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上司の「聞いてないよ」は無能の証

「それ聞いてないよ」という上司のクレームほど明らかな無能の証はありません。

(1)上司が情報を得る仕事ができていない
そもそも大事な仕事なら上司が自分でやればいいのですが、大事な仕事を部下がやっているなら、上司の仕事とは必要な情報を必要なときに吸い上げ、それを適切に共有することです。部下しか情報を持っていないというのは、上司がいなくても仕事が成立していて、上司がすべき仕事をしていないことを意味しています。
確かに上司だけが知っている重要情報もあり、それを知らずに部下が勝手にやっても意味の無いこともあるでしょう。例えば部署が大阪に引っ越すと決まっているのに、東京オフィスの大規模改装するプロジェクトが進んでいたら、何やってんだ、と上司が思うのは当然です。しかし、それでも、部下のプロジェクトを事前に知るのは上司の仕事です。情報が上がらずに東京オフィスの改装プロジェクトが進んでいたら、まず一番悪いのは上司です。
「聞いてないよ」では無く「ごめん、知らなかった」です。

(2)上司に求められる情報伝達・共有ができていない
上記の東京オフィスの改修の話では、上司以外にも話を知らない人がいるかもしれません。例えば壁紙について超詳しい人が話を聞いていなくてプロジェクトが非効率になっているかもしれません。こういう情報を、必要な人に流すのも上司の極めて重要な仕事です。上司のさらに上司に伝えて判断を間違わないようにするのも仕事の一部です。
「聞いてないよ」では無く「この情報、必要な人にすぐ伝えよう」です。

(3)度量の狭さを露呈している
隣の部署の誕生日パーティとか、聞いていなくても良いこともあるはずです。こういうときにしゃしゃり出てきて空気を悪くするのは上司としていかがなものでしょうか。
あるいは、部下が自分の裁量で新規顧客の開拓をしていたら、まずは「お、頑張ってるな」といえばいい。「やってみな」でもいいし、「もっとこっちを開拓したら」でも良いです。「聞いてないよ」と、伝えていないことを非難する必要はこれっぽっちもないのです。
「聞いてないよ」は「僕は部下の手柄を妬む人間です」と言っているのに等しいのです。

(4)経営判断があやうい
もし必要な情報を得られていないのなら、経営判断を誤るリスクがあります。これって、考えようによっては、部下よりも経営判断の能力が低いと言うことを表しています。
「聞いてないよ」は「僕は経営判断ができません」といっていることに等しいのです。

(5)部下の教育・コントロールに失敗している
もちろん、部下が伝えなければならない大事なことを伝えていない、部下のミスということも往々にしてあります。その際でも、「部下がミスしそうだな」と予見し、あらかじめ手を打っておくのが上司の仕事です。失敗してからなじるのは誰でもできます。失敗するのを待って、本人の成長を促すこともあるかもしれません。その場合は言い方がやはり違います。
「聞いてないよ」ではなく「僕に伝えることがあるんじゃない?」となるはずです。

ということで、「聞いてないよ」という言葉はよく聞きますが、この言葉ほど上司として無能であることを端的に表している言葉は無いと思っています。

余談ですが、この日本の組織の悪いところを一つだけあげるとすると、日本の組織が判断が遅いことかなと思い増す。判断が遅い理由は、たいていの場合、事前に伝えておかないと面倒なことになる人に話を通す時間のロスです。商談に上司が沢山ついてくると言うのも同じ話です。
この「聞いてないよ」という言葉や感情が偉い人にとっては無能の証で恥ずかしいことだ、とみんなが思うことで、日本が変われるんじゃないかな、と思いました。

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