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山下達郎という異能の人

ジャニーズ問題に絡んだ発言で山下達郎氏が非難されている。ジャニーズの性加害を間接的に認め、旧弊な芸能界や音楽業界を変革しようともしない老害として、である、要約するとそんな所であろうか。
確かにそうなんだろう、コンプライアンスや透明性を重視するこの現代において、山下達郎氏の発言はそう解釈されても仕方がない。

因みに僕は彼の音楽の大ファンという訳ではなく、何曲か好んで聞く曲がある程度の人間である。
そんなカジュアルな聞き方をしてきた僕でも、山下達郎氏の底なしの才能と功績は最大級に認めている。
仕事柄、沢山の音楽を聴き、音楽関係者に会う。そして常々感じるのは、才能に溢れた人間は異世界に住んでいる、ということだ。
生きる上でのスタンダードが違う。違うチャンネルを持っているというか、とにかく一般の物差しで
測ろうとするとはみでてしまうのだ。
だからと言って彼等が法律や倫理、常識を無視してもよい、という訳ではない。そこは強弁したい。
ただ本当に才能のある人間は、異世界の住人なのだ。
山下達郎の音楽は、まさに異世界から一般社会に流れてきた唯一無二の作品である。
ラジオでの彼の発言はつまらなく凡庸で、まるで政治家の自己弁護のようで、彼の音楽のもつ美しさとは程遠い。
山下達郎にとってこの世界で起きていることの多くにあまり興味がないのかもしれない。だからあんなつまらない発言をしたのかもしれない。
だって彼は異世界の住人だから、彼が長い時間かけて作り上げた独自の世界と感性をただ守りたいのではなかろうか。
そんな事は世間は許してくれる筈はない、と恐らく山下達郎氏自身も理解している筈であるが。

才能というのは人それぞれ異なり、その実現方法も異なる。山下達郎氏は彼なりの方法で性加害の問題と決着をつけようとしたのだろう、彼にとっての最優先事項は音楽であり、社会ではないのであろう。

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