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「無知」で「無能」が、わたしの "才能" 。

MCのイメージが強いかもしれませんが、わたしの本業は女優です。一応、今でも(笑)

フリーランスになってから、2〜5年目くらいでしょうか。「小劇場」と呼ばれる舞台に、たくさん出演していた時期がありました。年間で、最大12本。月に1本くらいのハイペースで出演していたんです。

「小劇場」とは、キャパが300人以下くらいの劇場を指します。だいたい、劇団四季の劇場で1200人、帝国劇場で1900人くらいなので、比べるとだいぶ小さいですよね。しかも、300人も入れば大きな方! 関わる作品のほとんどが、100人前後の小さな劇場でした。

なんとしてでも女優として大成したいと願っていた当時のわたしにとって、お芝居でスケジュールを埋められるということが、正義でした。それが例え小さな作品でも、お金にならなかったとしても……

そうなんです。お察しの通り、小劇場では稼げないことがほとんどです。すべての作品が、全員が、というわけではもちろんありませんが、出演料より稽古中の出費の方がかさむなんてこともあったほど(汗)

それでも、お芝居でスケジュールを埋めることこそ、明るい未来につながると、信じてやまなかったんですよね。それはもう、稽古と本番でスケジュールをパンパンにすることを目標としておりました。

そんなわたしは、時を同じくしてYouTube番組である「ホリエモンチャンネル」と「B.R.channel」のMCに就任。「女優」と「MC」という二足のわらじ生活をスタートさせました。

この「MC就任」こそ、わたしの人生が大きく動くきっかけだったのです。

MCを始めて出会った、本当の自分。

正直、すごく軽い気持ちだったと思います。MCをやる、と決めたのって。

いや、軽くはないか。重いのは重かったか。大きな勇気が必要な決断ではありましたね。やったことがないお仕事でしたし、絡む方もすごい方だったんで(汗) なんて表現したらいいんでしょう……不純な動機だったとでも言いましょうか。

小劇場だけでは食べていけない。とはいえ、バイトを稼ぎの主軸にはしたくない。

あ、もちろんバイトもしましたよ。食べていけなかったので……バイト時代に関しては、前回のコラムにエピソードを書きましたので、よければお読みください。

前回のコラム▷ https://note.com/teradayuki/n/nd8bc05c74ef1

フリーランスでも女優として大成できる! と、証明したい。自分の力で、王道の芸能界に戻りたい。そんな強い気持ちと、バイトで食べ続けていく、ということに強い抵抗があったわたしは、きっと、稼ぐための一つの手段として、MC就任を決断したんだと思います。

本業はあくまで女優。MCは生きていくための手段。
そんな風に割り切ろうとしていたんじゃないかな。

しかし、考えてみたら当たり前なんですが、MC界だって甘くありません。続ければ続けるほど、その奥深さと、必要なスキルの高さに打ちのめされていきました。なんで始める前に気づけなかったんでしょうね(笑)

「こんなやついらない」とか、よくコメントに書かれていましたね。まあ、そりゃそうだ。自分の無能さを、痛感する日々でした。

それもツラかった。でもそれ以上に、MCを続ければ続けるほど、わたしの心を刺していったことがありました。それは……

”自分の無知を痛感する”、ということ。

MCの現場で聞くこと、見るもの。そのほとんどが知らないことばかりで…… 
専門分野はもちろんのこと、社会問題とか時事問題とか、社会の常識にいたっても、知らないことだらけだったんですよね。

「わたしって、こんなに無知なんだ……」

感じれば感じるほど、ツラかったのを覚えています。無知で、無能。マジで自分が嫌になりました(笑)

でもこの「無知」で「無能」こそ、わたしの「才能」だったんですよね。

環境の変化は、本当の自分を「教えてくれる」。

ホリエモンチャンネルの卒業を発表したとき、こんなコメントをたくさんいただきました。

「堀江さんと一般人の架け橋になってくれて、助かっていました」と。

無知で無能と認識することがツラくて、初めは隠そうとしたんです。でもあまりに大きかったんで、隠せなかったんですよね(笑) 途中からは諦めて、無知で無能な自分を認め、素直に言葉にするようになりました。

するといつしかそれが、わたしの存在価値に変わっていったのです。
「キレイな仕切りをするMCではないが、自分に近い意見を聞いてくれるMCだな。」と、そんな風に思っていただけたのかもしれません。

そのまま狭い小劇場の世界の中だけで生きていれば、本当の自分に出会うことはできなかったでしょう。そして、本当の自分を活かす方法もきっと、考えることができなかった。

「自分を変えるには、環境を変えるのが一番だ」なんてよく聞きますが、わたしはちょっと違うんじゃないかな? と思っています。

環境の変化は、自分を「変えてくれる」のではなく、環境の変化は、本当の自分を「教えてくれる」。

もちろん、本当の自分と初対面したときは、痛みだって伴います。でもきっと、筋肉痛と一緒。その痛みは、あなたを強くしてくれます。

環境の変化は、筋肉痛。いいトレーニングができた証拠ですね。これからも積極的に、わたしは筋肉痛になっていきたいなと思います。

……なんか締めが意味わからんようになってしまった気もするけど、まあいいか(笑)

みんなで、筋肉痛になりましょう!ちょっと経てば、痛みは消える。少しでも強く大きくなれたらいいですね。

ほな、また来週!


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