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七夜月のいろは


7月はあっという間すぎて、こんな風に一年が終わっていくのかと少し怖くなるくらいでした。
今月の一大トピックは、これまで魚の仕入れでお世話になっていた大敷の定置網漁の漁船に乗せていただいたことです。朝5時すぎに集合し、小雨の降る中の出航。
水揚げされる魚の種類や、船の出る時間が日によって変わるのはなぜか、定置網がどんな仕掛け網なのか全く分からず、知りたいと思っていたので、直接漁師さんに聞ける貴重な時間でした。
その日は幸運なことにマグロが5本に、カジキマグロが1本あがりました。100キロ近くの巨大に紐をかけて吊り上げる。テレビでしか見たことのない光景に寺子屋メンバーは大興奮。

 船の上で、新鮮そのものの白イカを食べさせてもらいました。漁師さんがそうめん造りしてくださった白イカは、ねっとりとした食感とやわらかい甘みがあり、本当においしかったです。イカは真水で洗うと旨味が逃げてしまうので、海水で洗うといいこと、あがってすぐは透明だったのが、赤から白へと色が変わることを初めて知りました。

 印象的だったのは、昨年沖垣網をのばし、漁獲量が大幅にアップしたというお話。網を伸ばすことは数年先の未来を見据えた投資。魚の回遊や海の地形の調査だけでなく、昔の網の形を調べたり、他の漁協と情報をシェアしながら、模索されたチャレンジ。地元の漁師さんの理解を得るのが本当に大変だったと聞き、そのための努力の過程を少しでも知ることができてよかったです。
これからもたくさんお世話になる大敷のことを、もっともっと学びたいです。

 また京都から9月に寺子屋が研修に行くお店、辰巳屋さんが研修に来られました。
印象的なことは、辰巳屋さんの方々が料理する時の姿でした。辰巳屋さんがまかないと寺子屋で出す弁当の仕込みを手伝ってくださいました。まず、まかないを作る前のミーティングが10分以内とスピーディ。そして、料理に取り掛かるとそれぞれが持ち場について、動きに無駄がない。とても静かだったのが印象的でした。今の私たちが料理する時は、ミーティングはだらだら長引いてしまうし、仕込み中も分からないことが多いので相談し合ったり、手を止めて話をしたりしている。寺子屋という料理学校ではありますが、このペースでは無駄が多く、いつも注意される時間への意識の低さに繋がっている。辰巳屋さんのプロの動きを見せていただくと、身が引き締まる思いでした。

 大敷の漁師さんのお話や辰巳屋の左さんのお話から学んだことは、今をどう捉えるかということ。目の前にある食材を扱って料理するのは、だれでもできること。
生産の現場に仕入れに行き、漁師さん、農家さんに直接お話を聞けるこの環境で、もっと貪欲に食に興味を持つ。この料理がただお腹を満たすだけのものに止まるか、もっと別の意味あるものにするかは自分の心持ち次第だと思います。
ビジョンを持ち、そのために今をどう生きるか、何に時間を使うのかを本気で、真剣に考えないとこの一年はあっという間に終わってしまう。なんとなく過ぎていく春夏秋冬の季節の中で料理を学ぶだけで終わるか、目的を持って取り組んで料理を学ぶかで、この一年の価値は大きく変わると思います。

挑戦したい、かっこいい大人たちと出会えてそんな想いに火がつきました。

8月の目標
 最近よく、自分は伝えるのが苦手だなと感じます。これから留学弁当の制作をしていくことになり、お互い指示を出したり、手伝ってもらうことが増えるので、より伝える力が必要になると思います。
そして思っていることをはっきりと言い合える関係性をみんなと築いていきたいです。
もう一つは、左さんが何度もおっしゃっていたメリハリをつけること。話を聞く時は真剣に聞く、料理をする時は素早く動く、片付けは丁寧にする。学びに貪欲に、楽しむときは全力で楽しむ。
8月もがんばります!

大好きな母屋の2人と笹

(文:島食の寺子屋生徒 前田)