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キック動作の股関節痛予防とパフォーマンスアップトレーニング!!

夏休みも残りあとわずかとなり、高校サッカー界は冬の全国大会出場を賭け、各地で地区予選が始まりましたね!

特に3年生のみなさんは高校サッカーの集大成となる大会ですから、思いっきり楽しんでもらいたいですね!


さて、前回までサッカー選手特有の股関節痛(グローインペイン症候群)に対する股関節痛の予防トレーニングまでお話ししていきました。
(まだ読まれていない方はぜひこちらも読んでください!)



今回は股関節痛のない選手の特徴を抑えつつ、キック動作の股関節痛の予防とパフォーマンスアップへ導くトレーニングをご紹介します!


股関節に痛みのない選手の特徴

キックフォームについて村上は

ボールを蹴る動作は決して蹴り足側の筋力だけで行われているわけではない。重要なのは、仁賀らが定義しているように上肢・下肢・体幹の連動性・協調性である。

(引用:急性期治療とその技法)

と述べています。




よく指導者の方からも

「あの選手は足だけでボールを蹴っているような感じがする。」

と声をかけられることが多々あります。




選手のキックフォームを客観的に見てこのような違和感を感じたことがある指導者の方など多くいらっしゃると思います。




これが

上肢・下肢・体幹の連動性・協調性が欠如

しているキックフォームと言えます。




以下の図は、グローインペイン症候群を発症した選手(GP)と発症していない選手(non-GP)でのキック動作時における身体の使い方の違いを指摘する研究結果になります。

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(引用:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証)




これらの研究により、股関節に痛みを抱えない選手のキックフォームは

胸郭(胸回り)も含めた全身的な動きを利用して、そこで生まれた力をボールに伝えている

ことがわかりました。




では、なぜ胸郭の動きも利用したキックフォームが股関節への負担を減らすのでしょうか…


医科学的に見た理想のキックフォームとは!?

村上はインステップキックについて、

股関節の最大伸展位においては(中略)蹴り足の股関節が伸展していること。それに伴いしっかり体幹が伸展し、特に【胸椎】(胸郭)が伸展していることが重要である。

(引用:急性期治療とその技法)

と解釈しています。




これは、

テイクバックの瞬間に足の付け根から後方に引く(股関節伸展)だけでなく、胸回り(胸郭)を含めた背骨全体のしなりが重要であること

を指しています。




胸郭の動きも利用することで、

・キック時にかかる負担を全身へ分散できる
・より多くの筋肉を使うことができるので、ボールに伝えられる力が増す

このようなメリットがあります。




要は、

身体への負担を最小限に抑え、最大限のパフォーマンスを発揮することができるようになる

ということです。




そのためにも、キック動作時には、股関節の柔軟性だけでなく

【胸郭・胸椎を含めた背骨の柔軟性】

が求められるます。



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股関節痛の予防には〇〇をほぐせ!!

キック動作時の股関節痛を予防し、パフォーマンスアップにつなげるためにも

【胸椎・胸郭の柔軟性】


が非常に重要です。



ここでは、胸郭の柔軟性のチェック方法をご紹介します。


❶基本的な可動性チェック

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より実践的な可動域をチェックしたい場合は次の方法を行ってみましょう!


❷実践的な可動性チェック

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選手に指導していてよくあることは、

『ねじりやすい方向とねじりにくい方向がある。』


と訴えてくることがあります。




最低限

【可動範囲】
【動かす感覚】
【安定感】
これら3つの要素において左右差がない

このような状態を維持することを目標にトレーニングを行なっていきましょう!




股関節痛の予防とパフォーマンスアップへ!!

胸椎・胸郭の可動範囲を確認できたところで、実際に可動域改善トレーニングを始めていきましょう。




トレーニングの際に意識していただきたいポイントは3つ。

・腰ではなく胸回りを動かす
・肩甲骨から動かす
・へそを中心に上半身と下半身を分離させる

これらを意識しながらトレーニングを行なっていきましょう。




❶〜❺は難易度順に記載しています。
各トレーニングが左右差なく、余裕を持って行えるようになったら次のトレーニングを行いましょう!


❶胸椎・胸郭回旋エクササイズ

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❷胸郭・骨盤分離トレーニング

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❸片膝立ち回旋エクササイズ

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❹スプリット回旋エクササイズ

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❺クロスモーションエクササイズ

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まとめ

キック動作において必要なのは




股関節の柔軟性だけでなく

【胸椎・胸郭の柔軟性も必要であること】

をお伝えしました。




キック練習を繰り返してもなかなか上達しない選手がいる場合は、

【身体の使い方を見直す】

ことも手段の一つだと考えています!





その一つの手段として今回紹介したセルフチェックやトレーニングを取り入れていただけると幸いです。

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