キックフォームの軸足と股関節痛の関係性
前回までは、蹴り足や全身の機能からみた股関節痛の予防とキック動作のパフォーマンスアップについてお話しさせていただきました。
みなさん見ていただけたでしょうか!?
まだご覧になっていない方はこちらからご確認ください!
その中で大切なポイントは
【蹴り足だけで打つのではなく上半身を含めた全身的な動きで打つこと】
とお伝えしました。
そして、キック動作でもう一つ重要な要素は
【軸足の安定性】
であると私は考えています。
現役の選手や指導をされている方もキック動作を指導する際は【軸足】にもフォーカスすることがあると思います。
自分もサッカーを始めた頃はコーチに軸足の置き方をすごく指導された覚えがあります。
軸足の置き方、置き所によっては
【ボールのスピードや質・正確性】
が大きく変わっていきますよね。
キックのパフォーマンスにも大きく影響してくる軸足ですが、近年の研究では、キック動作時の股関節痛にも影響していることがわかったのです。
したがって今回は、
【キックフォームと軸足】
をテーマにインサイドキックを中心に股関節痛との関係性やパフォーマンスアップに必要なトレーニングについてお話しようと思います!
キック動作と股関節痛
特に蹴り足の股関節痛を誘発しやすい蹴り方は、インサイドキックとされています。
(引用:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証)
でも、なぜインサイドキックがより股関節を痛めやすいのでしょうか。
現代サッカーにおいて重要視されているショートパスを多く反復するから痛みが出てくる。
もちろんそういった研究の結果も出ていますし、キック時の体の使い方の違いが痛みの原因であると指摘している研究結果も多く出ています。
その中で村上は、
インサイドキックの軸脚側では軸脚側と蹴り脚側の双方への影響がある
(引用:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証)
と軸足機能に対しても指摘しています。
インサイドキックと軸足の関係性
では、一体インサイドキックの股関節痛と軸足はどのような関係性があるのでしょうか…。
下の図は、股関節痛がある選手(GP群)とない選手(non-GP群)でキック動作時の姿勢の違いを指摘したものになります。
(引用:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証)
この図を見る限り、
GP群は
【軸足と体幹の距離】
が離れていることがわかります。
これは、
【キック動作時の重心がGP群のほうが後方に位置している】
ことを指しています。
また、下の図は、GP群とnon-GP群でキック動作時の重心の移動速度の差を指摘したものになります。
(引用:サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証)
統計学的な差は認められませんでしたが、GP群は重心移動の速度の減少が大きいことがわかります。
この結果から、
GP群は重心移動で起きる
【身体を前方へ移動させる力】
をうまく利用してボールに力を伝えられていないことがわかります。
『蹴った足が次の一歩目になるように足を振りなさい』
とコーチから指導をされたり、選手へ指導することがありませんでしたか?
これは、次のプレーへ素早く移行できるだけでなく
蹴り足が次の一歩目になるよう軸足にしっかりと重心を乗せることができるようになれば、
【蹴り足にかける負担も軽減させることができ、インサイドキックを繰り返しても股関節痛を引き起こす危険性を最小限に抑えられることができる】
かつ、
【重心移動で得られたパワーをもボールへ伝えることができるので力まずにもボールスピードを早めることができるようになる】
と考えられるからです。
したがって、軸足の安定性が高ければ
【蹴り足側の股関節痛の危険性を最小限に抑えながら、重心移動を利用してプレースピードやボールスピードを早めることができるようになる】
と考えられるのではないでしょうか。
軸足の安定性をチェックしてみよう!
軸足の安定性が蹴り足にかける負担に大きく影響していることがわかったところで、実際に軸足の安定性を確認してみましょう!
チェックポイントは2つ
❶姿勢を保持できるか
❷上半身が軸足の真上にあるか
これらを意識して動きを確認してみましょう!
片脚立ち
片脚スクワット
フロントランジ
軸足の安定性向上トレーニング!
軸足の安定性が確認できたところで実際に安定性を向上させるためのトレーニングを行なっていきましょう!
トレーニングの難易度順に掲載しています。
安定した姿勢でトレーニングが行えるようになったら次のトレーニングに移行していきましょう!
Calf-raise
Split DL
フロントランジ
まとめ
今回は
【キックフォームと軸足の関係性】
から見た股関節痛の予防とパフォーマンスアップについてお話しさせていただきました!
単純なキック動作でも全身の動きが整っていれば、
【怪我につながる危険性が少なくなりパフォーマンスをあげる】
きっかけにもなります。
定期的に
【身体のコンディションを把握し、整える時間】
を設けることでよりサッカーのための練習に打ち込めることができると思います。
このnoteを通して
自分自身や選手の体と向き合いどうすればコンディションを整えることができるのか気づきのきっかけとなっていただければ幸いです。
ライタープロフィール
【様々な競技で起こりうる怪我に対する対応や予防のためのトレーニング紹介マガジン】
多くのアスリートや指導者の方々に読んでいただきたいです。
こちらも合わせてよろしくお願いいたします!
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