TENTOで学ぶプログラミング言語① Scratch
Scratchの特徴
Scratchはマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボで開発されたヴィジュアル・プログラミング言語です。ほとんどがマウスだけで操作でき、タイピングスキルがあまり必要とされないため、プログラミング教育のために活用されることが多くなっています。
紹介としては、下のリンクがとてもわかりやすくまとまっています。
倉本大資先生は、TENTO講師のリーダーであるとともに、Scratchのメンターとしてもたいへん高名な方です。『Scratchではじめる機械学習』『使って遊べる!Scratchおもしろプログラミングレシピ』『小学生からはじめるわくわくプログラミング』など、複数の書籍を執筆されているばかりでなく、最初期からのScratchユーザでもあります。
倉本先生にScratchの魅力について語っていただきました。
VJとしてScratchに出会った
Scratchをはじめて知ったときのことを教えてください。
「僕は長くScratchワークショップの講師をやっていますが、はじめは誰かに教えようと思っていたわけではないんです。完全に遊びで、たまたま見つけました。Scratchには世界的なコミュニティがありますが、そのころはそういうものがあることもまったく知らなくて。……以前、VJをやってたんですよ」
VJ? クラブとかで映像流す人ですか?
「そうです。フロアで酒飲みながら踊りまくっている人たちに、映像を提供していました。そういうグループのメンバーだったんです」
「DJはわりとタイムテーブルが決まってて、『この時間はこの人』という感じになっていることが多かったんですが、VJは僕らのグループだけで回さなければなりませんでした。オールナイトのイベントとか、明け方までやるんですが、とにかく眠いんですよ(笑)。パソコンのキーボードにつっぷして寝てしまって、気づいたらモニタに意味不明の文字列が表示されていた、なんてこともありました。……翌日寝ないでワークショップ行ったこともあったっけ。子どもに『今日は眠そうだね』とか『服からタバコのにおいがする』とか言われたりして」
VJとしての活動とScratchは、どう関わっていたのでしょうか。
「VJはライブコーディングのような形でやることが多かったんです。映像つくって流したり、DJの名前やロゴを表示したり。リアルタイムでなにかをするということがとても多かった。そのころ、Scratchと出会いました。画期的でした。『これ、ドラッグ&ドロップでスイスイいけるじゃん!』と思いました。Scratchのおかげで、仕事がずいぶんラクになりました」
Scratchのいいところ
「Scratchには3つの側面があるといわれます。
1 プログラミング言語であること
Scratchはブロックと呼ばれる命令のまとまりを積み上げてつくっていくんですが、これはJavaとかPearlとかでプログラムを書くこととまったく変わらないんです。何か不具合がある場合、文字言語なら以前書いたソースをたどっていきますが、Scratchではそれがブロックになっています。やってることはまったく同じです。
2 開発ツールであること
Scratchはれっきとした開発ツールです。ゲームをつくることもできますし、映像を制作することもできます。動画のかたちで物語や詩などを発表する人もいれば、ロボットを運用する人もいます。
3 ユーザーコミュニティが充実していること
世界的なコミュニティがあるため、自分の作品を世界に向けて発信できます。Scratchデザインスタジオに作品を掲載することも可能です。コメント機能もあるので、同好の志に出会うこともできるでしょう」
Scratchは教育用学習用の言語だとよく言われますよね。
「うーん、そういう側面はたしかにあるんですが、それで終わるものじゃないと思っています」
「商用開発の場合には、かならず仕様があるものです。Javaつかってくれとか、スマホアプリにしてくれとか、注文する方で仕様を決めるのがふつうです。注文に応じるならそれにこたえる必要がありますが、単なるコーディングなら、Scratchで十分です。ずーっとScratchやっててなんの問題もないと思っていますよ」
趣味のScratch
「僕は『きょうのScratch』と題して、Scratchで映像をつくって公開しています。朝までかかっちゃうこともあるけど、楽しいんですよ」
「絵の具をつかって絵を描くような感じです。映像つくるツールはいくつもありますけど、今はかえってこういうシンプルなのが新鮮だと思っています。これ、スプライトはひとつだけ、ブロックは三十数個しか使ってないんです。そのあたりを探究するのもすごくおもしろい」
「Scratchはとにかくいじりがいがあるんで、楽しんでやってくれるといいと思っています。やってるうちに、なにかひっかかりがあることもあるでしょう。そういうとき、Scratchはきっと答えてくれますよ」
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