それがいいんじゃない
いぬうた市は最近、季節の変わり目なのか、
雨だったり、風が強かったりと、
天候が安定しない日が多くて、困ったもんですね。
「でも、それがいいんじゃない」
えっ、そうですか?きゅん君。
何で、それがいいんですかね?
「だって、そうやって毎年、季節は続いていくもんだから」
ほう、それはずいぶん達見した、物の見方ですが、
そうやって、何でも物事をポジティブに捉えられるのは、
とても、いい事ですね。
そうなんです。
この、それがいいんじゃない。
というのが、最近の、きゅん君の口癖なのです。
それも、でも、と、ちょっと間を置いてから、
低めの声で、それがいいんじゃない。
という言い方まで決まっていて、どこて覚えたのは、
分かりませんが、何でも、でも、それがいいんじゃない。
で、話を終わらすのが、きゅん君の中で流行っているようで、
今では、それが、ぐーちゃんにも伝播していて、
意味がよく分かっていないにもかかわらず、
きゅん君の使い方の真似をして、
たまに言ったりしている始末なのでした。
そんな、ぐーちゃんに、きゅん君が一言ありました。
「全く、ぐーは全然分かってないよ。それがいいんじゃない。の真髄がさ。これは、何事もポジティブに捉えようという姿勢からきているものなんだけど、ぐーはそれをただ雰囲気で言ってるだけだね。まるでなってない」
と、一刀両断です。
これに、ぐーちゃん、怒り心頭です。
「よくぞ言ってくれたわね。見てらっしゃい。目にモノ見せてやるわ。それでも、それがいいんじゃない。なんて言ってられるかしら」
と、それから、きゅん君に対して、さまざまな、
罠を仕掛けるのでした。
きゅん君が廊下を通りそうな前に、ぐーちゃん、水をピューッと吹いて、滑るようにして、
実際、滑らせたり、
きゅん君、お気に入りのクッションの上に、
ちょっとイガイガのついた、オモチャを置いて、
座ったら、痛っ!って叫ぶようにしたりと、
したりして、
最初は、それでも、それがいいんじゃない。
と、頬をピクピクさせながらも、無理に言って、
いたのですが、
何度目かのイタズラの、階段を登る、きゅん君に、
階上の、ぐーちゃんが、丸いボールを落として、
これにつまずいて、ゴロゴロとボールと一緒に、
階下に落ちて、同時に、ぐーちゃんが、
「それがいいんでしょ?」
と、言った時、きゅん君の堪忍袋の尾はブチっと切れて、
「いい訳ないだろっ!」
と、きゅん君もキレて、結局、いつものケンカになって、
でも、それがいいんですかね。
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