無料キックフォームサムネ

Jr.アスリートの怪我とキックフォーム

11月24日に福島県代表尚志高校サッカー部のFW染野唯月選手が腰椎分離症により高校サッカー選手権の出場が微妙であることが報道されました。


この分離症だけでなく、オスグッドやグローインペイン症候群を含む股関節痛といった痛みは、様々な原因がありますが<キックフォームの崩れ>が原因で起こりうるものでもあります。

正しいキックフォーム(身体にかかる負担を最小限に抑えたフォーム)は、キック力などの競技パフォーマンスだけでなく、怪我を予防するためにも非常に重要となっていきます。

なので、現場で選手へキックフォームの指導をすることはパフォーマンスと怪我予防の両方の観点から非常に重要な要素となっていきます。


怪我に直結するようなフォームに理解しておくことで、選手を怪我から守れたり、怪我をかばっている選手を見抜くことができ、怪我の長期化を防げることができるようになります!


今回のnoteでは、フォームの崩れから引き起こされる怪我とその原因についてお伝えしていきます!!





フォームの崩れで引き起こされる怪我

力強いインステップキックは(中略)蹴り足だけでなく、軸足や上肢・体幹部からの運動連鎖も関連し、この協同作用が破綻した場合、蹴り足の股関節屈筋と膝伸展筋に大きな負担がかかってしまう。
(引用:「スポーツ理学療法 動作に基づく外相。障害の理解と評価・治療の進め方」)

キック動作では、蹴り足の力だけでなく反対側の腕の可動性や動きも重要なものになっていきます。

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しかし、日頃のストレッチ不足や姿勢の崩れによる筋肉の硬さや、筋力のアンバランスによって全身が連動した動きができないと<動かしやすい><力の入りやすい>部位だけでキックを行い続け、その結果一部に負担がたまり痛みにつながります。

下の写真は、崩れたキックフォームが原因で起きやすい怪我を軸足・蹴り足・体幹に分けて紹介しています。

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崩れたキックフォームは様々な怪我につながりやすくなりますが、フォームを見る上でのチェックポイントは大きく分けて3つです。

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さらに専門的なキックフォームの分析方法はこちらからご覧ください!!


この後は、怪我しやすいキックフォームの特徴をオスグッド ・股関節痛・腰椎分離症の3つに分けてご紹介いたします!





オスグッドになりやすいキックフォーム

オスグッドになりやすい身体の使い方として指摘されているのは、重心が後ろに下がってしまうこと。

骨盤後傾位、すなわち上半身重心が後方に移動した姿勢では、膝関節伸展モーメントが高くなり、大腿四頭筋の筋活動が増加する。(中略)Osgood-Schlatter病の症例ではこの上半身の後方移動と骨盤後傾を伴う戦略を用いている場合が多い。
(引用:「膝スポーツ理学療法と運動連鎖」)

猫背やのけぞった姿勢のなったまま、スクワットなど踏み込む動きを行うと太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)へ過度に負担がかかっていきます。

実際に、猫背やのけぞった姿勢と背筋を伸ばして前にかがんだ姿勢でスクワットを疲れるまで行ってみてください。

おそらく前者の姿勢で行った際は、太ももの前に疲労感を感じたと思います。

これと同じことを子供達が行い続けることで、オスグッドによる膝の痛みに悩まされます。

実際にオスグッドで膝に痛みがあった選手のフォームがこちらになります。

他の選手(写真下)と比べても横から見た時の肩甲骨あたりの胸回りと軸足膝の距離感が遠いことがわかると思います。

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これがオスグッド になりやすい選手の特徴的なキックフォームになります。






股関節痛になりやすいキックフォーム

詳しく股関節痛について知りたい方はこちらをご覧ください!

こちらは、股関節痛のある選手(GP)とない選手(non-GP)での胸回りと骨盤まわりの可動範囲を比較した研究結果です。

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(引用:「サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証」)

この結果から分かるように、股関節痛になる選手は胸周りの動きが硬く、蹴り足だけで動かしていることがわかります。

こちらは過去に股関節の痛みがあった選手のフォームになります。

ものすごくフォームが崩れているわけではありませんが、特に胸回りの動きが硬くなり、足だけでボールを蹴るようなフォームをしています。

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反対側の腕と背骨が蹴り足と同時に大きくしなることで、インパクトの瞬間の股関節へかかる負担を軽減させます。






腰椎分離症になりやすいキックフォーム

腰椎分離症についてはこちらの記事を参考にしてください!

腰椎分離症になりやすい選手のキックフォームの特徴は以下のようになります。

キック動作のバックスイングの際に、腰椎には毎回伸展・回旋ストレスが加わる。特に、股関節・胸椎のタイトネスを有している選手は、腰椎の代償的伸展・回旋が起こりやすい。
(引用:「スポーツ理学療法 競技動作と治療アプローチ」)

足を大きく振りかぶった時に、股関節の硬さや胸回り(胸椎)の硬さがあると、キックフォームにおけるクロスモーションを行うことができません。

そのような選手は、上記のように腰だけで無理に股関節や胸回りの動きを補った結果、痛みにつながります。

こちらの動画は実際に分離症でリハビリをしている小学五年生のサッカー選手です。

蹴り足とは反対の腕の動きと背骨の動きに注目して見てください!

キックフォームを確認すると左足で蹴る時の右腕はしっかりと胸が張るところまで動いています。

しかし、右足で蹴る時は左腕は動いていますが、胸を張れるというよりかは腰をそらすようなうごきになっており、いわゆるクロスモーションをうまく使えていないフォームになっています。

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まとめ

今回は、キックフォームの崩れからくる怪我について紹介いたしました。

マストで見ていただきたいポイントは3つ。

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日頃の何気ないフォームに怪我を予防したりパフォーマンスを高めるヒントがたくさんあると思います。

子供達の可能性を最大限に引き出せるよう、指導のヒントにしていただければ幸いです。



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