見出し画像

入ったことない部屋

「あれれ、そういえば、この僕の家の中で僕が1箇所入ったことのない部屋があるな」
と、ふと、ある瞬間にそう思った、
いぬうた市の、きゅん君は、
ちょうど自宅にいたこともあって、
その部屋にかけつけてみました。
その部屋は2階の寝室の中にあります。
そこでまた、きゅん君にある疑問が生まれました。
「部屋の中にまた部屋?よく考えるとこれっておかしくないか?何故、部屋の中にもう一回部屋がないといけないんだ?」
別におかしくはないんですけどね。
そこはだってウォークインクローゼットですから。
いわばママや飼い主の服を吊るしたり、
置いておく場所なんですけど、
そんなことを知らない、きゅん君は、
疑問に次ぐ疑問がどんどん生じます。
しかし現在、その部屋はトビラが閉まっているなで、
中を調べようにも調べようがない、きゅん君は、
トビラの前で立ち尽くすのみです。
そんな、きゅん君の横を、何処からか来た、
ぐーちゃんがトコトコと通り過ぎようとしました。
そんな、ぐーちゃんにすかさず声をかける、きゅん君です。
「ぐー、つかぬことを聞くが、この部屋について知っていることがあれば、つつがなく申してみよ」
と、何だか偉そうな、きゅん君、
というのも、自分はこの部屋について知ってることが、
全然なかったので、それが後ろめたかったのです。
そんな、きゅん君の態度を一瞬で見破った、
ぐーちゃんはウソをつくことにしました。
ぐーちゃんもこの部屋については何も知らなかったのですが、
ウソをついて、からかってやろうと思ったのです。
「ぐーが知っていることといえば、このお部屋さんはオバケさんがいっぱいいらっしゃるということね。だからここはオバケさんのマンションさんみたいなお部屋よ。でもそれくらいは、きゅんも知っていることでしょ」
と、内心、きゅん君のことをバカにしながら、
そう平然と言って、
一方、ぐーちゃんに、知っているでしょ?
と言われると、知らない。とは言えない、
きゅん君は、
「ああ、それはもちろんだよ。それくらいはこの家においての初歩の初歩だからね。なんだあ、ぐーが知っていることって、やはりその程度か。まあ、仕方がないな。聞いた僕がバカだった」
と言いながら、えっ!ここにはオバケがたくさんいるのか!
それは何ていうことだ!
今まで、うっかり入らなくてよかった!
と、ショックと安堵が同時に訪れた、きゅん君です。
と、その時ママがふたりのいる寝室にやって来ました。
何やら洋服を持っていますね。
ということは、ママはクローゼットに用があるのでは。
あっ、やっぱりそうですよ。
おもむろにママ、クローゼットのドアを開けて、
部屋に入って行きました。
きゅん君、ぐーちゃん、その様子を固唾を飲んで見ています。
そして、そこで見えたものといえば、
「ぎゃー!本当だあ!ぐーのいう通りだったー!ちらっとしか見えなかったけど、確かにオバケみたいのが、いっぱいいたー!」
と、きゅん君が叫べば、ぐーちゃんも負けずと叫びます。
「いやあ!まさか、本当にオバケさんがいたー!ぐー、そんなつもりなかったのにー!ママはオバケさん、大丈夫なのかしらー!」
と、おふたり、オバケが見えたなんて言っていますが、
一体どうゆうことでしょう。これはですね。
ママが開けたドアの勢いで風が発生して、それでクローゼットに吊るされている洋服が、
そわっと動いて、それがオバケに見えたということでした。
それからというもの、クローゼットには絶対入らない。
と心に固く誓った、きゅん君と、ぐーちゃんでありました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?