高円寺上京ものがたり(六)
こないだ、facebookで、高円寺のお蕎麦屋さんの二階の写真が見つかった。
めっちゃいい感じやろ。ここで、寝転びながら、『寄席芸人伝』を読み漁るのが至福の時間やった。
2016年ごろ、大阪で勉強会をしたり、東京に行ったり、自分なりに色々と頑張ってた中、兄の癌が見つかった。
結局、1年とちょっとの闘病生活やった。
本人が一番辛いと思うけど、家族が闘病しているのを近くで見るのもやっぱり辛い。
兄は、まだ四十代半ばやったし、やりたいことも行きたい所もたくさんあったと思うし。
だんだん、痩せていく背中と、思い通りにならない体と周りに対して苛立つ兄。
その頃、我が家は、両親の経営する豆腐店兼自宅とは別に、歩いて2分ぐらいのところに父が寝るだけの家を持っていて、元々、豆腐店に母と兄、父の家に、父と私と私の猫が寝ると言う生活をしていた。が、闘病生活が始まり、できるだけ静かな方がいいやろと、兄が父の家に行き、私が豆腐店で生活することになる。飼い猫は、家が変わると混乱するやろうと思い、そのまま父の家に。
父の家には、私の衣服が置きっぱなしだったので、必要なものを取りに行くのだが、ちょっとでも物音を立てると、兄にすごく怒られた。
闘病の後半はずっと苛立っていた兄。
そうして、一年ちょっと経った朝、その頃、入院したり退院したりを繰り返していた兄。入院先から連絡があり、今朝方、亡くなったと知らされる。
その日も翌日も、落語会の前座の仕事を頂いていたので、とにかく、病院に行って、諸々の段取りをし、遺体を葬儀屋さんに運んでもらう手続きをした後、落語会に行き、打ち上げに誘って頂いたけど、口に出すと、絶対泣いてまうので、「家庭の事情で」と濁して帰った。
そして、兄の諸々が落ち着いた頃、飼い猫が突然、この世を去る。
兄と一緒に生活する中で、ストレスもあったと思う。けど、何もしてあげられなくて申し訳なかった。この写真ではわかりにくいけど、めちゃくちゃ美人な三毛猫でした。
その前後のことはあんまり覚えてない。
とにかく、その年と翌年のネタ覚え帳の覚えたネタがすごく少なかった記録はある。
あ、けど、頑張って豊中で独演会やったなー。
あの時、来てくれた方、演者の皆さん、ありがとう。
ずっと、モロモロした何かの中にいて、それでも、数ヶ月前に予定していた東京での公演があったから、東京に数泊して、「あー、稽古せな」と思いながら、巣鴨スタジオフォーの芸人部屋で、ぼんやり漫画読んで、夕方まで寝て、あかんあかんと思い立って、近所の銭湯に行ったら、めちゃくちゃお湯があったかくて。「あー。気持ちいー」と思って、「そうか、銭湯って、必要やな」と閃いたところで、目が覚めた。
もちろん、家のお風呂でもいいねんけど、銭湯の方がいいやん。
周りに人おるし。
おばちゃん同士のどうでもいい会話とか聞いてたら、面白いし。
その巣鴨から後も、東京で、遊雀一門との会をやってるし、なんなら、その後、高円寺にも行ってるはずなんだが、その時の巣鴨の銭湯から私の時間がとまってた気がして、今回、久しぶりに東京で落語をやる気がしてる。(日本橋での文都遊雀親子会は覚えてるけど)
が!!!
が!!!
この三年で、めちゃくちゃ世界は変わった。
前に東京に行ってた時は、もちろんゲストの皆様の力もあるし、二つ目の上方落語家が珍しかったのもあるしで、結構、満員やってんけどなぁ〜。連雀亭〜。
今回、全然、予約入ってないねんけど!?
どう言うこと?
なんなら、親子会も厳しいってさ?
みんな、有名人しか見たくなくなっちゃったの…涙?
けど、しゃーないな。
世界は変わるんやなと、つくづく実感する歳になったし。
また一から始めるわ。
あなたの好きな落語はなんですか?
まだまだ自分のキャラ設定に迷ってる私ですが、センスはあるんですよ。
月亭天使と申します。
どうぞよろしくお願い致します。
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