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「漁港の肉子ちゃん」(アニメ映画)

視聴環境:Amazon prime video

【内容】
男運の悪く、男に騙されて引っ越しを繰り返す『肉子ちゃん』。
そんな肉子ちゃんが、地方の漁港の焼肉屋さんで働くことになる。肉子ちゃんの小学生5年生の娘のキクコは、母親に翻弄されながらも、明るく生きていく。

企画、プロデュース:明石家さんま

【感想】
公開当時、吉本興業がバックして、明石家さんまが企画やプロデュースしているということで、全然見る気なかったのですが、実はかなりの名作ではないかという評判を聞いていたので…
アマプラで観られるということなので、観てみることに…

まず、アニメーションとしてのクオリティーが高い…
クオリティー高い作品で定評のあるスタジオ4°C制作ではありますが、その中でもかなりクオリティー高い部類の作品でした。
テイストとしては、スタジオジブリ制作の映画『となりの山田くん』をより発展させたような手描き風の温かみのある感じアニメーションでした。
そして、ハイクオリティー…

セリフがイキイキしていて、特に肉子ちゃんの声優をやっている大竹しのぶが凄い…
大竹しのぶがやっているという話は知っていたのですが、どう聞いても太ったコミカルな中年女性の声にしか聞こえない…
憑依型の演技怪獣とも言える大竹しのぶの凄さも堪能出来る作品でもありました。
最近の声優さんは皆上手いし、役者でも声優として凄く良い演技している人もいますが、大竹しのぶは本当に別格だなあと感じました。

その他、宮崎駿リスペクト的なシーンも沢山出てきていたりしたのも、印象に残りました。
借り物競争で宮崎駿ぽいキャラ出てきたり、『となりのトトロ』を思わせるバス停のシーンが出て来たり…

西加奈子の原作小説も良かったのだとは思いますが…
生きてんのしんどくても強かに生きていく、市井の人の物語…心のどっかで綺麗事じゃないかとうそぶく自分もいるけれど、それでもこうした人情ものな展開は、それはそれで今の時代に足りないものなのかも知れないなあと感じました。
大人が子供や困った人に大丈夫だよって言ってあげるような物語…
しかし、物語後半の過剰な人情もの展開には、やちょっと乗り切れない面もありましたが…

明石家さんまにしても、大竹しのぶにしても、俗に板の上で磨いた芸の凄みみたいなものを存分に発揮した凄い秀作であると感じた作品でした。
どこか、高畑勲の昔撮ったアニメ作品『じゃりんこチエ』を思わせるところもあって…
内向的になりがちな日本のアニメの中で、こうした社会に開いたタイプのアニメ作品というのは、貴重なもののようにも感じたりもしました。
そういえば、『じゃりんこチエ』も関西弁で喋っていて、吉本芸人が声優してましたね。

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