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東北の代わりに

はじめに

身震いさせる風、満月、落ち葉、月見をやたら押し出した商品の数々、それらすべてがこれから来たる季節を伝えていた。

そんな9月下旬、私は一週間東北をこれまた飽きもせず電車で旅しようとしていた。ちなみに夏休みではない。夏休みはとうに終わっている。前期試験週なのだが私の学年は試験が早々に終わったため軽く秋休みのような感じである。私の心は試験週が始まる前からうきうきと踊っていた。

…だったのだが、いけなくなってしまった。なぜなら、道外に出たら原則として2週間自宅で授業を受けること、というメールが学校から届いたからである。これまでだったらそれで問題なかったのだが(授業はオンラインで行われていたので)後期は実習が入ってくるため登校は必須となる。宿もすべて取っていたのだがなくなく全部キャンセル…ああ、私の銀山温泉、鳴子峡、牛タン、松島…残念だがまたの機会となった

そしてまたまた飽きもせず「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」を使い、北海道を回ることにしたのである。これはそのときの紀行文である。

網走 能取湖/大曲湖畔園地

網走って一体何があるんだ?そう思う人は多いと思う。出発する前は私もそう思っていた。でも実は結構観光するところはあったりする。
・網走監獄
・流氷硝子館
この2つは結構有名かも知れない。
・能取湖
・大曲湖畔園地
・能取岬
この辺はマイナーかも知れない。
私は、上の2つには行ったことがあったので今回は秋ということもあり、能取湖と大曲湖畔園地に行くことにした。

特急に乗り網走を目指す。片道4時間ほど。もうこの時間感覚にも慣れたものだ。ぼーっとして、寝て、窓の外を眺めて、気づいたら到着だ。

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何度目かの網走駅である。
早速バスに乗って能取湖を目指す。9月の4連休と言うこともあり、すでにバス停は長蛇の列…若干の萎えを感じながら近くのチェーン店に入る。ご飯を食べないとなにも始まらない。安定の味をかみしめていると、バスが到着し長蛇の列を飲み込んで去って行った。行き先は網走監獄。そうか、みんな網走監獄に行くのか。人混みに紛れなくてすむことに一安心である。

ほっとしながら能取湖行きのバスに乗る。人混みとまではいかない乗客の量だ。バスに揺られて20分。そこから徒歩5分で見えてきた。

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能取湖
日本一サンゴ草群落地

そのサンゴ草の赤さと広さに圧倒された。こういう景色を見たとき、心からここに来ることを決めた自分に感謝する。電車に乗ってる時間もかかるお金も一瞬でどうでも良くなる。写真では伝わりきらないと思うので、みなさんの秋の観光地リストに入れることをおすすめしたい。

次に向かったのは大曲湖畔園地である。来た道をバスで戻り途中で降りる。そこから歩くこと約20分。文字で見るとたいしたことは無いが、これがなかなかきつい。重さ約10キロのバックパックを背負い、(レポートが終わらなくてパソコンを持ち歩いていた笑)しかも雨も降り始めていた。お腹も減ってきていたし、やっぱりこのまま帰ろうか、いやこのためにここまで来たのだ、という気持ちが拮抗する。こういうとき唯一、一人旅が嫌になる。

なんとか歩を進め、目的地に到着した。一面のコスモス畑である。

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             大曲湖畔園地
網走刑務所の旧農耕跡地を利用した花畑で、秋には170万本のコスモスが咲き乱れる。入場料は無料。

一面のコスモス畑を見て、やっぱり帰らなくて良かったと思った。歩いて良かったと思った。一人で歩くのは悪い状況が重なると少し大変だ。でも、この景色を見たらそんなことはどうでも良くなる。こういう景色を見たときの感動があるから旅はやめられない。もういいかな、と思いながら歩き続けてしまう、旅に出てしまう理由なのだと思う。

さて、じっくりと秋を堪能しそろそろ帰ろうというところなのだが、ここでミス発覚。現在地は網走。なのにこの日の宿を間違えて北見で取ってしまっていた… 参考までに地図を貼っておこう… この距離感である…

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ということで北見まで移動し、一日を終えた。

北見 ピアソン記念館/ハッカ記念館

間違えて北見に泊まることになった訳だが、折角なので観光することにした。

調べたところ北見はピアソン記念館とハッカ記念館が観光名所として有名らしい。どんなところなのか、なにが有名なのかもわからぬままピアソン記念館に向かう。

駅から徒歩10分程。標識に言われるがまま坂を上り続けると、木に囲まれたこぢんまりとした家が見えてきた。

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             ピアソン記念館
ピアソン夫妻は明治学院大学神学部の教師として派遣され、北海道でも長年に渡り教会の支援を行ってきた。北星学園大学や北海道大学でも活動し、最終的に野付牛(現北見市)に移り住んだ、ピアソン亭がピアソン記念館として保存されている。

写真三枚目のオルガンはピアソン夫人が実際に使っていたもので、現在も音が出るのだとか。入館者は自由に弾くことができる。

中に入るとフレンドリーにおじさんが迎え入れてくれ、ピアソン亭について説明してくれた。実は、私は歴史は苦手で、あまり興味を持てなかったのだが、ピアソン夫妻のことだけでなく、北海道の歴史について知るきっかけとなった。ピアソン夫妻は札幌農学校(現北海道大学)で有島武郎らに指導していたことや、知里幸恵とも深い交流があったことが興味深かった。というのはウポポイに行ったとき知里幸恵についての解説を見かけたからだ。

どんなジャンルでも何かと何かがつながる瞬間は面白いなと思う。そんなことを考えながらハッカ記念館に向かった。

ピアソン記念館に向かうまではたくさんの標識を見かけたのに、ハッカ記念館までは全然標識が見当たらなかった。だからという訳ではないのだろうけど、ハッカ記念館になかなかたどり着けず…少しうろうろして見えてきた。

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              ハッカ記念館
一時は世界シェア70%だった北見のハッカ。その工場と事務所が記念館として保存されている。

知床 知床五湖/斜里町ウトロ

ヒグマの生息密度日本一と噂の知床に行ってみた。今回目指したのは知床の中でも知床五湖である。先日、世界遺産検定で勉強したばかりだったのでどんなところなのか楽しみにしていた。

斜里町からバスに乗る。海がきれいだなあなどと思っていたのも束の間。バスはどんどん山に入っていく。「いや、これ絶対人間が来るとこじゃないでしょ」そんな思いが強く強くなっていった。道路脇すぐには鹿にキツネ、いつヒグマがでるかとびびり倒した頃、やっと到着した。知床五湖である。

知床五湖を回るコースは大きく分けて2つ。高架木道を歩くコースと山道を歩くコースだ。本当は山道を歩くコースを行きたかったのだが、時間の関係上厳しかったので高架木道を歩くことにした。

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              知床五湖
海や森、山や湖などを一度に楽しめる、自然遺産の景勝地である

山に海に、どこを見ても綺麗で圧倒された。もう一度じっくりと散策路を歩きに来たい。

斜里町ウトロ

ここまで来て知床五湖に1時間滞在して帰るのももったいないので、ウトロを少し観光してから帰ることにした。

どうやらゴジラ岩やオロンコ岩など面白そうな名前の岩が海岸沿いに並んでいるらしい。惹きつけられ、歩いて向かう。

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               ゴジラ岩


思っていた何十倍もゴジラに見えてなんだか笑える。


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               オロンコ岩

でかすぎて入りきらない…そしてどうやら頂上に展望台があるらしい。これは登るしかない。

ということで登ってみた。

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登り切った先に現れたのは…三角点!?こんなところにあったのか…登り切ったとき私の足が限界だったことは言うまでも無い。


振り返ると…


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いい海!!!
やっぱりいい景色はただでは見られないらしい。

やっとのことで岩を降りると左手側に突如現れるトンネル。行くか行かないかと言われたら答えは一つしか無い。

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トンネルを抜けると…


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また岩かい!!ウトロは岩が多いらしい。

岩の麓まで行って見てみると、少し登って灯台の方までいけるようになっているっぽい。


気をつけて登ると、ゴメと目が合った。図らずものんびりあくびをしている瞬間がとれてしまった。

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バスの時間も近づいていたので、ゴメに別れを告げバスターミナルに向かう。ばいばい、ゴメよ。

今回の旅も行き当たりばったりでミスしまくりの迷いまくりだったけど、たくさんの良い景色に出会えて楽しかったなあ。

時節柄、旅はしにくい世の中になったししばらくはこの状態が続くんだろうなあと思う。わからないけど、コロナ後の世界はなくてコロナの世界しか無いのかも知れない。でも、コロナの世界の旅や観光だってあるはずだから、新スタイルの旅を模索したいと思っている。そして、旅に出て新しい景色、世界と出会う人が増えたらなあと思う。

今日はこの辺で
ではまた、次の旅まで。

旅の資金にさせていただきます!