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採用試験を受けに行った時に見てくるべきこと・9(専門教養編)

前回の記事はこちら。

前回は私学の学力筆記試験について、その難易度について述べました。

しかし、大切なのはそのレベルの問題を出題してくる学校の思惑です。

今日は出題形式について述べていきたいと思います。

1-1.基本的には①

基本的には、大学入試問題と同じように正答を解答用紙に記述するタイプの問題が圧倒的に多いです。

単純に答えだけを書かせる問題もありますが、やはりそこは教員が教員を審査する試験ですので、過程を書かせるほうが圧倒的に多いと思っています。

思考過程が間違っていないか確認したり、キーになる部分をきちんと抜けや漏れがなく記述できているかは見られていそうです。

数学なんかは、むしろ中学高校の問題であれば、計算力だけでなく、思考過程の方が重視されますので、記述させる方がおおいでしょう。

理科は科目によるのでしょうか。

計算問題は基本的に答えがあっていれば過程はわかっていると想定されるので、過程を書かせないことも少なくない印象です。

1-2.基本的には②

実際の大学入試と同じように出題してくれる場合もあれば、途中の誘導を意図的にカットして、誘導を減らし、最後までたどり着きにくくしている採用試験の問題もありました。

具体的に言うならば、問題のリード文を掲載し、(1)~(4)の誘導を割愛して、最後の(5)に相当する問題だけを出題するというようなパターンです。

基本的な方針は学校次第なのですが、これをやってきたのは中堅上位校にもありました。

やはり、大学受験を意識したとこに、こういうレベルくらいは解けて欲しい、生徒に解説できる先生に来て欲しいという学校側からのメッセージだったのではないでしょうか。

1-3.基本的には③

上記、大学入試問題を更に軟化させるような学校がある一方で、教科書傍用問題週の応用例題レベルの問題を多数出題してくる学校もありました。

実際に私自身が、何年も前の非常勤講師の採用試験を受けたときのお話です。

決してできない学校ではなかったのですが、もしかしたら雇用形態が非常勤講師だったからかもしれません。

人が足りないところを、うまく補ってもらうために非常勤講師を採用する学校がほとんどだと思います。

どの分野に苦手を抱えているのか、それとも万能にどこでもできるのかを見られていたのだと思います。

もしかしたら、それまでの採用試験ではこのような基本的な学力を持ち合わせていない方の応募が多かったのかもしれませんね。

問題週の応用例題で幅広くレベルを測られるにしても、その学校の問題設定を見ると、学校側の状況を推察する材料になることが多々あると思っています。

2.板書案を書かせるタイプ

こんな問題を出題してきた学校もありました。

「○○を解説する板書案を考えなさい。発問や授業の流れなどは記さなくてよい。」

いや、でも、この意図はわかります。

結局、教員が見れば何を意図しているのか、想定しているのかってだいたいわかります。

あとは図がちゃんと書けるのかとか、要点をまとめて端的に伝える板書が書けるのかというのも見ることができますね。

応募側が邪推してしまうと、「板書がわかりにくい先生が多かったりするのかこの学校の先生は?」とも思ってしまいます。

私が実際、過去にそう感じた理由は、板書案を求められたテーマがあまりにもありきたりすぎたから。

注意する点も決まっている、書き方はいろいろ書けるけれど、一本道だと感じたからです。

もう少し、工夫が必要そうなテーマや問題であれば学校側としても選考しやすくなるのにな、というテーマだったのです。

もっとも、簡単でありきたりなテーマをどう書くのかを見られていたのかもしれません。

こういう場合、自分の個性を出しまくって、学校側を納得させることを求められているパターンもあります。

逆に型通りの、学校側が想定している板書が書けるかを見られているパターンもあります。

そしてそれは学校側のみぞ知る、というところなので、こちらがいくら気にしてもキリがありません。

採用された場合には、そういうことを求められている学校なんだなと、実際に働くときに気をつけることができます。

学校側が何を求めていたのかは、採用されるされないだけではなく、常に意識しておいたほうがよいでしょう。

3.実験操作について問うタイプ

実際に生徒実験の1つをテーマに作問してきた学校もありました。

なぜ、生徒実験の1つだと気付いたかと言うと、それまでの問題はお堅い入試問題の語り口調だったのに、その問題だけ生徒に対する語りかけ口調だったからです(笑)

そして、この通りに実験を行うとどうなるのか、という設問と、この実験を行うにあたって注意させることは何か、というような設問がありました。

実験や実習をテーマにして選考問題を作問するということは、「実験や実習を重視している学校」なんだということがわかります。

昨今、進学実績に重点を置いていて、実験や実習をおざなりにしている学校も少なくありません。

4.専門外の科目について要所を問うタイプ

特に理科や社会にありがちかもしれません。

地理専門の先生が、日本史や世界史、公民の問題を一問一答的に答えさせられたり、化学専門の先生が物理や地学、生物の問題を答えさせられるパターンです。

どれくらい広く授業を担当することができるのか見られているのかもしれません。

人によっては、専門以外の授業は苦手とか、もてないとかいう方もいらっしゃいます。

しかし、実際に学校内の人事を考えた時に、中学理科を担当できないなどというのはとても困るわけです。

せめて第一分野(物理と化学)はできるとか、歴史(日本史・世界史)はできるというような幅広さがないと、専任教諭としての採用は難しいかもしれません。

逆にいうと、教科内の人事を踏まえて考えると、専門外の科目もある程度できる人が求められているのかもしれない、という学校側の事情も見えてきそうです。

私学によっては、うまく時間割を組み合わせて、出来る限り専門を担当することができるように配慮している学校ももちろんあります。

5.学校側からのメッセージをきちんと読み取る

いかがでしたでしょうか。

採用試験の問題は、学校側の事情がかなり透けて見えることが多いと思っています。

たくさんの学校の採用試験を受け続けたからこそ、比較もできますし、考えることもたくさんあります。

採用試験を受け、実際に採用されて勤務した後で感じるのは、やっぱり選考問題に学校の考え方がにじみ出ていたんだな、ということです。

途中でも書きましたが、採用選考の問題は、採用されるかされないかという観点でも大切ですが、実際に働き始めてからも活きる場面があります。

しっかり学校側からのメッセージを受信しましょう!

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