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くつやのこびとはいまどこに?

まず服を買えと言われたから、断捨離をはじめた。
滞っていたエネルギーが回り始めているのか、どこから手をつけたらいいのかわからないほど、やることも思いも湧いてくる。

服も買うけど、カバンとくつを買おうと思った。
鞄と靴って、間違えそうなほど漢字が似ている。だから感じをそろえるとおしゃれに見えるんだろうな。
自分に似合うカバンって何だろう?
自分に似合うくつって何だろう?

高校生の頃、行きつけの靴屋さんがあった。
自称、くつ道楽の父が私に分不相応とも思える靴を買ってくれていた。
大学に入る前、入学式用のくつを買っておいでと、10万円くらいは使えるからとカードを1枚渡されて、買いに行った。

これはいてみて。あらやっぱりいいわね。
これは?うん、いいね。
とおばちゃんに言われるままにはいて、気に入ったものを3足買って帰ったら、母にそんなつもりじゃなかったと、4年分先払いだわと言われてしまったことがある。

でもその靴をはいている自分は、なんか自信を持っていられた気がする。すてきなくつね、とほめられた。3足のうちの1足は今もまだはいている。
大学時代、お金ないくせにちょっといいくつをよく買っていたのは、あのおばちゃんの魔法が効いていたからかもしれないと思う。

そのくつ屋さんはそれからしばらくしてお店をたたんでしまった。
ああいう本物の小人がいる店が、生き残りづらい時代だったと思う。私のような変なこどもが生きにくい時代だったもの。

おばちゃんの魔法の効いたくつと、この度お別れしようと思う。
でも次のくつを、どうしてもあのおばちゃんから買いたいと思った。

思いつく限りの人脈をたどってみようと思って、あの店で靴を買っていた、店がなくなったことを一緒に嘆いたことのある友人に、どこに行かれたんだろう?と聞いてみた。ちょっと無謀だとは思ったけれども。
そしたらね、昔おばあちゃんが働いていたから、お母さんに聞いてみると言ってくれた。
え?そうだったの?そんなこと今まで一言も言わなかったじゃない。

もしかしたら会えるかもしれない。
こうやってまた一つつながっていく。
またワクワクがとまらない。

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