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アコギな日々

御縁に感謝です。



移住の真実

昨日の投稿で、大阪で生まれ育った僕が栃木に移住した話をしました。


「移住する前年(2000年)の秋頃から、道筋はできていた」と綴りました。


その“秋頃”、僕は栃木県の日光に行き、自然に囲まれた空間で心を鎮めて、それまでの人生を振り返っていたのです。

その時に、いきなり、浮かんできた想いがありました。


「あ~、アコギが欲しい!」



アコギな因縁

小学5年生の頃。

お年玉で、僕は一本のギターを買いました。

テレビで“ニューミュージック(今や死語!?)”のアーティストが演奏している姿に惹かれたのですが、楽器店で勧められたのは、ガットギターと、「『禁じられた遊び』が弾けるようになるための教則本」だったのです。

さらには、アーティストが弾いているギターには、パンダのような“たれ目”*がついているのに、僕のギターにはついていないことに気がついたのでした。
(*ピックガードのこと)


中学校に入って、「ギターコード」というものの存在を知りました。

そして、またお年玉を貯めて、今度は“たれ目”のついたギターを手に入れるのですが、どうしても“F”のコードが押さえられなくて、何度も何度も挫折していたのです。

結局、何年も経ってから、“宝の持ち腐れ”になるという理由で、音楽をやっている友達に譲って、自分のもとからアコギというものは無くなってしまいました。

その数年後に、日光の景色を観ながら、「欲しい!」という思いが湧き起こってきたのでした。


無謀からの希望

日光からの帰り道、「渋谷で途中下車して、買いに行こうか」とまで思いましたが、気がつけば東京駅から新幹線に乗り込んでいたので、その計画は頓挫しました。


頓挫したものの、当時開いていた自分のサイトに、『アコギな日々』と銘打って、アコギに関するウダウダ話の公開を始めたのでした。

「自分は、いかにしてアコギに挫折したか」というような、ある意味での恨み節も込めながらも、ウダウダ綴ってました。

そのエッセイの4~5本目で、パソコンを打つ僕の指先は、思わぬ言葉を打ちます。


「こうして、僕は、楽器店に行った」

『アコギな日々』第1章


その数日後、自分の発した言葉に引っ張られるように、大阪の楽器店に足を運んだのでした。

一本のアコギに手を伸ばし、なぜか覚えていた“F”コードを押さえて、鳴らしてみると、見事にクリアな音色が響き渡りました。

そこで気を良くした僕でしたが、すぐにそのアコギを家に連れて帰ることはせずに、数日間、考えました。

考えた結果、週末のある日、楽器店にそのアコギを迎えに行ったのでした。


奇跡の六弦

狭いアパート住まいの僕は、やたら声のデカいアコギを思いきり歌わせてやることができず、ボソボソと音を鳴らしていました。

そんな弾き方で、上手くなるわけがありません。


だけど、僕の“別の能力”が上手くなり始めたのでした。


すでに、サイトで、“アコギ”に関するエッセイを公開していたので、机の前でアコギを抱えながらパソコンのキーを打ち始めたのです。

たまに、「キーが打ちにくいなぁ」、「アコギが邪魔だなぁ」と思いながらも、思い浮かぶ“ことば”を綴っていると、泉の如く“ことば”が浮かんでくるのです。

そして、エッセイの7作目で、“エッセイ”を書いていたつもりが、ストーリー性を帯びてき始めたのです。


「時は17世紀のスペイン」

「親の勧めで法学士を目指している青年が、フラメンコギターを手にする」

「勉強に出かけてくると家を出て、バーに行ってはギターを演奏する」

「やがて、親にバレて、ギターを取り上げられる」

「逆上した青年は、バーに行って暴れる」

『アコギな日々』第2章


僕は、何を綴ってるのだ?


その後も話は意外な方向に進み続け、最後には、紀元前のギリシャを舞台に、純粋な恋愛物語が展開したのでした。


哀しきアコギ。

ちゃんと演奏してくれる人のもとに引き取られたのなら、幸せな音色を響かせることができたはずなのに・・・

よりにもよって、パソコンの前で、持ち主の指は、弦に触れることがほとんどなく、パソコンのキーを打ち続けるばかり。


ところが、意外な道が開けたのでした。


餃子の手招き

我が家にアコギを迎えてから半年後、ある新聞広告を目にしました。

「出版相談会」


エッセイを、何本ほど生み出したでしょうか。

途中から、ストーリー性を帯びてきたエッセイをプリントアウトして、僕は、その相談会に足を運んだのでした。


「お~っ! 面白いですね。これをまとめて、本にしませんか?」

今から思えば、出版社の甘いトークだったのですが、当時の僕は真面目に捉えて、「1ヶ月ほど時間をください」と答えたのでした。


それから1ヶ月間。

朝から夕方まで仕事に出かけ、帰宅後、クタクタになっている頭に喝を入れながら、そのストーリーをまとめました。


そして完成!

ポストに出版社あての原稿を投函し、仕事に出かけました。

その日の夜、高速バスに乗って、宇都宮に向かいました。


宇都宮に着いて、僕は声を出さずにつぶやきました。

「大阪という、流れのあわただしい地で、落ち着いて創作活動などできやしない!」

「もっと、静かな環境で、じっくり“ことば”を編んでいきたい!」


その瞬間、僕は、“声”を感じたのでした。

<詳しくは・・・↓ ↓ ↓ ↓ ↓>


そして、“大阪で生まれた男”は、“栃木県民”となったのでした。


リセット

栃木に移住して間もなく、出版社から返事がきました。

「素晴らしい作品です」

「ぜひ、出版化しましょう」

「当社が、責任をもって販売いたします」



「・・・ただし、X百万円がかかります」


世の中に、そんな美味しい話はありません。

ほぼ全財産を費やして栃木に移住した僕には、X百万円など無理な話です。


結局、すべてがリセットされたのでした。


誘い水

「小説家デビュー」は、はかない夢でした。

おそらく、僕には、この栃木の地で、成し遂げるべき使命があったのでしょう。

あるいは、この栃木の地で、出逢うべき人がいたのでしょう。


アコギも、小説も、そのための誘い水だったのでした。



20数年前のことを思い出してみました。

それでは、また、2023年の僕に戻ります。


今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

皆さまの心に、キラッとしたものをお届けできれば幸いです。


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