見出し画像

サーバント型リーダーシップの実践

 OKRマネジメントの本を読んでいる中で「サーバント型リーダーシップ」に出会い、まもなくして実践する機会を得た私は、見様見真似でそれの実践に挑戦した。今まで経験した様々なリーダーシップやマネジメントと、実践を通して比較する中で、このマネジメント手法の特徴が見えてきた。

 サーバント型リーダーシップとは1970年代、アメリカのロバート・グリーンリーフが提唱した、従来とは少し種類の違うマネジメント手法である。リーダーが、チームメンバーの「召使い・使用人(サーバント)」としてメンバーを下から支援し、チームに奉仕するのである。カリスマ性や全体のトップに立つイメージのある「リーダーシップ」という言葉とは少し違った雰囲気のあるこの手法を実践して3ヶ月、面白い側面が見えてきた。

時間がかかっても部下を信じて支える

 私のチームは1年という期間限定のもので10人前後から構成される。私は複数の小チームを設置し、それぞれの小チームごとにまとめ役を配置した。私はその複数のまとめ役のサーバントとなるのである。想像してみて欲しい。新たに参加した新メンバーが1週間そこらで小チームのリーダーになり、チームを牽引する側になるのである。最初はサーバントが支援し続ける日々だった。まとめ役にミーティングの開催を促したり、小チームの参考になる資料をまとめたり、裏で小チームのメンバーにも情報提供をしたり、アクションを提示したり。しかし自分がしてしまっては終わりなのである。まとめ役である部下を信じ、支援し続けた。すると1ヶ月くらいたって、次々に小チームが自走をはじめた。明らかに自分のタスクが減っていくのを感じたし、勝手に小チームが動いていくのを見て、非常に安心した。

外部対応や、部下との1on1に集中できる

 チームリーダーはもちろんチームの代表である。チームが抱えるあらゆるタスクやプロジェクトに関して、外部への状況説明や依頼、説得、協力要請を行う必要がある。サーバント型の運営を行うことで、自身のチーム自体の運営にかけるリソースをそこまで割くことなくチームを回すことができるため、より外部対応に集中できるのである。また部下1人1人の大切な時間である1 on 1に体力を注ぐことができ、部下の悩み事や挑戦したいことなどに耳を傾ける余裕を確保することができた。

見えないところで動く不安と戦う

 私は全ての小チームの会議に出席するわけではない。もちろん全体でも10名しかいないのだし、私も小チームのメンバーだったりするが、大方の小チームの動きはまとめ役との連絡などで把握をする。外部対応などはそれで十分だが、どうしても見えないところで小チームが動いているからこそ、「動いている安心」と並行して「何をしているのか」不安になる時もある。そこで自分も会議に混ぜて欲しいと言ってはいけない。まとめ役との連絡やサマリーを提出してもらうなどして我慢しなければならない。私はただのサーバントなのである。


 面白いリーダーシップだと思う。圧倒的カリスマ性を持ったリーダーに牽引され劇的に動いていくチームはカッコいいと思うし、高校時代の私は憧れていた。もしかしたら今私が実践しているリーダーシップはあまりカッコよくないかもしれない。しかし、このリーダーシップでチームメンバー全員が良く活躍しているのは事実である。少ない人数で最大の成果を出すためにはトップだけが200%で動いても意味がない。全員が60%、70%を出す、そのためにリーダーが80%で頑張る。ポルシェのエンジンと複数の歯車よりも、軽トラのエンジンがたくさんある方が、大きな成果が出るのである。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?