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UNION DES GRANDS CRUS DE BORDEAUXと気候変動

COP28も始まったことだし、たまには真面目に気候変動の話をします。

 といいつつ、ワインですね。

 実は先日、ボルドーワインの試飲会に行ってきました。100以上のワイナリーがビンテージワインを持ってきています。

 通常のワインの試飲会だと、1つのワイナリーがブドウの品種が異なるものや醸造年度が異なるものなどいくつかのアイテムを持ってくるのですが、この試飲会は、そういうものではなく、基本的に今年おすすめの赤ワイン1本だけ、という、そういうものです。最初にこの試飲会に行ったときには、正直、違いがなかなかわからなくて、困りました。でも、そのうちに微妙な違いもわかってきます。

 写真にある、ポメロールというエリアのシャトーガザンのワインは、ボルドーワインのなかでは、ぼくのイチオシです。何年か前に飲んだときは、深い森林を思わせる香と味のバランスがあって、思わず引き込まれました。今年のも、なかなか良かったのですが、インパクトは弱かったかな。

 今年、良かったのは、サンテステフという川沿いのエリアのワインです。いくつかのワイナリーがあるのですが、全般にほっこりとしたワインに仕上がっています。メドックの少し南になるのかな。土壌が独特なのかも。ほどよくまとまっていて、とげがないっていうのかな、果実というより野菜みたいな。そんな穏やかなワインがそろっていました。

 って、どこが気候変動の話なのか、といえば、実はこのボルドーも気候変動の影響を受けているという話です。

 全体的な印象としては、今年のワインは(といっても寝かせてあるので、収穫は数年前)、良く言えば味がのっているワインでした。果実味もあるし、味もしっかりあって、気安く飲みたい、そんなワインです。逆に言うと、気品が少し足りないかな、あるいはちょっと雑かな、と。

 でも、ワイナリーにしてみれば、毎年気温が上昇していて、ブドウの品質が変わってきている中で、工夫してワインをつくっているので、味も変化しているということでした。収穫時期なんかも変わってきているし、熟成の期間も変化している。もちろん、ワインは年ごとに味も変わるのですが、一方的に温暖化しているということは、そこに対応していかなくてはいけないということでもあると思うのです。そして、気温上昇を言い訳にするのではなく、それでも以前より品質の高いワインをつくろうとしているということです。

 そうした中で、今回のボルドーのワインから感じるのは、気品よりも生命力だな、と思いました。

 気候変動問題においては、ワインは小さな問題かもしれません。でも、1.5℃上昇のワインというのは、私たちが気温上昇をどのようにとらえればいいのか、そのことを教えてくれるのだと思います。

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