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私学を分析する視点とその理由(施設・設備編)

私学を分析する視点シリーズの第3回。

前回の記事はこちらになります。

本日は「施設・設備編」になります。

施設・設備面について何を気にしているのか、そんなものの見方もあるのかという観点のご紹介になればと思っております(もちろんあくまで一面であることにはご注意ください)。

具体的に、徹底的に分析している記事は現時点では以下の2校になります。

それでは具体的に内容のほうに入っていきたいと思います。

1.学校の施設・設備の種類と数(屋外施設)

単純にバッと眺めるのは大切です。

施設設備と言われると、頭に浮かべがちなのは運動施設かもしれませんね。

ただ、一口に運動施設といっても気にする観点はたくさんあると思います。

・学校規模に対して、体育館が2個あるのか、サブアリーナ程度なのか、武道場なのか。

・野球グラウンドやサッカーコートをもっているのか、テニスコートの面数はどれくらいなのか。

・学校の本体がある場所以外にグラウンド等をもっているタイプなのか、そこまでの距離はどれくらいなのか。

・プールはあるのか(都心部の学校の場合、無い学校も少なくない)。室内プールなのか。

・その他もろもろ

もちろん、お金がかかっているから部活動も強そう、というようなものの見方もできるかもしれませんが、今回はまた別の観点でスポットをあてていきたいと思います(詳細は後述)。

2.学校の施設・設備の種類と数(屋内施設)


屋内施設についても気にしなければいけないことは多いと思っています。

・特別教室はどの程度充実しているのか(理科室の個数等から教科の指導方針が透けてみえることも)。

・図書室の蔵書数や進路指導室はどうか(写真などから判断)、自習室はどうか。

・食事提供施設(カフェテリアやランチルームなど)はどうか。

・茶室や礼法室などの「必須ではない施設」(という言い方は語弊があるかもしれませんが)はどの程度あるのか。

・多目的ホールや講堂などの中規模の人数が集合できる施設はあるか、あればどんなものがどれだけあるのか。

・談話スペースなどの余白部分はどうか(写真などから判断)

・などなど

実際に自分が勤務することになったときに、漠然とでも「ここで学年集会とかやるのかなー」とか具体的にイメージできるかどうかでしょうか。

もちろん、やっている、やっていないの実際ではなく、自分の経験から想像できるかどうかだと思っています。

修学旅行の実踏で、「この場所を待機場所にしよう」とか「雨の場合はこっちに集めよう」とか、そういうものの見方に近いのかもしれません。

あと意外に大切だと最近思っているのは最後の部分。

特に女子が多い学校だと談話スペースの有無、その色合いやレイアウトなどの雰囲気的な部分も大切かと思います。

3.経営面の観点を少し入れてみる(生徒募集編)

結局の所、私学といえども中小企業に変わりありません。

やはり生徒が集まらなければ運営できません。

学校の力の入れ方と、集まりそうな生徒の層のバランスはどうか意識するのは大切だと思っています。

口コミなどを見ていても、「とにかく施設・設備面が充実していて部活動が盛んな学校」というものもあるでしょう。

「自習スペースが広くて勉強しやすい」「進路指導室の赤本の蔵書数が多い」というような学習面に力を入れているものもあるでしょう。

ミスマッチというわけではないと思いますが、冷ややかな目線で「盛んな部活は盛んみたいです」みたいなものもあると思います。

生徒や保護者に求められているのは何か、実際に学校側が提供できているものは何か、提供しようとしているものは何か(学校の雰囲気や思想・考え方の面につながる)を考えて、そこに自分が合いそうかどうかも冷静に考えてみてくださいね。

4.経営面の観点を少し入れてみる(コスト編)


先日、知人と話をしていて話題になったのが、実は大きな施設・設備のコスト面のお話なんです。

あくまで1つのものの見方なのですが、仮に全国レベルの部活動があるからその学校の経営は安泰か、生徒が集まるのかというお話です。

もちろん、集まっている学校もあるのかもしれません。

しかし、実際に全国レベルの部活動があった学校で勤めている友人は「施設の維持管理費が高くて赤字ギリギリなんだよね」ということを言っていたんですよね。

もちろん、その学校だけかもしれません。

黒字経営できている学校もあると思いますし、赤字経営になっている学校もあるのではないでしょうか(という書き方にとどめておきます)。

総じて「スポーツをウリにするのは(経営面の利益追求という観点では)実はコストパフォーマンスは悪い」というのが知人の意見でした。

また、私が過去にお世話になった学校の副校長が言っていたのは「人件費が支出の6割くらいが適正な運営だと俺は思っている」というものでした。

(もちろん、これも本当かどうかはわかりませんが。)

人件費が7割近くなっていると、組織の内部留保が足りなさすぎるし(施設設備に対する大きめの手入れ等)、逆に人件費が5割程度だと学校法人が儲け過ぎだと思う、とのことでした。

学校によっては収支のバランスシートを公開している学校もあると思いますし、それを分析されている方もいらっしゃるようです(私はそこまでしたことはありませんが‥)。

おわりに

今回は施設設備面について注目してみました。

特に後半部分の維持管理コストの面を文字にしました。

多くの学校が進学実績を広告塔にしているのは、こういう観点もあるのかもしれませんね。

ハード面を整えても、毎年全国大会に行けるかどうかの保証はないわけですし。

学力については、施設設備面にそこまでお金をかけずに安定して成果を出し続けることがしやすい、というような。

ただ、全てはバランスです。

様々な施設があるけれど最寄り駅から遠くて通学しにくいとかそういう視点も大切です。

考え始めるとなかなか深い観点だと思います。




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