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團菊祭五月大歌舞伎『伽羅先代萩』 政岡の赤い衣裳

評判を聞きつけ、幕見席で夜の部を観劇。上演は今週いっぱい。幕が開いた瞬間、この演目の人気がわかるようでした。大向こうも立派で、憎々しい悪役・八汐は代役の中村芝のぶ丈でした。芝のぶ丈は国立劇場の養成所から成駒屋に入門し、昨年の『マハーバータラ戦記』に続く、抜擢。お顔立ちなのか、お若いからなのか、目元がギラギラしていて、スピード感があり。傍らで、米吉丈も堂々と。

松竹歌舞伎座『伽羅先代萩』特別ビジュアル


さて、その感想は? うぁ〜ん、政岡、可哀想。とっても、辛い話で、涙ぐんでしまった。一場の『御殿』は中身の半分が、子役ふたりと政岡だけの芝居。

打掛を脱いでの「飯炊き」というお茶の道具で、幼い殿・鶴千代が食べるご飯を炊く、長い場面がある。政岡の赤い衣装をじっくりじっくり、見守る。共に仕える政岡の子・千松役の丑之助丈は、一言で説明するなら「ムードがある」。その後、悪役一派がお菓子の盆を持ってドヤドヤと押しかけてきて、アッと思ったら、もう……。政岡、知らんふり。かと思えば、感情爆発(涙)。

二場の『床下』ではふたりの敵対する役者が、それぞれの思惑を垣間見せるだけの場面なんだけど、これが気分直しにはちょうど良い。「面明かり」という蝋燭の灯りが使われていて、引っ込みはライトで定式幕に影をあてて、ゆらゆらさせながらの退場。情緒がある。

それにしても、平日の四階席。和服姿は私だけだったようで、元気に階段を降りて帰る。

※千秋楽を終え、襲名の発表がありました!

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