上橋菜穂子さん『狐笛のかなた』を読んで

ファンタジーはあまり読まないんですけどね。
読書仲間に上橋さん好きがいて、読んでみようかなと手を伸ばしたのが『狐笛のかなた』でした。
上橋菜穂子さんといったら守り人シリーズで有名でしたが、シリーズものを読むのは骨が折れるので。

ガールミーツボーイなのかな。
いや、やっぱボーイミーツガールだと思うけど。
ファンタジーらしい壮大な設定と、キレイに風呂敷を畳んで幕を下ろす話の美しさがありました。

「悩んでいる時間なんてない!」
この本を読んで強く感じたことです。
自分の知らないことが待ち受けているとき
怖くて立ち止まりそうになるとき
失敗するかもしれない大きな決断のとき
信じていたものが揺らいでしまうとき
主人公の小夜は、辛く苦しみながらも前へ前へと走り続けます。
その勇気と力強さに、私は励まされた気持ちになりました。

小夜が母から受け継いだ命と力、これらに振り回される時期もありましたが、後半の自らの意志と決断で物語を締めくくるところにカッコよさを感じます。
何がいいって、物語の大筋である隣国通しの冷戦ではなく、小夜自身の物語に小夜は立ち向かうところですかね。

会社の都合、日本の未来なんてものも見えてくる年代になりましたが、自分の人生を自分の物語に捧げる命の使い方をしたいですね。

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