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夜の散歩

今のご時世だと怒られるだろうけど、私は幼い頃、良く夜遅くなってから散歩に出かけていた。

おじいちゃんとおばあちゃんと、当時飼っていた犬たちと一緒に。

行き先は、決まって近くの公園。

おばあちゃんとおじいちゃんがゆっくりと会話する、プラタナスの木がある公園だ。


公園には街灯が一つしかなく、ビルの窓灯と目の前の住宅の明かりが少々。
人通りもない時間なので、公園にいるのはおじいちゃんと私と犬たちだけ。

ゆっくりとご飯の片付けをするおばあちゃんは、大抵遅れてやってくる。

子供なら暗い公園を怖がってもおかしくないのに、不思議なもので私は恐怖を覚えたことは一度もない。

この夜の散歩は、それだけ幼い私の日常に溶け込んでいたのだと思う。

街中に良くある小さな公園なので、敷地内についてからはそれぞれ自由行動。

「しずかだなぁ〜」

「風が気持ちええなぁ〜」

夜の公園では、ポツリポツリとおばあちゃんとおじいちゃんの声が聞こえるだけ。

私はもっぱらブランコに夢中だった。
目の前にあるたった1つの街頭に届け、と力一杯足を上下に動かしていた。


風が吹くと木々を埋め尽くす葉っぱがカサカサとなる。

お腹いっぱいに息を吸い込み深呼吸をすれば、マイナスイオンで満たされるようだった。


「てらちゃーん。
 かえろうか〜。」

おばあちゃんに呼ばれ、みんなで帰路に着く。

なんてことない時間。
特別でもなんでない時間。


夜の静けさをそれぞれ楽しみ、それぞれ自由にリフレッシュする夜の散歩。


今でも夜になると散歩に出かけたくなるのは、あの頃の思い出があるからだろうか。


娯楽に溢れた現代だからこそ、夜にしか味わえない静かさを体感してみるのも良いのかもしれない。

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