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同じ靴下を履いている猫

「あっ、あの猫、ぐーと同じ靴下履いているよ」
とは、ある日の散歩の時、いぬうた市の、きゅん君が、
隣を歩いている、ぐーちゃんにかけた言葉であります。
「えっ、どこ?どこ?ぐーと同じ白い靴下履いていらっしゃる猫さん、何処にいるの?」
きゅん君に言われて、ぐーちゃんは、きょろきょろ、
辺りを見回しますが、きゅん君の、言うような猫は、
何処にも見当たりません。
「きゅん、そんな猫さん、何処にいらっしゃらるというの?」
ぐーちゃんが、ガッカリしたように言うと、
「どうやらどっかに素早く行っちゃったようだね。でも本当だよ。あの猫、ぐーと同じく、白い靴下履いていたよ」
と、きゅん君、確かに自分は見たと、必死に弁明をしますが、
そもそも、ふたりの言っている靴下とは、
一体何のことなんでしょう?
えー、それはですね。お答えすると、まずもって、
ぐーちゃんといえば、全身黒いボディなのですが、
足先だけ4本とも、白い色をしていているのです。
それがまるで白い靴下を履いているように見えるので、
きゅん君はそれを踏まえて、
ぐーちゃんにそう言ったという訳です。
「そうなのね。それは是非とも、ぐー、その猫さんとお会いしたかったわ。ぐーと同じチャームポイントを持たれた、そのお方に」
ぐーちゃんは、きゅん君の目撃談を聞いて、
とても感慨深そうです。
結局、その日は残念ながら会えなかったので、
なので、それから、ぐーちゃんは散歩で外に出るたびに、
そのお揃い猫を探すようになりました。
しかし、何日経っても、その猫には会えません。
そこで、ぐーちゃんは何故会えないか?を考えたのです。
「もしや、その猫さんは、ぐーと全く同じ靴下さんだから、ぐーが脱がないと、その猫さんは履けないから、外に出られないのかも」
と、考えた末、何というか、突拍子もない仮説を、
よりにもよって叩き出した、ぐーちゃんです。
それを聞いた、きゅん君はまず単純に疑問を口にします。
「だって、この間、僕、その猫見かけたし。でも、そん時、ぐー、隣にいたじゃん」
そんな当たり前の問いに、ぐーちゃんはこう答えました。
「それは、あの時、ぐーは、実は、靴下さんを履き忘れていたのかも」
「そんなことあるわけないじゃん。こうゆうと、とても無粋だけど、ぐーの足先の靴下というのはあくまでも比喩であって、その、ぐーの足先が白いのは、ただの模様だから!」
と、実に訳の分からないことをいう、ぐーちゃんに、
実に当たり前のことを力説する、きゅん君ですが、
そのあとも、ぐーちゃんは、きゅん君の言うことを、
決して認めようとせず、
「この、ぐーの足先が白いのは絶対に模様じゃないからっ!これは何としても靴下さんだからっ!だから絶対脱いでみせるわっ!」
と、必死に自身の足先の白い部分を取ろうとする、
ぐーちゃんに、それを止める、きゅん君。
思えばそんな、おふたりのこんな関係も、
ちょうど丸2年経ちまして、
そして、本日はめでたく、ぐーちゃんの、
うちの子記念日なのでありますっ!
これからも、こんな、おふたりの関係が、
変わらないことを願いつつ、
ちなみに、その翌日、念願の靴下お揃い猫に、
めでたくご対面できた、ぐーちゃんでありましたっ!
こりゃ、めでたい!めでたい!よかった!よかった!

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