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旅のつづき(デンマーク・6日目)

11月29日(金) コペンハーゲン・雨のち晴れ
もはや時差ぼけは確実に解消され、6時間程ぐっすり眠ることができた。こうなってくると、目覚めも心地よく、前日のつかれもすっきりする。朝のシャワーも気持ちよく、心地よさを抱えたまま、ホテルの朝食会場に足を運ぶ。今日も、最高の朝食である。朝、食べるものを少しずつ変えており、今日は、デニッシュを中心に食べる。そもそもデニッシュというものの、本来はオーストリアがはじまりと聞いたことがある。きっと、高カロリーではあるが、寒い冬が近いデンマークで1日歩き続けているのだから、きっと消費してくれるだろうと勝手に解釈する。甘いデニッシュとコーヒーは本当に最高だ。

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コーヒーだが、今日は、デンマークに行くと必ず購入するようにしているコーヒーコレクティブに行くことにしている。昨年は、そこで2万円分のコーヒーを購入して帰国した。家族は呆れたが、私の職場のコーヒーの質がぐっと上がるのだから、私のテンションは高い。ただ、レイキャビク・ロースターズで1万円分購入したので、今回は昨年の半分で良いと思う。あまりお酒を飲まず、甘いものが好きな私にとって、コーヒーは生活必需品だ。鮮度などを考えると、一度に大量に購入するよりも、地元のコーヒーカウンティでその都度購入する方が美味しいのだが、ただ、ちょうど旅に出るこの時期になったときに、海外で購入した豆がないということで、旅に出るモチベーションにもなる。来年は、ノルウェーに行きたいと思っているので、すでにコーヒー文化があるノルウェーのロースターもチェック済みだ。

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さて、今日のスケジュールだが、まだ、朝が早いので、少し時間があることから、ゆっくり外出して、まずは、s-togに乗って、新しくできた駅「ケーエ・ノードステーション」に行くことにした。駅が目的なので、単に電車に乗って、駅で降りて見回ったあと、すぐに電車に乗ってコペンハーゲンに戻るという、なんとも時間潰し的な行動ではあるが、まず、コペンハーゲンカードがあるからこそできることなのだ。そして、そのままデンマークの食品市場に行き、そこでコーヒー豆を購入、さらには、近くにある毎年足を運んでいるアンティークショップに行き、好きなカップを必ず1個、自分のために購入するようにしている。そして、そのまま、ストロイエに行き、レゴ本店でこどもたちのお土産を買い、オーガニックを扱うスーパーで有名なイヤマに行き、帰国当日に購入するデンマーク産のバターを除いて、お土産を購入することにしている。何気に、塩を買ってきて欲しいとの声が強い。イヤマで扱っている塩は、実はアイスランド産の塩なのだ。この海塩がすごく美味しくて、生野菜も、この塩とオリーブオイルで食べると、旨味もあり最高に美味しいのだ。やはり、人間に海からの塩は重要なのだと思う。


デンマークでは、世界一のレストランに輝いた「ノーマ」のおかげで、食文化が花開いている。器もまるで日本の陶器のようなものばかり。日本からの影響もかなりある。そういった「北欧料理」とも呼べるジャンルが成立したのも、北欧におけるその素材の豊富さに、現地のひとたちが気づいたからに違いない。本当に、いろんな美味しいものがあるのも、一つのたのしみである。また、デンマーク産のバターは、最高である。朝食でパンを食べるときに、私は、日本では絶対にしないことだが、かなりバターをつけて、いや、もはやのせてパンを食べるのである。このバターこそが、最高に美味しいのだ。体温で溶けるそのバターのあっさりとした、かつ奥深い風味が、パンを最高に引き立てるのだから。日本のバターのように、独特の癖もなく、食べても食べても胃がもたれることはない。ヨーロッパの乳製品は、やはりチーズやヨーグルトも含めて、最高に美味しいので、是非、試して欲しい。SASの機内で出てくる食事についているバターも、例外なく美味しい。こうやって書いている今も、バターをつけてパンを食べたくなるから、中毒性は高い。ということで、毎年、頼まれて購入してくるのが、バター。これを250グラムのバターの塊を4個トランクに入れて、日本に持ち帰るのだ。行きのトランクが、10キロ程度なのに、帰りは23キロになるのは、コーヒーとバターを入れているからだ。もう、本当に重たすぎて別料金が取られる勢いで冷や冷やする。

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午前中は生憎の雨で、ケーエ・ノードステーションについたときは、寒くてその場にじっとしていられなくて、すぐにとんぼ返りしてきたが、コペンハーゲンについたときには、少しずつ晴れ間が見えてきた。コペンハーゲンに来てはじめての青空に、さすがに私も興奮した。おかげで、ザ・レイクもきれいに写真に納めることができた。

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デンマークは、建物も生み出されるものも、デザイン性が高いのは誰もが知っているが、新しくできる駅も例外ではない。昨年は、図書館巡りを行なったが、図書館も図書館の機能を超えて、コミュニティーとしての役割が大きく、社会としてのデザインも高い。子育て支援センターと名をつけないと支援ができない日本と、図書館の中にその機能があるとするならば、どちらが心理的ハードルが低いだろうか?もう、答えを書く必要もない。駅も例外なく、素晴らしいデザインで溢れていたし、それ以上に、地域環境との調和や、自然との調和、機能とバリアフリー。どれをとっても完璧なのだ。誰のための駅なのかが、明確なのだ。本当に、感嘆するとはこういうことだと思う。社会が人に優しい。

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それは、政治が人に優しいし、その政治を支えるのが、民主主義を第一に教える教育システムがある。それを受け入れるデンマーク人の懐の深さがあるが、その背景には、それまでの厳しい生活環境があったからに他ならない。「人こそが国家の宝」とその方針を掲げた社会の結果が、今のデンマークなのだから。しかし、ほんの数十年前の日本もそうだった。誰もが、安心して生活を営むことができ、こどももおとなが信用できる時代があったのだ。日本人は、なぜ、今の様な状況になってしまったのかを、もう一度考える必要がある。

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コペンハーゲンに戻り、すぐに買い物にでかける。留守を守ってくれている家族のため、職場の人たちや、お世話になっている人たちの分も。結局、行く時よりも帰るときのバゲッジの重さが2倍以上になるのは、おみやげのせいでもある。さすがに5回目ということもあり、何を買っていけば良いかはわかっているつもりだ。おみやげをイヤマで買うのは、近くにあるからではない。デンマーク人の生活に対する考え方が色濃く出ているからだ。イヤマにある商品の多くは、オーガニック製品を扱っている。保育園、幼稚園で出される食べ物のオーガニックの割合が法律で決まっているのがデンマーク。その意識の高さは、添加物まみれの日本とは大きく違う。イヤマのキャラクターの可愛さもさることながら、もっとも重要なのは、食事や生活用品に対する意識の高さ。私個人としては、高いとか安いとかで考えたくない。「生活することへの丁寧さ」とでも表現したらよいのだろうか、そういった丁寧に扱われたものだからこそ、おみやげに適していると考えるのだ。こどもは国家の宝であれば、その身近にあるものへの意識が高いのは当たり前であり、そういった国民が求めるデンマークだからこそ、良いものが提供されている。デンマークは、「性善説」で成り立っている。日本の現状と比べると泣けてくるのは、ともに生きる者の真摯な思いを国レベルで感じることができるからだ。私は、これこそが「福祉」なのだと考えている。デンマーク最終日は、ビュッフェで食事をすることにしていた。そこで、知的障害であろう施設の職員と利用者の団体が、私が誘導された席の近くのテーブルに座っていた。みんな楽しそうに過ごしていたが、そこでの周囲の関わりがとても印象的だった。ダウン症だと思われる男性は、時折、スタッフの目を盗んでうろうろと店内を歩き回り、バギーに乗った人は、時折、むせたように激しく咳き込み、周囲に嘔吐でもするのではないかと思うくらいの大きな音をたてているが、誰も気にする者はいない。私は、私自身がスティグマを持ち合わせており、この中にいることが果たして良いのかとすら思ってしまったが、店員もオーナーも、近くにいるお客も、だれもそのことを咎めたり、嫌な顔をする人はだれもいないのだ。この状況を、異質にすら感じる日本人である私は、福祉職員として働く者として、未熟であることを認めざるを得ないのと同時に、デンマークの国民に染み付いている「ノーマライゼーション」の真髄を見ることになった。支援の質だの療育だの言う前に、他者を受け入れ、認めること。こういったことが、福祉国家を成立させている大きな理由なのかもしれない。最終日の夜に、私は彼らからすばらしい体験をさせてもらった。若い女性のスタッフが、彼らが帰る頃に「楽しかった?」と笑顔で話しかけていた。「もちろんだよ!」と知的障害であろう男性が返答していた。お互いににっこり笑っていた。これこそが、ともに生きるということだ。

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そして、最後の夜は、毎年、チボリ公園を見ることにしている。コペンハーゲンカードをみせることで、無料で入場することができることもあるが、ヨーロッパのクリスマスに対する力の入れようは半端ではなく、1ヶ月前からカウントダウンが始まるように、思い入れが違うように感じる。今年も、チボリ公園の入り口のイルミネーションはとても綺麗だ。同じ写真を毎年撮っているが、たとえ同じであっても、チボリ公園が持つ魅力は色褪せない。アンデルセン像が見守る中、チボリ公園はこれからもこどもたちにたくさんの夢をみせてくれるのだろう。そして、デンマークの人々は、次の世代のこどもたちに、その思いを引き継いていくのだ。私たち日本人は、こどもたちに何を引き継ぐことができているのだろうか。私たちおとなが、すべてのこどもたちに夢や希望、イルミネーションに彩られた、キラキラした思いを伝えることができているのだろうか。

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