リピート率
ロイヤルユーザー(低):愛着率
ロイヤルユーザー(中):推奨率
ロイヤルユーザー(高):発信率
ノーマルユーザー:リピート率
意味:自社ブランドを購入したことがある人のうち、2回以上リピート購入している人の割合
可視化する方法:この中で過去1年以内にリピート購入したブランドはありますか?(複数選択式)
ロイヤルユーザー(低):愛着率
意味:リピート顧客のうち、ブランドに対する愛着を持っている人の割合
可視化する方法:自社ブランドに関して当てはまるものはどれですか?(段階評価式:とても好き/好き/普通/あまり好きでない/まったく好きでない)
ロイヤルユーザー(中):推奨率
意味:リピート顧客のうち、他者にブランドをおすすめしたいと思う人の割合
可視化する方法:自社ブランドに関して、当てはまるものはどれですか?(段階評価式:積極的に推奨したい/推奨したい/普通/あまり推奨したくない/まったく推奨したくない)
ロイヤルユーザー(高):発信率
意味:リピート顧客のうち、不特定多数の相手にブランドについて発信している人の割合
可視化する方法:自社ブランドに関して、当てはまるものはどれですか?(段階評価式:積極的に発信している/発信している/普通/あまり発信していない/まったく発信していない)
一般的にリピートしたユーザーすべてをロイヤル顧客と認識している人が多いですが、必ずしもそうとは限りません。ロイヤルユーザーの中にもそれぞれ階層があることを認識しながら、施策を考えていくことが極めて重要です。
⑵ブランドイメージ
ブランドイメージとは顧客がブランドをどのように認識しているかを示す指標です。ブランドから連想されるイメージの強弱を競合と比較しながら数値化します。それぞれ以下2つの指標で可視化を試みます。
POP(Points of Parity)
POD(Points of Difference)
POP(Points of Parity)
意味:あるカテゴリにおける商品・サービスに対して顧客が最低限求める条件
可視化する方法:カテゴリの中で商品・サービスを購入する際に重視することは何か?重要度の高い3つを選択してください(選択式)
POD(Points of Difference)
意味:あるカテゴリの商品・サービスにおいて自社ブランドが他社に対して差別化されている条件・要素
可視化する方法:自社ブランドといえばのイメージで当てはまるものを全て選択してもらう(複数選択可)/競合ブランドといえばのイメージで当てはまるものを全て選択してもらう(複数選択可)
上記の設問によってブランドイメージを聞き出すことができます。(アンケート回答者の内Aという項目を選んだ人の割合、Bという項目を選んだ人の割合を出すことで可視化できます)
ブランド・パワーを活用した事例紹介
▼事例
テーマ:ブランド認知が弱く、キャズムを超えられない
企業例:SaaS型のサービスを提供しているB2Bスタートアップ/新興のシャンプーブランド
フェーズ:特定界隈での評判は高いが、まだ一部の業界にしか知られていない企業
ブランド・パワー:以下画像の通り
▼キーラーニング
競合と比較した際に助成想起率と純粋想起率が低い
ただ、リピート率以降の数値は競合と同水準
▼想定されるアクション
ブランド名の認知を獲得する
まず助成想起率の向上をはかることで売り上げ拡大をできる可能性があります。その中で、認知を上げやすいTVCM・動画メディアなどの媒体を使いながら、機能面というよりかはブランド名を覚えてもらうためのクリエイティブコミュニケーションを取ることが1つです。
今回の集計結果から他にも考えられるラーニング、アクションがあると思いますが、このような感じでブランド・パワーを活用することでブランディング施策により売上最大化を図ることができます。
まとめ
これまで以下の3つについてまとめてきました。
ブランド・パワーとは?
ブランド・パワーの各指標の定義とは?
ブランド・パワーを活用した事例紹介
是非、ブランディング施策を進めていく際に参考にしていただければと強くおすすめします!
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