サッカー選手を悩ませるグローインペイン症候群とは!?
はじめまして!
私、理学療法士の石橋 哲平(イシバシ テッペイ)と申します。
普段は、
千葉県松戸市にある整形クリニックや
柏市内にあるサッカーのJr.ユースチームや都立高校サッカー部でのフィジカルコーチ
関東大学リーグに所属するサッカー選手たちのパーソナルトレーナー
として活動しております。
その現場では、監督・コーチや選手たちから怪我の相談をよく受けます。
コンタクトプレーの中で怪我をしてしまったケースも多くありますが、大半は日頃のケア不足からくる怪我の相談でした。
その中で
「ストレッチの意味や必要性はわかっているけど、何をどうしたらいいかがわからない。」
といった相談もよく受けました。
その時、スポーツ現場での問題は
ストレッチやフィジカルトレーニングをやらないのではなく、方法論が分からず慢性的な痛みに悩まされたり、予防できる怪我も出来ていない
といったところにあるのかと感じました。
そのためこのnoteでは、サッカーにおける学生アスリートの怪我に対するケアや予防のためのセルフコンディショニング(ストレッチ・フィジカルトレーニング)について現場でできるような方法論などを交えて選手や監督・コーチスタッフの方々へお伝えできればと思います。
今回は多くのサッカー選手を悩ませるグローインペイン症候群という股関節周りの慢性的な痛みについてお話ししていきます。
グローインペイン症候群とは?
グローインペイン症候群とは
「股関節周辺の痛みの原因となる器質的疾患がなく、体幹~下肢の可動性・安定性・協調性に問題を生じた結果、骨盤周辺の機能不全に陥り、運動時に鼡径部周辺に痛みを起こす症候群」
と定義されています。
(論文:鼡径部痛症候群 その概念とリハビリテーション・予防 より引用)
簡単に言うと
原因となる怪我や痛み出したきっかけなどが特にないけど
股関節周りが突然痛くなり始めてきた
というのがこのグローインペイン症候群と呼ばれる怪我の定義になります。
なぜ、グローインペイン症候群は厄介なのか
グローインペイン症候群は、学生アスリートだけでなく多くのトップアスリートも長い期間にわたり悩まされる怪我です。
何故そこまで厄介な怪我なのでしょうか。
下の図は、グローインペイン症候群と受傷機転(怪我したきっかけ)の関係性を調査した結果になります。
(論文:スポーツによる鼠径部周辺部痛の発生状況 より抜粋)
さらに下の図は、グローインペイン症候群の再発割合と再発の有無による治療期間の差を記したものになります。
(論文:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証 より引用)
このことから
グローインペイン症候群は怪我した原因やきっかけがわからないため、治ったと思ってもすぐに痛みが再発したり、その後の治療に長い期間を要するため長期間の離脱を強いられること
が考えられるのではないでしょうか。
ここにグローインペイン症候群がいかに厄介な怪我で、日頃から予防のためのケアやトレーニングが必要なのかわかります。
だからこそ、慢性的な股関節の痛みに悩まされないためのフィジカルチェックやケア、予防トレーニングが必要となっていきます。
指導現場でもできる3つのグローインペイン症候群チェック方法!
ここでは、現場で活用できるグローインペイン症候群のチェック方法をお伝えします。
チェックの際、鼡径部に痛みや違和感を感じたり、動きやすい動きにくいなど可動域に左右差を感じる場合はグローインペイン症候群の危険性が高い状態です。
ぜひこちらを参考にフィジカルコンディションを確認してみてください。
股関節の可動域チェック❶
仰向けて片方の膝を内側に向け胸まで最大限に抱える。
股関節の可動域チェック❷
片方の足を4の字に組み、組んでいる側の膝を下まで下げて足を開く。
股関節の可動域チェック❸
両膝を立てた状態から足をつけたまま左右に開き、その際の左右の膝の高さを確認。
その他
選手が痛みや違和感を抱えている場合は、その場所や痛み方を把握しておくことも大事です。
以下の写真はグローインペイン症候群が疑われる選手の多くが痛みの場所として訴える一例です。
このような場所の痛みを訴える場合は医療機関への受診を勧めた方がいいかもしれません。
まとめ
今回は特に再発・慢性化しやすいグローインペイン症候群について定義やその特徴についてお話しさせていただきました。
再発・慢性化しやすい怪我だからこそ早期の発見と予防が大切になります。
そのためにも選手自身や監督・コーチの方々がフィジカルコンディションを常に把握しておく必要があります。
次回は、グローインペイン症候群になってしまった選手の身体的特徴と痛みの改善トレーニングについてお話しさせていただきたいと思います。
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