謝りたいこと

2024.1.30
誰かを好きになるということは、好きになった相手から同じだけ気持ちを返してもらいたいという願望が含まれていて、好意を持たれるというのは時々その事への期待をはらんだ相手の目をどう扱うかという結論を迫られることなのではないかと最近考える。前はもっと生きるのに必死だったので、そういうことに気づけなかったのだけれど。

いやな夢を見た。中学の頃仲良くしてくれていた友人が、大金持ちになって私に復讐してくるという内容だった。復讐と言っても、中学の頃貸したノートや写させた宿題の貸与費用を返せと80万くらいを請求されるというものだった。けれどもそのことを何年も恨まれていたのに、呑気にも綺麗な思い出としていた自分が恐ろしくて、私は泣いて許しを乞うしか無かったのだ。夢の中での彼女は見た目も話し方もすっかり変わっていて、パトロンからプレゼントされた黄色いポルシェで私を威嚇してきた。目が覚めた時、私は真っ先に昔使っていたインスタのアカウントを開いて彼女の近況を探した。14歳の面影を残したまま少しの色気を放つ彼女がそこにはいて、私を威嚇した黄色いポルシェもなければ特に連絡をしてきているというようなこともなかった。
中学卒業後も仲良くしてくれていた人はいたが、一人をのぞいていずれも関係が悪くなっている。夢に出てきた彼女ともうひとりは、私はかなり好きだったのだが、相手はそうでなかったようだ。なぜそれを私が知っているのか。それは2人とも卒業式で渡し合った手紙に「今までありがとう」「楽しかった思い出は忘れないよ」というような言葉はあったけど、「これからも仲良くしよう」はなかった。明確に、ここで私という存在を中学時代の思い出の中に置いていくという意思を感じた。とても寂しかったけど2人のことは恨んでない。むしろ不安定で嘘つきでだらしない私とよく仲良くしてくれていたなと当時もうっすら思っていたし、大人になった今、よりいっそう思う。しかしながら、不安定で嘘つきでだらしなかったことを恨まれているのではないかと、心のどこかで思っていたらしい。

謝りたいなと思う気持ちが心の底の方でユラユラしている。でも謝ってもあの時したことがとりもどせるわけでもないし、そもそも今あのころのことを彼女がどう振り返ってるか分からない。過去の何もかもが怖い、と時々思うことがある。
みんなの奥底にもこういうゆらゆらがあって、隠して、そんなこと過去にしてたって私は気にしないよって笑ってくれそうな友達の顔を想像して目を閉じて、過去の本を開くのは一旦やめとする。

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