テキーラ道場がオススメするガチテキーラランキング ④エクストラアニェホ編

タイトルの通り世界最大級のテキーラ評価サイト「テキーラマッチメーカー」の評価を元に、現在日本で販売されている中で飲んでおくべき本物のテキーラを紹介しようというのが、本noteの主旨です。今回はブランコ編レポサド編アニェホ編に続く最終回エクストラアニェホ編です。

エクストラアニェホテキーラとは、600 L以下の樽で3年以上熟成したテキーラを指します。テキーラの熟成クラスとしては最長のものになります。ウイスキーなどと比べると熟成期間が短いと思われる方もいらっしゃると思いますが、アガベアスルを原材料とするテキーラは樽熟成すればするほどアガベ感が薄れていくため、10年20年といった熟成を施すケースは稀です(
(ない訳ではありません)。

日本で買えるエクストラアニェホテキーラTOP10

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本ランキングは2021年6月7日現在、パネルスコア(PS=評価数が多く運営側に認められた優良評価者による評価)及びコミュニティスコア(CS=誰でも参加可能な一般評価)が共に80点以上、評価数(RC)が30件以上のものに限定しています。

日本では有名だけどアメリカであまり注目されてないものは評価数が少なく除外されているものもあります。また日本で終売が決まっているものは、入手可能性が低いため除外しています。また青色はハイプルーフ(アルコール度数42%以上)テキーラです。価格はサトー酒店から引用、扱ってないものは他の酒販店さんから引用しています。

アニェホまでのランキングと大きく顔ぶれが違う理由

ここまで全てのランキングでトップ10入りを果たしてきたカスカウィンが頂点に立っています。カスカウィンがアメリカで広く飲まれるようになったのはここ数年ですから、この評価数とスコアは驚異的と言ってよいでしょう。日本では景田さんが関わるテキーラとして有名ですが、そういった付加価値なしでもこれだけの評価を得られるカスカウィンは、近代テキーラ業界の台風の目と言って過言ではないと思います。そういう観点からいくと、日本での認知はまだまだ浅く、評価も低いと言わざるを得ません。

そして4位のタパティオ、7位のドンフラノと、見慣れた名前も散見されますが、アニェホまでのランキングで常連だったブランドの多くがランクインしていません。その理由はエクストラアニェホを作っていないブランドは意外と多いからです。

多くのブランドがエクストラアニェホを作らない理由


ひとつめの理由はシンプルに「商売上の損得勘定」でしょう。アガベの育成に5年、そこからアニェホまで熟成するのに1年ですが、エクストラアニェホを名乗るには更に2年の月日が必要です。単純計算ですが、エクストラアニェホを1本作る間にアニェホが3本作れることになります。

ここで次の表を見てください。

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これは2020年のアメリカのテキーラ市場の消費量統計です。100%アガベテキーラにおいて、エクストラアニェホと比べてアニェホの市場規模は14倍、レポサドは38倍、ブランコは89倍です。

利幅が大きく富裕層に人気のエクストラアニェホですが、実は商売として大きく力を入れて取り組むだけのニーズはそれほどないのです。

もうひとつの理由ですが、多くのブランドは「エクストラアニェホは必要ない」と考えているからです。

先ほどあげた100%アガベテキーラのシェアでも一目瞭然ですが、テキーラを好む消費者の多くは、テキーラに深い樽熟成を求めていません。それと同時に生産者もせっかく丁寧に苦労してアガベ本来の味わいを引き出したブランコに、過度の樽熟成をするのは無意味だと考えているのです。

アニェホに至っても近年は使い古した樽を使うことで、できるだけ樽感を出さないものも増えてきています。また最近はオーク樽ではなくステンレスタンクで2年や3年寝かしたブランコテキーラなども登場し、非常に高い評価を得ています。

豪華なボトルデザインに、1万円以上する高価な値付けをされ、富裕層に人気のエクストラアニェホですが、熟成されたものほど評価が高くなるウイスキーなどと違い、テキーラ業界ではどちらかと言えば脇役であることがお分かり頂けると思います。「しっかり熟成されたテキーラは素晴らしい」という言葉はもちろん間違ってはいないのですが、そこがテキーラの本質ではないのです。

道場で試飲できるエクストラアニェホテキーラランキング

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これがエクストラアニェホ沼....では残念ながらありません。テキーラ道場において最も力が入ってないのがこのエクストラアニェホなのです。日本で購入できるものでご用意してないテキーラもいくつかあるのが見てとれると思います。

その理由は「どれだけ美味しくとも価格に見合う学びがない」と判断しているからです。高価なエクストラアニェホほど、複雑な樽熟成が施されていてうっとりするような美味しさのものばかりです。しかしそこから学べるテキーラの本質はそれほど多くありません。もちろんお金に余裕があればすべて揃えたい気持ちはありますが、道場のラインナップはコレクションではなく教材なのです。

それでも無い袖を振りながら少しづつ買い揃えてはいますが、エクストラアニェホ1本に数万円をかけるのなら、そのお金でもっと多くのテキーラを買い揃えたい、というのが本音なのです。常に私の財政はテキーラで火の車なのです。

自信を持って「これがエクストラアニェホ沼です」と言えるようになるには、あと数年はかかるかもしれません。気長にお待ち頂ければ幸いです。

よろしかったらサポートお願いします。といっても特に立派なことに使うわけではなく、すべてテキーラになるだけですが(^^;)