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開戦の決断(1) 一般市民の民事裁判初体験記【12】自転車は空を飛ばない

 相手方のY氏から費用の負担の連絡があっただろうと、本件はもう一件落着と思っていた私。 意気揚々とその週の出張を終えて帰って来ました。ところが、待っていたのは、想像の欠片すらもない意外なことでした。

前回のつづき・・・

2017年11月11日(土)21時30分頃
席に着いた私たちに、料理が運ばれて来た。空腹MAXだった私は、早速、パクパクと食べていた。

 妻「あのぅ、車の修理のことなんだけど」
 私「あぁ、保険でやるって?」
 妻「いや、それが・・・」
 私「どうしたの?」
 妻「弁護士が来たの」
 私「はぁ???」

 最初は妻が何を言っているのかが分からなかった。「晴天の霹靂」という言葉があるが、まさにあれだ。頭が真っ白と言ってもよい。

 私「なんやねん、それ!」思わず、こう叫んでしまった。

 そこからはここまでの空白を埋めるが如く、これまでの事の推移情報が私に注ぎ込まれた。食事を終えて、家に帰ったあと、詳細の資料を見せてもらった。修理代は、10万円を超えないようにとの妻の意向は聞いてはいたが、77,490円という具体的な金額を知ったのはこの時であった。

 「なんでここまで配慮して、こんな目に遭わないかんねん」思わず、口走ってしまったが、これまで一人で抱えて、なんとかしようと奮闘していた妻のことを思うと、これ以上は言わないほうがよいと思った。

 ただ、「しまった!」と思ったのは、妻が自らの意向を文書にして相手方の弁護士に送ってしまっていたことであった。妻の話では、これは協定書のたたき台のようなもので、のちほど、弁護士から文書が送られて来るということであった。

冷静に考えてみれば、妻がメールを打ったといっても、まだ、決着したわけではない。私は、その協定書の案が出たら、今度は私自身が入ってやりとりしないといけないと思った。

 だいたい、この車の所有者は私なのである。妻ではない。私と話をつけないと決着はしないのだ。土地の塀の話も然りだ。妻とは共有登記とはいえ、ほとんどは私の名義だ。妻だけでなく、私とも話をつけないとこれも決着しない。

 仮にも相手は弁護士だ。そんな民法の基礎みたいなこと、こちらから指摘しなくても常識だろうと、その時は思っていた。

 私が本格的にこの件に参戦するのはここからだ。妻にはここまで負担をかけ過ぎていた。彼女一人で抱えるには大き過ぎる事案だ。私が、仕事が忙しいと余裕の無さを出し過ぎていたのだろう。妻に甘えてしまっていたことを反省した。

 つづく


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