明日の自分は、他人

上司から12月はいそがしくなると告げられた10月の半ば

思わず出た言葉は

「大変そうですね〜」

それを聞いた上司は、笑いを堪えながら

「なんでそんな他人事なの?自分のことだよ?」

とわたしに話が通じなかったかのように諭した。

そう言われて、思わず言った

「未来の自分は、他人です」 

この考え方は、生き急ぎ焦る現代人にとって、ある意味救いになるかもしれないと思った。

今を生きる現代人は忙しく、真面目だ。

学校、職場、家庭、様々なフィールドで

スキルアップ、向上心、人間関係、仕事、勉強、エトセトラ。

やること、悩むことで日々ヘトヘトになりながら成長しようともがいている。

その姿は本当に美しいだろう。

でもね、

時間はほっといても流れる

もがき苦しんで壊れる人が絶えない世の中

もうちょっと、自分に無責任になってもいいんじゃないか

自分は今の自分だけで、過去の自分も未来の自分も自分じゃない

だから、過去の自分に後悔しても、

未来の自分に絶望しても、

関係ない。だって他人だもの。

自分とは、今この瞬間の自分だけ。

今この瞬間の自分と、どう折り合いをつけるか。

思いっきりがんばってもよし、

思いっきりだらけてもよし、

なにも考えずにただ過ぎていったっていい。

瞬間、瞬間で出来ることは限られている。だから何事を成しても成さなくても、諦めがつく。

競争社会、諦めたら負けと言うけれど、そんなことはないと思う。

結局、どうにかこうにかできるのは今しかないのだから、この瞬間、最善をつくす。

そして、手放す。自分を。

1秒過ぎたら、もう他人。

そして迎え入れる。新しい自分を。

初めまして、わたし。

こんなふうに考えた方が、毎日を新鮮に生きることができるのではないだろうか。


ちなみに先の上司は「自分を客観的に見れるかもしれない、いい考え方だな」と言いながら、しばらく笑い転げていた。


こんな素敵な上司のもとで、来る師走を待ちながら、わたしは定時で帰宅する。

仕事のことなんか、ころっと忘れて。


初めまして、そして、さようなら、


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