喧嘩

「嫁ブロック」これが押さえておくべきポイントだ

嫁ブロックとはなにか?

リアルです。転職やキャリアについてここ数年で出てきた新しい言葉のなかでも「嫁ブロック」はとても衝撃的だった。実際に私も嫁ブロックに悩む人に遭遇したことがある。普通の人であれば緊張とストレスのたまる転職活動。その最後の最後での大どんでん返しである。まず、嫁ブロックとは何か。ある男性が転職活動をし、最後の最後で妻に反対されることを言う。最終面接に入ったとき、内定がでたときに発生する。妻の反対=ブロックとなり、それを乗り越えられないまま、結局転職しない、できない、という判断を下す人も一定数存在している。ちなみに「日本の人事部」の説明によると「35歳以上の男性ユーザーの四人に一人が嫁ブロックを受けた経験があり、その半数近くが嫁ブロックを理由に内定を辞退したと答えています。」とのこと。最近では嫁ブロックだけに留まらず、彼女ブロックまで出てくるようになったと聞いている。


ブロックされる人たちの転職理由

嫁ブロックが起こる人はたいてい、大手企業に勤めていることが多い。その転職理由はさまざまだが、多くの場合この5つに凝縮される。

【1】人数が多く、縦割りの組織で働いていて、自分の仕事の幅がどんどん狭くなる。
【2】顧客のことを考えると、改善すべきことが多々あり提案するが、組織が大きすぎて動きが鈍い。
【3】守りに入る社員も増えてきて、もっとチャレンジングな仕事をしたいと思う。
【4】昔の同僚が外に飛び出し、目を輝かせて働いていることに刺激を受けて一念発起する。
【5】そもそも起業に近い経験をしたいという思いがあり、自分に自信がついてきたので転職を決める。

すべてにおいて共通しているのは、前向きな転職理由が多いことである。直接転職者と話をしてみると、表向きはポジティブなコメントをしつつも、裏ではネガティブなことや、根拠がないことが多い。

どういうことかと言うと、dodaのランキングによると転職理由ランキングのトップ3は下記である。1位「ほかにやりたい仕事がある」、2位「会社の将来性が不安」、3位「給与に不満がある」。「ほかにやりたい仕事がある」の最も残念なパターンが、自分のやりたいことが飛躍しすぎている場合である。例えば、事業を立ち上げたいという人が、結果を出せばそういうチャンスをくれる会社にいながら、最初に営業に配属された場合などに多い。自分は営業をやるために入ったのではないと言うが、自分で営業できない人が事業を推進できるはずがないと思う。もちろん外部環境の変化があり、早く立ち上げる必要があるなら、会社を辞めて起業することも良いと思うが多くの場合そこまでの覚悟がない。2位の「会社の将来性が不安」について、こちらも入社してまだ半年くらいでこの理由を持ち出すひとも多い。厳しいようだが、入社時に何度も話をする場も持てただろうし、ネットにも情報があるなかで、判断が甘かった人も多くいる。例えば離職者がものすごく多いとネットで書いているのに、それすら調べていない場合は本人の判断にも問題がある。一方で、自分が判断したので自分にも非がある、と話すひとも一定量いて、そういう人は転職活動を成功させていることが多い。3位の「給与に不満がある」場合、ではどういう理由で年収を上げられると思いますか?という質問に答えられない人が大半である。例えば、会社の売上や利益の何パーセントを自分があげている、組織にこれだけの貢献をしている、など数字である程度話せる人は少ない。


嫁ブロックはあるべくしてある。

少し古いデータだが、2012年に国際社会調査プログラム ISSP(International Social Survey Programme)が実施した調査によると、日本は子育て世帯における男性の家事分担率が圧倒的に世界最下位であった。33か国の中で、家事にかける時間は、日本の男性が週に12時間、女性は53.7時間。男性は5分の1(20%)である。一方でスウェーデンの男性は42.7%、アメリカが37.1%、イギリスが34.8%と、日本は大きく差をつけて最下位となっている。この調査から数年経っているとはいえ、最下位ゾーンにいることに間違いないのではないかと思う。まだまだ家のことを妻に頼っている男性は、「嫁ブロック」とネガティブにとらえるのではなく、どうしたら納得してもらえるのか真剣に考える必要がある。

パートナーに納得してもらうために大事なポイント

【1】現職の状況を正確に伝える。
もう何度も大手企業が崩れ去るニュースを見ている人でも、それが明日は我が身と本当に思っている人は少ない。だからこそ有名な企業にいるとそれだけで安心している。特に実際にそこで働いていないパートナーは中が見えない。本当は社内に大きな問題があったり、全体は良くても所属している部署が消滅するリスクがあったり、見えない情報を定期的に伝えておくことも大切である。この悩む、検討する期間を少しずつでいいので共有することをおすすめする。

【2】自分が何ができて何ができないかを知ってもらう。
仕事において詳細にお互いが定期的に話す夫婦はそんなに多くないようだ。数年間働いていれば、自分の実績や得意分野も変わるし、一緒に仕事をしてもいいなという友人、ネットワークも変わる。自分が会社でどういう評価でどういう実績を残してきたか。お客様に何を評価してもらっているのか、そのあたりを伝えることで、この人は外に出ても何かできることがあるのだろうな、と思ってもらうことが大切である。

【3】次の会社についてどこまで語れるか。
転職する会社の経営者、経営ボードの経歴や人がら。メンバーの優秀さ。事業やサービスの将来性。競合と比較した場合の強みや弱み。PL、BSくらいまではせめてある程度ざっくりでも把握しておきたい。経営者が銀行や投資家にプレゼンしたり、事業部長が経営会議で事業プランを通すのと同じように、パートナーに安心してもらう材料をそろえる。そしてそれをしっかりプレゼンテーションして納得してもらう。この能力は仕事でも必須のものである。だからよく、嫁ブロックすら越えられない人は仕事ができない人に多い、とメディアに書かれている。長くそばにいる人だから分かってくれると思わずに、準備と情熱をもって話してほしい。

【4】相談は早めに。
頑張って内定を獲得してからパートナーに転職先についてや、転職活動をしていたことを話す人が結構いる。完全に任されている圧倒的な信頼をパートナーから得ている旦那以外は、もっと早くに相談すべきである。自分だけでなく、選考してくれた企業にも、手伝っている人材会社にも迷惑がかかる。そして一度そういうことが起こると、応募先の企業ではもう採用されないことがほとんどである。マイナス要素しかない。最近では嫁ブロックがある反面、パートナーが一緒に、選考中の例えば3社をいくつかの項目でマルバツをつけて一緒に検討する、というあたたかい夫婦関係を思わせるエピソードも聞いた。

まとめ

今の会社、次に行きたい業界や会社や職種について細かく調べること、話せることが大前提大切である。そしてそれを早い段階から少しでも相談し、一緒に考え、悩んでいくことが本来パートナー同士でのあるべき姿である。ただ、今の世の中、大手でも有名企業でも結局ダメになる時は一気にダメになる。どこの会社にいてもリスクはある。だからこそ、あなた自身がどれだけの価値がある存在かが重要である。あなたに価値があれば必ずどこかに転職できる。結果的にあなたのやりたいことや夢から、その価値を高めるための転職かどうか、パートナーに理解してもらうことができなければ、転職してもうまくいかないだろう。また、論理的な説明だけでなく、当然そこにあなたの強い思いもあるはずだ。そのふたつがあり、確固たる思いが固まった後の転職なら、仕事も家庭もきっと良くなると信じている。

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