見出し画像

なぜ音楽は生まれたのか?

 どーもどーも、てんです。
 今回はちょっと趣向を変えて、音楽の成り立ちについて考えてみます。
 実は大学は心理学専攻、心理学とか脳科学とか結構好きなんです。
 そこでわれわれの大好きな音楽がどのようにやってきたのか、それをみていきたいと思います。

音楽の成り立ちは不確定?

 西洋史において音楽とは、18世紀までキリスト教の概念から『神に与えられたもの』という考えが主流でした。
 19世紀入り特に後半になると、様々な音楽起源論が提唱されるようになりました。代表的なものを7つ見てみましょう。

1.言語起源説
 哲学者ジャン ジャック ルソー提唱。
 感情が高ぶると話す言葉に抑揚がつきますよね?表現が豊かになると言うか。このように、話し言葉のアクセントやイントネーションを感情に合わせて大きくすることから歌が生まれた、とする説です。

2.求愛起源説
 自然科学者ダーウィン提唱。
 動物が異性を惹きつける方法として鳴き声や身体の一部を使って音を発することがあります。その動物的な求愛行動が人間にもあり、それがやがて恋愛感情などの人間的な感情を表現する民族音楽や民謡へと進化したというものです。

3.感情起源説
 生理学者(哲学者・心理学者)ヴント提唱。
 人間の感情が高まったときに発せられる叫び声などが、一度大きく発生し、次第に音が弱まっていく様子を旋律とし、多くの感情的な声が組み合わさって音楽となったという説です。『うわぁ~!』っていうのをいくつも繰り返してたらいつのまにか歌っちゃったみたいな。

4.労働起源説
 社会思想家エンゲルス提唱。
 人間は太古の時代から集団を形成し、その中で共同作業を行ってきました。みんなで協力する為の『かけごえ』が音楽になったのではないかとする説です。『せーのっ!』とか『わっしょい!』とかですかね。

5.信号起源説
 哲学者(心理学者)シュトゥンプ提唱。
 狩りなどをするときに遠くの仲間への合図に使っていた声や物を使って出す音が進化して音楽になったという説です。今なお太鼓で遠くの人とやりとりをしている人々がアフリカにはいるので、ありそうな話ですよね。

6.リズム衝動起源説
 音楽学者ヴァラシェク提唱。
 音楽は舞踏と密接にかかわり進化したという説。最初は『ウッホウッホ』言いながら騒いでいたけれど、そのうち同じダンスを繰り返すことでリズムが生まれ、そこに伴奏をのせることで音楽が発達したというものです。

7.魔術起源説
 音楽学者コンバリュー提唱。
 まじないや祈祷をする過程で音楽が生まれたとする説。『ムニャムニャ』やってたらだんだん高ぶってきて旋律になり、そこへ儀式的な要素も加わって音楽になっていったというもの。

 これらの各説はそれなりにそれらしい話ではあるんですが、実証的・科学的な根拠は乏しいと言われています。

ここからは妄想的な考察!

ヒトと動物の違い
 代表的な7つの説をみて思うのは・・・全部混ざってんじゃないの!?ってことです。
 ヒト以外の動物に音楽は存在しないわけですが、じゃあ、ヒトとその他の動物の違いってなんでしょうね?音楽と関係ある部分で考えてみると、言語・感情・道具を使う、こんな感じでしょうか。
 狩りをしていた時代は恐ろしい獣や害虫・自然災害に怯え、それらから身を守ることが生きていく上での大切なことでした。狩り中は意思の疎通のために声や道具を使い、危険が迫ればそれを知らせる。そこには恐怖と安心という感情がありました。音を出すことで厄災を退けることができるという感覚をもてば、それ自体を目的として儀式化してもおかしくはありません。
 種の保存に関してはどんな生物にも本能に刻まれているものとしてあります。ただ、人間は道具を使うために二足歩行になったときから、子どもは未熟のまま生まれるようになりました。親の完全な保護がなければ生きていられなくなったわけです。他の人間と共に生きるという環境で愛情が芽生えます。それが種の保存という本能と相まって恋愛感情に至ったのではないでしょうか。愛を語っているうちに抑揚がついて旋律となった。。
 いずれにせよ、ヒトが様々な感情を持つに至ったことは、音楽と密接な関係があると考えられます。

ビートを感じる能力
 ビートを追う能力をビート誘導といいます。ヒトに近いチンパンジーやボノボでもこの能力を持ってはいません。ヒトのみが持つ音楽を認知する能力ということです。
 人間は赤ん坊として生まれたときから、すでにビートを感じる能力があります。このビート誘導についての脳波の測定をする実験をしたのがアムステルダム大学のHenkjan Honing准教授です。予想外の乱れたリズムを聞くと、大人と同じパターンの脳波が計測されたそうです。この結果から、ビート誘導の能力は生まれてから身につけるものではなく、先天的に備わっている能力だということが分かりました。
 人間の遺伝的な要素の中に音楽を認知する能力が含まれているということであるなら、人間が音楽に心を動かされるのはなんら不思議ではありません。理由はないけどビートを刻みたい!という自分の気持ちに、『本能である』という理由がつきました!そしてそれが人間の本能だとするなら、理由なんか考えずに音楽に触れることが、人間にとって素晴らしいことなんじゃないかと、そう思う訳です。


 不確定な説から想像して色々考えてみました。
 私たちは自分が思うよりもずっと、音楽と共に生きているのかもしれません。

 ちょっと思ったんですが、お母さんがキッチンで何かの単語を良く分からないメロディにのせて歌っているの場面に遭遇したり、そんな話を聞いたりきたことはありませんか?
 自分の身体を動かすリズムに乗って、その一瞬一瞬にご機嫌な感情を表現する。
 あれこそ、原始の音楽の姿に近いんじゃないかと思ったりして。
 あれは本能だったか。母すごし。
 ではまた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?