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運動の習得とコーチングを考える難しさ

「うまくなる」「上達」をどう考えるか?

サーブが入らない、レセプションは触れもしない、スパイクは空振り・・・こんな子どもたちでも、2年ちょっとやると、何らかの技術を会得するから不思議なものです。

でも、いつも大変だな・・・と感じるのは特に、
○ スパイクができるまでの過程・・・助走ステップとボールへの同調、ジャストミートの習得
○ オーバーパスの習得・・・飛ばない、キャッチやハンブル
○ レセプションの習得・・・待てない、入れない、運べない
○ セッターの技能

などです。

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図は、中学の保健体育のテキストにも載っている体力の分類です。
我々が、普段、練習によって向上させようとしているのは、「行動体力」の方が大きいわけですが、
姿勢の定着や、「機能」の向上のメカニズムや過程は、わからないことだらけです。

気がつけばできていることもあるし、個人差もある。
個人差で言えば、なかなかスキルアップや運動の自動化に時間がかかる子どももいます。
そう言ったときに、センスがない、運動神経がつながっていない・・・
と一言では片付けたくない思いがあります。

というページをみました。

運動を3つの視点から見ることが可能なのだそうです。(以下引用)

① スペーシング
② タイミング     
③ グレーディング

① スペーシング
 バランスは空間的な調節(スペーシング)を指し、
 姿勢反射や平衡機能も含めた身体の安定性を通して、動作の遂行性を保証する。

② タイミング
 時間的な調節(タイミング)は、動作の円滑さや連続性を保証する。

③ グレーディング
 力の調節(グレーディング)は、総和として得られる収縮共同を通して、
 あらゆる運動の強さと方向を保証している。


完成された「運動」(随意運動=自分の筋肉を動かす意識的に行う)の最終的な目標は、同目的かつ効率的な運動といえます。
そして、運動に必要とされる最小エネルギー消費で実行することであると言えます

効率的な運動の必要条件とコントロールにはさまざまありそうで・・・
反応時間  感覚   瞬発力   筋力   柔軟性   持久性
意欲   感覚系   呼吸循環系   骨格系   筋系   
運動の方略 神経系  バランスコントロール  タイミングコントロール  筋力のコントロール  敏捷性   協調性

「うまくなる」「上達」には、攻略法や必勝法というのがあるのでしょうか?

ベクトルの向きをどこに向けるか?

特に私は、最近の子どもたちのいろんな特徴をみている中で、どうしても、運動経験の浅い子・・・
走れない、跳べない、リズム感がない、遠近感をつかめない、同調できない・・・そんな子たちにスキルの習得を目指そうとする時、少しでもいい方法を、確実な上達方法は?と考えてしまいます。

いとも簡単にサーブが打ててしまう子、いとも簡単にジャンプしてスパイクしちゃう子もいます。
それらの違いいは何か?どうすればその差を埋めることができるのか?答えが見つかりません。
運動の定着、スキル習得は、そのスピードや幅に個人差があります。

植物を育てる際にも、ちょっとだけ個体差はありますが、
植物の場合は、成長のスパンが短いこと、そしてある程度見通しや想定がしやすいです。
温度や湿度の調整、肥料の調整、農薬の有無、天候の影響と判断・・・
そういったものの中で、生産者は、見事な収穫をしていくわけですが、
相手が人間・・・しかも運動の完成を目指すとなると、
植物の栽培のような見通しが難しいです。
まずは、「観察」をじっくり行い、主体である選手の「試行錯誤」に委ねるしかないのかなと考えたりします。

「高さのことなる板を張り合わせて桶を作ると、水面は一番低い板の高さで決まるのと一緒」

筋力の向上は相対的にプレーの精度を上げることにつながるそうですが、
同時に、そのプレーに関与している筋群の中でもっとも弱い筋に影響されるらしく、
プレーに関与する筋肉の中で弱い部分の補強も重要らしいです。
プレーに関わる筋肉の分析とバランスのよいトレーニングが重要です。

また、筋力が伴い、ジャンプ力やパワーがついたとしても、うまくいかない子どももたくさんいます。
それは 「運動の出力」 だけ向上させてもダメだということです。

「運動の入力」・・・ 自己課題設定やミーティング、イメージトレーニング、ビジュアルトレーニング・・・そういったものも向上させないと、いけないということです。

野球のバッテリーのように、
優秀なピッチャーがバンバン投げ込んでも、受け手のキャッチャーが無能ならば、通用しませんし、
キャッチャーが優秀でも、ピッチャーにそもそものスピードや技巧がなければ、闘えません。
双方向のエネルギーが噛み合うことで、力を発揮します。

バレーボールのカテゴリごとに様々な違いがありますが、
成長期にある中学生においては、とても面倒で大変な部分があるのと同時に、
そういった未知なる部分に関心がいくのも事実です。