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日本のバレーボールを変えるのは「アンダーカテゴリ」が鍵

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日本のバレーボールが世界の中で再び輝くとき。代表チームがメダルを獲る、国内リーグが世界レベルをけん引する。そうなるためには、トップカテゴリの育成強化任せではなく、最も重要なのは小…
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2021年2月の記事一覧

もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)

バレーボールにおけるアンダーカテゴリの「育成」を目指し  2017年も終わりまでカウントダウンとなってきました。みなさんの今年のバレーボールは充実していたでしょうか?私にとっての今年、この1年は、新しいチャレンジのまとめの年となりました。中学生の子たちを集めて、チームを立ち上げ、練習環境もゼロ、子どもたちのバレー経験もゼロ、バレー用具もゼロ、先輩ゼロから始めた子たちが、中学3年生を迎え活動に一区切りをつける年でした。    この2年半チャレンジしようと思ったことは、近年世の中

運動の習得とコーチングを考える難しさ

「うまくなる」「上達」をどう考えるか?サーブが入らない、レセプションは触れもしない、スパイクは空振り・・・こんな子どもたちでも、2年ちょっとやると、何らかの技術を会得するから不思議なものです。 でも、いつも大変だな・・・と感じるのは特に、 ○ スパイクができるまでの過程・・・助走ステップとボールへの同調、ジャストミートの習得 ○ オーバーパスの習得・・・飛ばない、キャッチやハンブル ○ レセプションの習得・・・待てない、入れない、運べない ○ セッターの技能 などです。

練習過程における「スモールステップ」を考える

何をもってスモールステップとするか? とにかく小中学生バレーでは、一つひとつのスキルアップのために、様々な練習方法やドリルが、日々研究、開発されています。日常の思考錯誤によってなされていたり、手作りの道具を開発して練習したりと様々です。  しかし過去からの指導法には多くの財産もありますが、何か旧態依然というか、アップデートされていない内容もあるのではと思えるようなものもあります。セッターのステップの足の入り、セットの身体の軸、静止からのスパイクの助走の細分化練習、パスの形づ

育成とチャンピオンシップに関連性は

「春高バレー」でみえるものとは。テレビで春の高校バレーなんかを観ていると、ひとつの攻撃に対し、何人の選手が攻撃に「絡む」かが気になるようになりました。クイックとアウトサイド、クイックと時間差、その3つの組み合わせ、さらには、バックアタックが加わる、さらにはテンポの意識が感じられる場面も・・・。いずれにしても、「攻撃にからむ枚数」がより多く確保できる展開のチームが強いように思えます。 ただこれは、「コンビバレー」という言葉では集約したくはない気がします。 ファーストテンポや

マイネルの運動質論というものを知って・・・

ドイツの教育学(体育教育学)者クルト・マイネル「マイネルの運動質論」というものに出会いました。 すぐれたスポーツ運動の経過には、ある特徴的に現れてくる8つの運動の質があるとする理論で、8つの運動の質があるのだそうです。 (クルト・マイネル著 金子明友訳『マイネル・スポーツ運動学』大修館書店、1981年) ①局面構造 ― 運動は準備局面、主要局面、終末局面の3分節である ②リズム ― 運動のなかに、緊張と解緊の周期的交替がある ③流動 ― 運動が時間的、空間的、力動的に流れる

スキルチェーンとか言われていますが・・・

個別の技術を高めればゲームを制することができるか? よく考えることは、プレーとプレー、テクニックとテクニックとのつながりのことです。  練習場面では、結合練習とか複合練習と言われることがあって、基本スキル習得の次なる段階としておさえられることが多いのかなと思います。 「スキル・チェーン」という言葉も使われるようになりました。一つひとつができる他に、どのように使うか、使いこなせるか、どういう意図があるのか・・・そういったところも大事なんだと思います。  一つひとつのスキルが、

どのようにスキルアップを高めていくか

何事もそうですが、1から10や100にすることよりも、0(ゼロ)から1を生み出したり踏み出すことの方が、大変であり困難を伴うかもしれません。 そう考えると、バレーで今起こっている議論(#vabotterの話)というのは、大きいかもしれません。何が大きいかというと、それまで何十年も当たり前だと思われてきたものに、風穴をあけてきていること、そして何よりもその視点に気付けたことです。 ゲーム(試合)と個別のスキルバレーボールは、ひとつのスキルで競うものではなく、スキルとスキルの

スモールステップは、フィードバックや試行錯誤にこそ使え

運動でもなんでもそうですが、成果主義というか達成主義というか、逆に言えばいかに失敗を最小にしていくかという手法があり、そうなると、一つひとつの課題の難易度と、課題と課題の間の段階差を小さくしていきます。 結果、コツコツと課題にはとりくめるけど、細かく多数ある過程を踏んでいるうちに、全体像や真に目指している到達点を見失うことってよくありますよね。 例えば、英語なんかを学ぶ時も、きっとどの人も根底には話せるようになりたい、使えるようになりたいという、願望を持つのですが、学習過程

バレーのスキルの習得を考えたとき

ディグの映像をご覧ください。実にいろんな取り方があるものです。 世界レベルともなると、サーブにしてもスパイクにしても、ステップを踏んで、構えて、ヒット・・・などという余裕はないくらいのボールスピードです。ですから、取りに行くというよりも、身体に当てる、当てに行く・・・当たったらより確実に返球できる身体の使い方・・・と言った方がいいかもしれません。 「型はめ」と結びついたスモールステップ指導私たちの周り(中学生など)の指導現場では、これまでの指導の研究の積み重ねの上で、いろ