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駒大生と哲学してみる・ジェンダーについて

1.今回の哲学講義

 第二回目である今回は、佐藤文香『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた-あなたがあなたらしくしられるいられるための29問』明石書店、2019年、を題材に、哲学講義しました。

 この本は、ジェンダーゼミに所属している学生たちが、実際に友人・知人から投げかけられた様々な「問い」に悩みながらも真摯に向き合い、答えていくというQ&A集です。

 タイトルに「大学生が真剣に考えてみた」とある通り、問いに対して大学生視点で答えてあり、ジェンダーについてあまり知識がない私達でも理解しやすかったです。

今回は、

・「〇〇男子/〇〇女子」って言い方したらダメ?
・男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし
仕事の向き不向きはあるんじゃない?

以上の二つの問いについて各自で考え、1人ずつ自分の意見を発言した後にリフレクションを入れるという方式で行いました。

 2.実際に出た意見

以下、実際に出た意見の要約です。

「保育士等女性が多い業種でも力仕事が多いとあったが、自分の働いている花屋も水仕事、力仕事が多かったりする。自分の働いている花屋は男性がおらず男性が入りにくくなっている。また花屋ということでイメージとしても入りにくい。辛いとは思っていないが、男性が入りにくいというのが問題なのではないだろうか。」

「男性は仕事、女性は家事という感じではなく性別関係なしに得意なことをやればいいと思った。性格や、好きなことを性別と結びつける必要はない。それぞれの個性を受け入れて、尊重し合える世の中になればいいなと思う。」

「〇〇男子、〇〇女子はコミュニケーションの一部だと思っていた。これをきっかけに関係を持てることもあるので〇〇男子、〇〇女子は悪い意味だとは思わない。」

「数学のテストで性別によって差があると伝えられた人と、性別によって差があることを伝えられなかった人の話があった。言った側にも問題があると思うが、言われたことで点が変わってしまった受け取り手にも問題があるのでは。」

「スイーツ男子は今珍しくない。「スイーツ女子はお菓子を『スイーツ』と呼んでおしゃれを装う女性たち(笑)」と書いているがこれは筆者が普段思っていることであるから書けることで、この考えはあまり良くないのではないか。
シェフは男性が多いのに、料理は女性と決め付けていることから、筆者は家庭や日常で起こっている普通しか言ってないのでもっと周りを見るべきなのではないか。」

「妊娠や結婚で女性が辞めるというのは古い考え方だなと思った。
イクメンという言葉も不思議に思うが、企業によってはイクメン休暇を取り入れているところもあり今は変化していると思った。」

「ジェンダーを取り入れようという取り組みが多くなってきている。ある大学ではミスコン・ミスターコンを混合させて個性重視で行なっているところもあるそうだが、らしさを潰してしまうのでは?
男性らしさ、女性らしさというところの使い分けが必要であり、多様性を伸ばしていく必要がある。」

「〇〇男子、〇〇女子を気にする人は気にするんだなと思った。」

「〇〇男子、〇〇女子に対してネガティブに考えすぎではないのか。〇〇男子、〇〇女子は特徴であり、少人派であるから言われること。少数は誇れることだと考えていることもあるがポジティブに考えるべきでは。」

「〇〇男子、〇〇女子に皮肉や強い意味はあるのか?日本という環境というだけであってバカにされることではない。男性は男性、女性は女性で出来ることがあるので使い分けが必要。」

「固定概念を皮肉として言わなきゃ差別にもならないのではないか。」

「男女平等を考える前に男性の中でも育ってきた環境も違うのだから平等はない。公平に考える方が同じ立場になれる。男女平等を考えるより公平を考えるべき。」

「〇〇男子、〇〇女子で皮肉を言うよりも同性の中で皮肉を言い合う方が酷いことではないだろうか。」

「男らしいとか女らしいは個人の価値観によって定めるべき。ショートカットにしたときに「女らしくないね」と言われたがこれは社会の先入観ではないだろうか。男らしいとか女らしいは個人の価値観によって定めるべきと言ったが、人はそれぞれ育った環境が違うから「らしい」も違うのでは?」

3.まとめ

   私たちは、まだ学生で社会に出ていないため、今まで実際に男女差別を経験したことがなく、男女平等が当たり前であると考えているような感じがしました。

   これからの時代、さらにジェンダーレスやダイバーシティの考えが普及していくことを考えると、男性らしさ、女性らしさ、というような固定概念はもう古いのではないかと思います。

   今回は、初めてリフレクション形式で意見交換を行いました。話す側も、聞く側も、意見がきちんと伝えられているか、受け取れているかを確認でき、勉強になりました。また、自分の考えや思いを言葉にして伝えることは難しいと改めて実感しました。

 今回も、みんなの意見が聞けて面白かったです。やはり、人はそれぞれ異なる価値観を持っているので、それを共有できるのは良い経験ですね。

次回のテーマは、コミュニケーション障害の予定です。

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