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【J-TECH STARTUP2020受賞】シード枠で受賞した5社を紹介!

世界に羽ばたく日本の技術系ベンチャーを選定する「J-TECH STARTUP SUMMIT」。5回目を迎える今回、ご応募いただいた中から認定企業が決定しました。

J-TECH STARTUPとは

「J-TECH STARTUP」とは、技術をビジネスのコアコンピタンスとした事業において、グローバルな成長が期待されるベンチャー企業を認定する取り組みです。ベンチャー企業の支援組織であるTEPが選考を行い、認定企業を選出します。

対象企業は、技術をコアコンピタンスとしているなら、分野はハードウェア、ソフトウェアなど問いません。バイオ技術、先端素材、ロボット、人工知能、自動運転、組み込み型ソフトウェアやクラウド上の処理エンジンなども対象となります。

■認定企業の基準
認定企業は、以下の基準を満たしたものに与えられます。
(1)事業の革新性(産業構造を変えるような技術であること)
(2)経済的な発展(対象とする産業規模が大きく、影響が広範囲に及ぶこと)
(3)社会的影響力(世界社会に与えるインパクトが大きいこと)
(4)事業の実行力(競争優位性、マネジメントチーム、戦略の全体整合性)

さらに、今回は「シード枠」と「アーリー枠」の2つのカテゴリに分けて認定企業を選出しました。

・シード枠
ベンチャーキャピタル等から出資前の企業が対象。エンジェル出資、クラウドファンディングからの資金調達を受けている企業、および起業予定者も含まれます。

・アーリー枠

ベンチャーキャピタル等から出資を受けていて、以下3つの要件を満たす未公開企業が対象です。
(1)資本金額:1億円以下
(2)従業員数:50名以下
(3)大企業の子会社ではないこと ※法人の設立年は問いません。第二創業も対象。

J-TECH2020では10社が認定企業に

選考の末、「J-TECH STARTUP2020」の認定企業が決定。今回はシード枠から5社・アーリー枠から5社、合計10社が選出されました。

認定企業に選ばれると、メディアの掲載や投資家とのネットワーキング、専門家によるメンターやグローバル展開へのサポート支援などを受けることができます。今回は、主に以下の特典が与えられます。

(1)2021年2月に行われる認定証授与イベントにおけるネットワーキングの構築
(2)TEPの海外連携先である世界各国の「グローバルパートナー」(合計19都市29名)を通じたネットワーク紹介等の船渡し
(3)TEPによる事業計画策定支援や知財管理、資金調達計画のアドバイスなど無償サポート
(4)認定企業の事業内容や技術の紹介につながるメディア掲載へのサポート

シード枠5社を紹介

それでは、今回シード枠として選ばれた5社をご紹介します。

(1)株式会社ミルイオン 

【ミルイオン】ロゴ3


「質量分析イメージング」と呼ばれる分析手法に強みをもつ、大阪大学発のスタートアップ企業。質量分析イメージングでは、「どのような分子が・どこに・どれだけあるか」を分析していきます。たとえば生体内の医薬品イメージング、植物や食品の成分分布といった解析に応用することが可能です。

なかでも、同社はこの手法を活用した毛髪検査に力を入れており、検査では違法薬物の診断やストレス状況などを見ることができます。採取した毛髪をもとに、質量分析イメージングを用いて解析。この検査方法ならば、多くの毛髪を使用しなくとも1本の毛髪から検査可能に。また過去から現在までの履歴を見ることができるのも同社の技術における大きな特長です。

・TEPからの評価コメント
欧米では既に違法薬物検査の大きな市場が確立されており、ビジネスとしての高いポテンシャルが見込まれることが評価されました。今後は本社を北米に移すなど、市場への直接的アクセスを増やし、ビジネスの加速が期待できます。

(2)株式会社I'm beside you

【I'mbesideyou】ロゴ3

新型コロナウイルスによって、オンライン上でのやりとりが一気に増えている現在。便利な一方、相手の反応が読みにくくコミュニケーションが難しくなるといった側面があります。そんなコミュニケーションの難点を解消すべく、同社では、AIを活用し、オンラインコミュニケーションの質を上げるためのサービスを提供。

オンライン上に見られる表情や視線、顔の向き、音声などをAIで解析し、総合的に判断します。たとえば、教育現場において生徒の反応を“見える化”することも可能に。解析した結果をもとに、マネジメント陣はコミュニケーションの質を担保したり、生徒に対して最適な講師とマッチングさせたりすることもできます。また、子どもの様子を保護者側に知らせる手段にもなりえます。

・TEPからの評価コメント
コロナ渦でオンラインによる商談や会議が急激に増えていますが、まだまだ対面でのコミュニケーションには及びません。様々なテクノロジーによって、このギャップは埋められると思いますが、同社はそこに着目した技術とビジネスモデルが評価されました。

(3)Veneno Technologies株式会社

【veneno】ロゴ3


イオンチャネルをターゲットに、医薬品事業とバイオケミカル事業を推し進める同社。

医薬品事業では、創薬が困難であるさまざまな膜タンパク質を標的とした新規ペプチド医薬品の創出・研究開発しています。なかでもイオンチャネルに作用する天然物(DRP)にヒントを得た創薬に注目。DRP創薬を実現するために、「DRP焦点化ライブラリ」「PERISSTM 進化分子工学に基づく革新的HTS法」「DRP製造法」といった基盤技術を導入しています。

また、バイオケミカル事業では、環境負荷の低いグリーン農薬の創出や研究用分子ツールの開発を行っています。

基盤技術はほぼ完成しているため、今後はライセンス活動を活発に行いながら、製薬企業などと共同研究やライセンス契約締結を進めていく予定です。

・TEPからの評価コメント
注目が集まるペプチド医薬分野では、低分子創薬ベンチャーが市場で高い評価を得ていますが、中分子創薬に着目した企業はまだ少ない状況です。その中で、同社は膜タンパクを標的とした中分子創薬を創出するビジネスモデルとそれを可能とするスクリーニング技術が評価されました。

(4)株式会社A-CLIP研究所

【A-CLIP】ロゴ3

同社では、医薬品(治療薬、臨床検査薬、検査キット)の研究開発、販売、研究支援を行っています。

30年以上にわたる炎症性疾患と感染症の基礎研究、国際共同研究の成果をもとに、発症・治療のメカニズムが未知な疾患に対して診断薬や治療薬の研究開発を推進。たとえば、東南アジアやアフリカなどに多い感染症の簡易診断や治療法の開発をしています。

現在では、新型コロナウイルスSARS-CoV-2ウイルス感染症(COVID-19)血管炎治療用VasSFにも取り組んでいます。COVID-19は川崎病と同様に、血管炎や心血管炎が起こることで悪化しますが、重症化・血管炎に至る根本的な原因については明らかになっていません。そこで、VasSFはCOVID-19の治療薬候補として、研究を進めています。

・TEPからの評価コメント
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、血管炎やその治療薬に注目が集まっています。同社は血管炎症状を持つ川崎病とその治療薬を長年研究し、その成果が実用化に近づいていることが評価されました。

(5)株式会社天地人

【天地人】ロゴ3

宇宙ビッグデータを用い、ソリューション開発を進めている同社。2000年以降、異常気象件数2倍になり、農業の生産性にも大きな影響を与えています。そこで、衛星データとAIを活用し、土地利用の最適化を実施。特許出願中の土地評価エンジンを使用し、それぞれの土地に適した種類や作物を提案することによって、害虫・昆虫リスクや病気の予測が可能となります。

ビッグデータを活用した事業のひとつとして、ゼスプリフレッシュプロデュースジャパンと協業し、ゼスプリブランドであるキウイフルーツの栽培拠点を探索するプロジェクトを展開。品種にマッチしながらニュージーランドと似た気候条件や地形が日本にないかを発掘していく作業を進めています。

・TEPからの評価コメント
地球温暖化の影響などから、近年植物の生育分布の変化や、魚類の回遊経路の変化が起こっています。同社は様々な衛星データを使ったデータ処理により、利用価値の高いデータとして市場に提供するビジネスモデルや気候変動への対応や南半球・北半球の季節対称性活用などから今後のビジネスの広がりが期待できることが評価されました。

「第5回 J-TECH STARTUP SUMMIT」で認定証を授与

以上、今回ご紹介したシード枠5社、そしてアーリー枠で選出された5社については2月に行われる「第5回 J-TECH STARTUP SUMMIT」にて認定証を授与します。

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イベントでは「大学や研究所が抱える技術シーズの事業化」にフォーカスし、大学や研究機関との連携、大企業とのオープンイノベーション等のテーマでパネルディスカッションを実施する予定です。

技術系スタートアップの方や、起業を志す研究者の方はもちろん、有望な投資先・提携先を探したい大企業の方にとっても有益な機会となります。興味のある方はぜひご参加ください。

■イベント概要
「第5回 J-TECH STARTUP SUMMIT」
・開催日 2021年2月24日(水)14:00~18:00
・オンライン配信

■当日プログラム(予定)
14:00 開会挨拶、概要説明
14:15-15:00 基調講演 登壇者:調整中
15:00-16:00 認定企業によるピッチ(事業紹介)
16:00-16:10 表彰式
16:10-16:55 パネルディスカッション① 登壇者:調整中
17:00-17:45 パネルディスカッション② 登壇者:調整中
17:45     閉会挨拶
TEPはディープテック・スタートアップのエコシステムビルダーです。技術をビジネスへブーストさせるため、さまざまな研究機関や企業、行政と連携しています。
お問い合わせはこちらから。 https://www.tepweb.jp/contact/


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