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英語を教えているから思うこと

自分の塾を始めてすぐ auntの訳に戸惑う子どもたちに気が付いた。aunt: おば、おばさんという意味を見ても、ピンとこない生徒が、中学生にも少なからずいた。今では 「おばさん」と「おばあさん」の区別がつかない大学生までいることに、、、慣れてしまっている。

伯母さん、叔母さん、小母さんの区別がつかず、本来どの「おばさん」も、自分の身近にいる年配の女性に親しみを込めて使うものだったはずなのに、いやがる「おばさん」が多すぎて、身近な人に「おばさん」を使わなくなっている。「伯母・叔母」を〇〇ちゃんと呼び、友人のお母さんは、〇〇くんのママ、〇〇ちゃんのお母さんと呼ぶ。

私たちは、父、母の姉妹を「伯母さん」または「叔母さん」と言い、友人のお母さんや近所の親世代の女性を「小母さん」と呼んできた。どのおばさんも、身近で親しい女性たちだった。

今、言葉のイメージが本来の意味とは少し違う形で先走りする。英文を和訳しても、私が見ている光景と生徒たちの見ている光景は大きく違っている場合が多い。

孫が”I”として語る"grandmother(祖母)"の物語。物語を読み終えたあとの理解度をチェックするために、内容に合っているかどうかを問う問題に、"granddaughter(孫娘)"が"I"の代わりに使われていた。内容と同じことが書いてあったけれど、読んだ高校生の中では、"grandmother"は「おばあさん」と訳され、その辺の「年老いた女性」と解釈されていたから、その番号が選ばれることはなかった。

telephoneが「電話」という意味だと告げると、いつの間にか彼らの頭の中で「携帯」や「スマホ」に翻訳されていることはもはや当たり前。昔のセンター入試の会話穴埋め問題で「今、彼の電話番号がわからない」理由に、「電話帳がないから」ではなく、「電話がないから」を、そのときの授業を受けていた高校3年生全員が選んでいて、苦笑したこともある。

外国語を学ぶことは、自分の母語を使う能力と自分が住む社会の在り方を自分たちに思い知らせる。時代の変化と笑えるだけのものもたくさんあるけれど、子どもたちの日本語力と語彙力の低下は、大人たちの心がけを少し変えるだけで止められるものも多いのではないかと思うことも多くある。

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