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芹の苗が届く

クレソンを種から育てているもともとの理由は、芹の種がオンラインショップで見つけられなかったから。代替品としてのクレソンがなかなか大きくならない。Etsyでぼったくり価格ではない水芹の苗を見つけたので購入した。ミナリという韓国産の品種をアーカンソー州から郵便で送ってもらう。4日ほどで受け取ることができた。届いた苗はものすごく長い。芹ってこんなだったっけ?と思いつつ、とりあえずポリ池に突っ込んでおく。開封してすぐの時は泥だらけで腐りかけの藁みたいな感触だったのが、2日後には郵送のショックから立ち直ったのか、なんだかしゃきっとしてきて新鮮な葉っぱも出ている。それで、なんとなく何故最初芹がすごく長く見えたのかわかった。送られてきた苗は地下茎的なもので私が昔水際で摘んでいたのは新芽の部分のみだった模様。地下茎は泥の下に埋もれていて摘むときには見えなかったのだろう。

子どもの頃、私鉄で東京都から隣県に入って1つ目の駅の町に住んでいた。土地が低く大雨が降ると駅周辺が洪水になる事もある湿地帯で、あちこちに蓮根栽培の休耕田があった。住んでいたトタン張りの貸家も裏の細い砂利道の向こうは蓮田で、道の端の水際に芹がたくさん生えていた。子どもの口に美味しくて毎日食べたいと思うような食べ物ではなかったと思うが、母と一緒に摘んだ事が懐かしいし、こんな味だったようなという記憶を確かめてみたい気もする。私が小学3年生の夏に両親が少し離れたところに家を建てたため貸家を出てから1度も訪れたことがないが、当時は高度成長期だったため湿地は数年で速やかに埋められて東京へ通勤する人々の家が建ち、あの貸家が建っていたあたりをグーグルマップで検索しても当時の面影は無い。

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週末の朝、土を買ってきてゴムでできた底に穴が開いていない容器に芹を植えた。水を張ってポリ池の一部に半分沈めて置いてみる。水の濁り具合が蓮田の泥を連想させる懐かしい感じでちょうど良い。反対にクレソンは清流っぽい環境でゆっくりと育っている。

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