ひざを守る”姿勢”と”体幹”
突然ですが、みなさんは”体幹トレーニング”という言葉は耳にしたことがありますか?
それはどういった目的で日々のトレーニングに取り入れていますか?
多くのアスリートや指導者の方は《パフォーマンスを高めるためのトレーニング》として体幹トレーニングを取り入れていると思います。
たしかに体幹トレーニングによってパフォーマンスが飛躍的に高められると言われていますし、それにまつわる研究も多く報告されています。
ただ、体幹トレーニングのメリットはそこだけではなく、前十字靭帯(ACL)損傷など大怪我につながるような《悪い姿勢》を取らないためにも有効であると言われています。
こちらは実際に体幹機能とACL損傷の関係性を報告した論文の一文になります。
この結果からも、大怪我に直結しない《いい姿勢》を保つためにも体幹機能は必要不可欠ということがわかります。
本題に入る前に、下の動画から実際の動作における体幹(上半身)の使い方を確認してみましょう!
上半身が外側へ倒れてしまった方はひざも勝手に内側に向いてしまうと思います。
その姿勢がいわゆるACL損傷を招く《悪い姿勢》です。
このような姿勢を取ってしまう原因は様々なことが考えられますが、その一つに体幹機能も考えられます!
したがって今回のnoteでは、膝を守るための《良い姿勢》と《その姿勢を保つために必要な体幹機能を鍛えるトレーニング》をご紹介していきます!
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全身から見たACLを切りやすい《姿勢》
以前のnoteでは、下半身に焦点を当ててACL損傷を招きやすい怪我について上の画像のようにお話ししました。
これを全身から見たとき、特に上半身はどのような姿勢を取っているのでしょうか。
着地動作時のカラダの使い方によってひざにかかる負担の変化量を研究した論文では、
右側屈位での右下肢片脚着地は、右膝関節のACLへのストレスを増加させ ACL 損傷につながる危険な肢位であるといえる。
(引用:「片脚着地時の体幹肢位が膝関節角度と筋活動に及ぼす影響- 男女間の比較-」)
と報告しています。
そのほかの論文でも、
体幹側屈に伴い体幹の質量中心位置および身体重心が外方に移動するため床反力ベクトルが膝関節の外方を通ることとなり、外部膝関節外反モーメントの増加が見られたと考えられる。
(引用:「Video analysis of trunk and knee motion during non-contact anterior cruciate ligament injury in female athletes」)
と考えられています。
上半身が外側へ傾いてしまうとその分重心も外側へ移動してしまいます。
着時動作時における床からの衝撃は重心に向けて加わります。
その衝撃が、ひざの中心より外側に向けて加わってしまうと内側へ回転するような力が生まれます。
そのような負荷が加わることで、ACL損傷を招くような姿勢を取らざるを得なくなり、結果怪我に結びついてしまいます。
理想的な姿勢に導くための重心移動
では、理想的な姿勢とはどういったものなのか。
下半身については、膝の適合性を考慮した姿勢が理想的です。
それがこのような姿勢になります。
そして、多くの研究から着地動作においてACLを切らないための理想的な上半身の姿勢が報告されてきました。
それらの報告によると
このような姿勢がひざにとって負担が少ないとされています。
特に内側・外側に上半身を傾けない姿勢を取るためには、左右方向への重心移動能力が最重要であると考えられます。
スポーツ動作時における重心移動とケガについて柿崎は以下のように説明しています。
効果的な左右の重心移動はスポーツ動作を効果的に遂行するにあたり重要な要因となる。効果的な重心移動が得られないと局所の粗大な動作で代償し、その非効率的なメカニカルストレスを産生する機序となる。
(引用:「胸郭運動システムの再建法-呼吸運動再構築理論に基づく評価と治療-」)
《重心移動》を考慮した体幹トレーニング
効果的な重心移動を行うために柿崎は
上半身重心を効率的にコントロールするとわずかな動作で重心移動を遂行することができる。(中略)体幹並進運動は上半身重心を前額面上にて移動させ、効果的に重心移動をすることができる。
(引用:「胸郭運動システムの再建法-呼吸運動再構築理論に基づく評価と治療-」)
と説明しています。
そのため、体幹は重心移動を的確に制御できる能力も求められていきます。
では、実際に並進運動がどれだけできるか運動範囲と左右差を確認してからトレーニングしていきましょう!
Lv1:座位並進運動
このトレーニングは、柔軟性の改善が目的となります。
ただ漠然と伸ばすのではなく、重心移動を意識しながら動かしていきましょう!!
Lv2:横向き並進運動
Lv2では、Lv1で伸ばした柔軟性を自分の力で適切に動かすトレーニングになっていきます。
体幹トレーニングは上半身を固めるイメージが強いですが、自在にカラダを操れる能力も鍛えていくことが重要となっていきます。
各トレーニング10回を目安に複数セット行なっていきましょう!
トレーニング中の姿勢と動かし方に注意しながら行なっていきましょう。
まとめ
今回は、ひざを守るために必要な”姿勢”と”体幹トレーニング”についてお話ししました。
上半身が過剰に左右方向へブレないためにも体幹の横方向への柔軟性やそれを支える筋力が非常に重要となっていきます。
下半身と連動させてトレーニングを行うことでさらに機能が高まっていきます。
ただ固めるだけでなく、《動きを作る体幹トレーニング》も意識して取り組んでみるのはいかがでしょうか!?
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