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今日は何をつくろう


朝ごはんの調達に、畑へ向かった。どんよりした空を横目に、冬野菜を間引いていく。ついこの間まで、夏野菜を収穫していたのに。 

今日は何を作ろう。

野菜は畑から取ってくるし、魚は漁協から買ったり、ご近所さんから貰ったりする。島食縛りが窮屈で、足りないものは買い足していた春と夏。今は『とれたて』ばかりが食卓に並ぶ。
 
毎日、毎食繰り返す。創造して、作って、失敗して、成功して。この組み合わせは新しいとか、定番だから少し趣向を凝らしてみようとか。

 旬の美味しさに気付いた。

個人として2回目の担当になる留学弁当。畑へ直接仕入れに行ったり、港まで足を運んだり、見学先の酒蔵でインスピレーションをもらったり。教えてもらったことの復習と、新しいことへ挑戦をしながらメニューを組む。
 欲しかったものは欠品してるし、想像した形にならないし、順調ではなかった。当日も、料理を仕上げながらもっと良くなる方法を考えた。最後の『これ』を形にしていく工程は難しく、やり甲斐がある。

 五感で感じる新しい組み合わせも、昔ながらの作り方も、使えるものは全部使いたい。
 人と人を結ぶ、血が通った一皿を今日も目指して、この島で過ごす最後の季節を辿る。

(文:島食の寺子屋生徒 田村)