第5章 自由への侵害
世耕経済産業大臣がこだわった省令形式
真面目に働いていた企業の営業の自由を奪い、破綻にまで追い込んだ、我が国の環境政策、レジ袋有料化に、違和感を感じる方はいらっしゃるかと思います。
それでは次に、法律の視点からレジ袋有料化の異常さを紹介したいと思います。
レジ袋有料化の運用根拠となっている省令。
実はレジ袋有料化を法律形式ではなく、省令形式に求めたことが大問題なんです。
省令と法律の違いは、こちら。
本来であれば、上の図のように法律でやるべきなのに、レジ袋有料化は各省大臣が発する命令(省令)で、国民はレジ袋代を支払わされているんです。
では、なぜ省令ではダメなのか。それは「国民に対する負担を課す話は、法律できちんとやらなきゃいけない原則がある」からです。
髙橋洋一チャンネル 第10回 レジ袋有料化 誰も言わない致命的な欠陥!
国民に対する負担を課す話は、法律できちんとやらなきゃいけない原則がある。それから思うと、これはちょっと逸脱している。
(動画0:50-1:02より抜粋)
高橋さんのおっしゃる通り、国民にお金を支払わせ、負担を課しているレジ袋有料化の法的根拠を、省令で運用することは、「逸脱」したものなんです。
国民に負担を課している代表格のものとして消費税があります。
消費税は全国民からお金をもらう制度なので、大臣の発する命令【省令】などで運用されることは許されません。法律によって運用されています。
しかしレジ袋有料化は、消費税と多くの共通点があるにも関わらず、省令によって運用されてるんです。
どんな共通点があるのか。内藤陽介さんのご指摘を紹介したい。
レジ袋を義務的に有料化するということは、国が新たな規制を作るということだ。また、環境やエコを大義名分に、広く国民から強制的になにがしかのお金を集めるのは、事実上の税金といってもよい。
レジ袋の「有料化」に際しては、1枚ずつ値段をつけて商品とすることが義務付けられており、たとえば、「2枚目以降は無料」「会員は無料」といった提供の仕方は違法とされている。ということは、国民が強制的に買わされることになるレジ袋には、当然、消費税が課税される。
環境省によると、わが国では年間300億枚、乳幼児を除いた国民一人あたり約300枚を使用しているとのことだが、仮に、今回の「有料化」によってレジ袋の使用量が半減して150億枚になったとして、レジ袋1枚が平均4円で販売されればその売り上げは600億円、これに10%の消費税がかかるとすると60億円(8%なら48億円)が自動的に増税となる。国全体の財政規模からすれば微々たる金額ではあろうが、そこに釈然としない気持ちを持つ国民は多いのではないか。
国民が買い物するごとに、有料化されたレジ袋を購入する必要に迫られる。内藤さんだけでなく、レジ袋有料化は何だか税の一種のような印象を受ける人が多いかと思われます。
実は当初からレジ袋有料化を、「レジ袋消費税」なのではないかと、原田さんに質問された方がいらっしゃった。
これに対し、原田さんは否定した。
原田さんとしてはレジ袋有料化は税の一種ではないとのことでしたが、やはりレジ袋有料化は法律での運用が必要という自覚はあったようで、記者会見にて次のように語っていました。
やはり私どもは、法律にある程度きちんと根拠を置かないと、その運用も、なかなか難しいなということもあります。例えば行政指導か何かの場合、多少はそれが動くこともありますけど、やはり法律の形式をとらないといけないかなというのは、私ども、今考えているところであります。
原田大臣記者会見録(令和元年6月3日(月)
しかし、実際には法律の形式は取られず、省令によってレジ袋有料化は運用されている。
この政策転換は、当時、安倍内閣で海洋プラスチックごみ問題への取り組んでいた、統制派世耕弘成経済産業大臣による動きがあったかと思われる。
世耕さんは、法律運用にすべきと語った原田さんの会見の4日後に、こんなことを言っている。
プラスチック循環戦略..この戦略に基づいて、...中小企業の実情などにも配慮しながら、法改正ではなく、省令の改正に向けて、スピーディに検討を行ってまいりたいというふうに思っています。
世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要
2019年6月7日(火曜日)
別の日には
もともとレジ袋有料化は、私は省令改正できちっと対応するのが最も迅速に対応できる、今のプラスチックごみの問題を見ているにつけ、やはりできるだけ早い対応の方がいいのではないかということで、省令での改正を申し上げてきたわけであります。
世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要
2019年6月18日(火曜日)
このようにみていくと、レジ袋有料化が省令によって運用されるに至った経緯として、世耕さんの強い働きかけがあったものかと推測される。
国民に負担を課すレジ袋有料化。増税にも等しいこのプラスチック削減策を、法律でなく省令に求めた、世耕さんの"実績"は覚えておくべきでしょう。
レジ袋有料化後の混乱
統制派の掲げた当初の目標は、「レジ袋を使わない人を6割」と説明されていた。
2020年11月のWED調査で「レジ袋を使わない人」が7割増加。この調査でもって「レジ袋有料化によって、プラスチック問題を考える人が増えた」、「"エコに疎い愚民"にプラスチック問題を考えさせることができた」とサイトにて掲載。
レジ袋辞退が増えたことでもってして、レジ袋有料化を意義ある環境政策として祭り上げた。
しかし、その裏で国民は被害を被る格好となった。
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こうした現場の混乱をよそに、小泉さんは「みんなで減らそうレジ袋チャレンジ」表彰式に出席。ブログにてこんなことを書かれていました。
皆さんの協力のお陰で、結果は目標を上回る「71.9%」の辞退率を達成することが出来ました。
11月末にレジ袋使用状況に関するWEB調査を行った中で特に印象的だったのは、10代の方の辞退率68%という数字。これは20代-40代の方よりも高い数字です。今は学校でもSDGsや環境について学ぶ機会も多いと聞きますし、自分たちが生きていく中で地球の未来を心配しているからこその行動なのかもしれません。
(個人的見解:小泉さんは10代の辞退率が20代-40代の方よりも高い数字を「学校でもSDGsや環境について学ぶ機会も多い」「自分たちが生きていく中で地球の未来を心配しているからこその行動」と勝手に解釈していますが、私の雑感として10代の世代は、親世代である20代-40代が日用品を買い出ししてくれるおかげで、レジ袋を必要としないだけではないか。)
コロナ感染拡大防止に努めながら、現場で真面目に働く善良な国民が苦しんでいる現実を無視し、平然とレジ袋イベントに出席する小泉さん。
日本維新の会の音喜多駿議員がレジ袋有料化の効果測定について環境省に問い合わせたところ、昨年から実施されたのはアンケート調査のみだそうです。
現実を直視せず、小泉さんが笑顔でイベントに出席できたのも頷けます。
統制派は、自ら設計した計画と現実がいかに乖離していようが、計画変更の選択肢を選びません。計画に群がる利権屋によって都合の良い統計が持ち出され、仲間内で解釈が行われるからです。
先行有料化実施企業と小泉さんとのオンライン意見交換会もそうですが、意見交換会ではなく、実態は統制派会合です。
規制がいかなる批判がされようとも、曲げることはありません。統制派は、計画の不備によって国民が苦しもうが、選挙にて公約にも掲げていなかろうが、なりふり構わず進行させます。
それでは小泉さんをはじめとするエリートの方々が海洋プラスチックごみ解決方法として進めたレジ袋有料化の結果どうなったか...
経済産業省によると、レジ袋有料化は「プラスチック製買物袋の過剰な使用を抑制することを目的として、消費者のライフスタイル変革を促すもの」ということでスタートを切った。
しかし結果は↓
国民の生活など眼中にない統制派の一面が、お分かりになったのではないでしょうか。
しかし、小泉さんをはじめとする統制派の目的が、ただ単に「レジ袋を使わない人」を増やすだけで終わりか。
実は、そうではありません。
(間違いがございましたら、資料と共にご連絡ください。文書校正もご教授お願いいたします。m(_ _)m)
今回のnote画像(GIF)デザインにいくつか質問がございましたので、ココナラを開設しました。
パワポや資料、広告、GIF等の作成ならお役に立てるかもしれません。これからも有益な情報を提供していきたく思っておりますので、よかったらお付き合いのほどお願いいたします。
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