てらこやのひび ㉖
-これ、足し算でするの、引き算でするの?
算数の文章題を前に、小学生がよくしてくる質問だ。
少し大きくなれば、足し算が掛け算、引き算が割り算に代わる。
そして、中学生になると
ーこれ、何?
ーこれ、どこが間違ッとんの?
という質問が出てくる。
私は、「これ、足し算でするの?引き算でするの?というのは、答えを聞いているのと同じことです。計算問題ではなく、文章題は、それを考えるのがあなたの仕事だから。」
そう言いながら、足し算はどんなものを計算するときに使い、引き算はどういう風に使うのかを説明し直すことが必要なら、そうするようにしている。
そして、中学生の
ーこれ、何?
には、「多分、英語の問題だな」とか「数学の問題です。」と応えることにしている。
ーこれ、どこが間違ッとんの?
には、「それをまず考えるのが君の仕事です。」と、少し時間をとってもらう。
そして、そんな質問をする生徒たちには、折を見て
「言葉を口に出す前に、10秒ほど考えよう。」という話をする。
最近、子どもたちとの会話が音声案内のように思うことがある。
音声案内は、多くの場合、私たちの質問に真正面から答えてはくれない、私たちが必要としている言葉が聞こえてこない。
子どもたちの質問も、返事も、そんなことが増えている気がする。
火曜日
ー私って、語彙力ない?
と、聞いてきた中学1年生がいた。
「語彙力がないのではなく、人の話をきちんと聞けていないのだと思う。」
そして、「人の話をきちんと聞く姿勢ができていないと思う。」
それは、「自分の発した言葉の波紋をきちんと考えて話をしていないから。」
だから
「一度、言葉を発する前に考えたほうがいいと思う。」
と、伝えた。難しい顔をしていたけれど、一度に直せなくてよいから、少しずつ理解して、少しずつ改善していってほしいと思っている。
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