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夏着物ウォッチング@国立劇場

あっけなく、夏になった。春の単衣は袷の帯、八寸帯で角出し、紗の博多帯とそれぞれ試せたが、夏着物の準備はまだなので、長唄協会の夏季定期演奏会には麻のシャツで行く。

八王子で最高気温39度を記録したこの日、出足は鈍かったものの、涼やかな和服姿の来場者の割合は春と同じ程度で、私の隣に座っていらした方は全体に鳥獣戯画を染めた夏紬で、パナマの草履でピカピカのお出かけ感万歳。熱心に、楽しんでいらした。

今回、特に真似したかったのは、海老茶に白っぽい花を散りばめた飛び小紋で、というのも、芸者さんのグループが薄いブルーの着物に白の帯で、神がかった美しさを周囲に振りまいているのを見て、怖気付いてしまったからだ。

そして、午後になると、舞台に出ていた奏者の先生方が楽屋から出ていらして、みなさん、舞台用の黒紋付の上に透ける羽織りを着ていらした。黒紋付は「絽」の他に柄のない「本紗」があって、本紗は下に着ているものが完全に透けるので、二種類あることになる。着物も帯も薄いせいか、帯揚げを見せない慎ましさが強調されるように思えた。

演奏はどの曲も素晴らしく、若手から「今日が最後」とおっしゃるお歴々まで、舞台の上はドラマが満載。自分自身、ドラマチックな気分になれるのはなぜか、長唄協会の演奏会で、今回は十年続けてきて、初めて、長唄の扉が開いた。涙がでた〜。

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