ひとりで寝る季節
いぬうた市も季節は巡り巡って、
ここのところは、すっかり春めいてきました。
そんな中、きゅん君が、夜ひとり、
クレートで寝る日が多くなってきたのです。
きゅん君。これはママや飼い主にくっついて寝る、
甘えからの卒業なんですかね?
「そうなのかな?僕自身はっきりと理由はよく分からないんだけど、何だかひとりで寝たい気分の日が増えてきたんだよね。これは僕に独立心が芽生えてきた証拠なのかな?いや、たぶんきっとそうだな」
と、きゅん君、ひとりでそう納得して、
それを、ぐーちゃんに報告します。
「ぐーはまだ、夜寝る時、ママや飼い主にくっついて寝るだろ。それはまだ子供の印さ。僕もこの冬まではそうだったけど、春はお別れと出会いの季節というように、僕もこのたび子供高校を卒業して、大人大学に入学したのさ。ぐーも早く甘え幼稚園から卒園出来るといいな」
と。きゅん君、思い切り上から目線で、
ぐーちゃんに言いました。
そんな、きゅん君に呆れるばかりの、ぐーちゃんです。
「そんな偉そうな話を、飼い主に抱っこされながら言われても、説得力がないばかりが、言っていることと、やっていることが違いすぎて、それじゃまるでサイコパスよ」
と、吐き捨てるように言いました。
しかし、きゅん君は、そんな、
ぐーちゃんの物言いに動じることなく、
「何を言ってんだい。ぐーは。抱っこと、くっついて寝ることは全然別個の話さ。この抱っこは一見抱っこに見えるかもしれないが、実は抱っこにさにあらず、あくまでこれは抱っこに見せかけた監視活動の抱っこなのである」
と、胸を張って、そう言い切ったのです。
これにはますます呆れるばかりの、ぐーちゃんは、
「抱っこ、抱っこ言ってて訳分からない!そうやって、ひとりで何でも言ってればいいわ。もう勝手にして。ぐーは付き合いきれません」
と、きゅん君と飼い主がいるダイニングルームから、
とっととどこかに言ってしまいました、
「ぐーのそうゆう、何事もすぐ放棄するところが結局子供なんだよな」
きゅん君はきゅん君で、ぐーちゃんのことをそう決めつけて、
「もしかして大人になるということは今の僕のように、孤独になるということかもしれない」
と、相変わらず、飼い主に抱っこされながら、
そうつぶやいた、きゅん君です。
そんな自称、大人大学に入学した、きゅん君ですが、
また、いぬうた市に夜が来て、
きゅん君、ぐーちゃんにも、眠りの時が来ました。
さて、大人大学生の、きゅん君はやっぱり、
ひとりクレートで寝ているんでしょうかね?
って、あら、きゅん君?
それはどう見ても、飼い主にくっついて、
ベッドで寝ていますよね。
これはどうしたことでしょう?
きゅん君?お答え下さい。
しかし、きゅん君は只今、夢の国に滞在しているので、
代わりにお答えすると、
その夜は冬が一時的に戻ったようで、
大変寒い夜だったのです。
なので何も、きゅん君に独立心が、
生まれたとかでは全然なくて、
単に最近暖かくなってきて、くっついて寝るには暑いから、
ひとりで寝てただけに過ぎなかったのでした。
どうやら、きゅん君の大人大学入学はまだまだのようですね。
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