「天気の子」

視聴環境:テレビ放送

ネダバレします。

【内容】
家でして東京に来た高校生男子の主人公は、雨降りを晴れに変えることの出来る能力を持った少女と出会い、天気を晴れにする商売を始める。しかし、商売は成功したかにみえたが…

【感想】
映画公開時に観て、前回のテレビ放映時に観て、多分今回観るのが3回目なのですが、色々と気付かされることが多かったです。

前作「君の名は。」では、新宿を中心とした東京を凄く魅力的に描いていましたが…
今回は東京のダークサイドの部分、東京の古くからの街の記憶みたいなものも含めて、新しい東京を合わせて描き出すことで、東京という街を立体的に描き出していると感じました。
この手法、押井守が「パトレイバー」の映画版で試みた手法とも通じると感じました。
ラスト近く、主人公が山手線の線路を全速疾走していくシーンは、それを意図的にやっているのだということを感じさせるシーンなのだと思ったり…

また、天気という新海誠のアニメの特徴の背景美術、雨などの表現を作品テーマにすることで、新海誠でないと描けない劇的な映像表現になっているのだとも、改めて感じました。

前作の「君の名は。」のキャラクターも出てきて、作品を跨いでクロスオーバーするのも、より面白くも感じたりしました。

ヒロインの女の子の特殊能力の使われ方、在り方についても…
ある種、世界系とも言えるようなストーリーですが、それを乗り越えていくようなものになってあるとも感じました。
この国が、世界が、若者の、或いはこれから産まれてくる人類の未来を食い潰していることのメタファーになっているのだとも感じました。
今、アニメ放映されている「チェーンソーマン」もそうですが、若者の貧困と生きることの困難さを描いた作品で、どちらも日本的な自己犠牲のヒロイズムを否定する作品なのだとも感じたりしむした。

音楽の歌詞とストーリーとのズレが、話を重層的なものにしているということも、感じたり…

ギリギリ、コロナ前の話なのに、コロナ中のような雰囲気があったりするのはなんでだろうとも思ったのにですが…
「こんな世界、もともと狂っていたんだから…」といったセリフを聞いていて、ふと…
映画のラストで東京水没しているシーンは、円の価値が落ち続け、日本経済が沈没し続けている現状を予知しているような映像になっているとも感じたりもしました。

ラストの2人の再会シーンでの主人公の言う「僕らはきっと大丈夫だよ」ていう若者へのせめてもの希望のメッセージなのかな、とも感じたりしました。

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