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愛しいダミ声おじさん【思い出野郎Aチーム】


「ダンスには間に合う」


初めてFM802でこの曲を聴いた時、夫の運転する車の後部座席でスマホをポチポチしていた。あまりの素敵な世界観に引き込まれてしまい、曲が終わったあと「ちょっと!!!!この曲何や?!?!」と前のめりに夫に聞くと「知らん、知らんけど最近めっちゃ流れるねん」と返ってきた。ちょうどDJも「最近めっちゃリクエスト来る」と紹介していた。

2009年の夏、多摩美術大学にて結成された8人組のソウルバンド。2015年、mabanuaプロデュースによる1stアルバム「WEEKEND SOUL BAND」を、2017年に2ndアルバム「夜のすべて」、2018年には初のEP「楽しく暮らそう」をリリース。そして2019年、待望の3rdアルバム「Share the Light」をリリース。
Negicco、lyrical school、NHKの子供番組「シャキーン!」への楽曲提供、ドラマ「デザイナー 渋井直人の休日」のオープニングテーマ担当や、キングオブコント2018王者のハナコの単独ライブにジングルと、エンディングテーマ「繋がったミュージック」を提供、メンバーそれぞれがDJ活動を行うなど、多岐にわたって精力的な活動をしている。

公式ホームページより

正直ソウルバンドに対して、そんなに造形が深いわけでもなく、フェスで盛り上がるような4つ打ちロックバンドばかり聴いていた私。そんな私がドハマリした思い出野郎Aチーム。正直、世間に認知度が高いわけではないし、華のあるバンドではない。

ゴリッゴリの重厚感のある日本人ソウルバンド。

ボーカルの高橋一さんの世界一愛おしいダミ声と、安定感があるのに楽しくなって体が自然と動いてしまうような演奏。この当時の私の重い重い心を金属バットで2ベースヒットを打つようにぶっ飛ばしに来た。

私事だが、周りより結婚も出産も早かった。
大学卒業後25歳で結婚、27歳で出産。
トントン拍子に進む人生のステップに心が追いつかなくなっていた時代。それでも2人目も産まれて容赦なく子供は大きくなるし、連日保育園からは「お熱出てます〜」と会社に電話がかかってくる。その当時はまだギリギリ見ていたFacebookには未婚の同級生がディズニランドや海外ではしゃぐ写真が投稿され「もう誘われすらしないんだな(行けないけどな)」とセンチメンタルになって夜に1人安酒を飲んでいた。

今夜ダンスには間に合う 
散々な日でも ひどい気分でも
今夜ダンスには間に合う 
分かり合えなくても 離れ離れでも
今夜ダンスには間に合う 
何も持ってなくても 失くしてばかりでも
今夜ダンスには間に合う 
諦めなければ

そんな私もダンスに間に合うのだろうか。そもそもダンスって何だ。友達との旅行、飲み会、夜遊び。多分もう私はFacebookでビーチで笑ってる友達と同じステージにはもう上がれないし、本当に羨ましいのだろうか。Facebookの中にいるキラキラした友達=ダンスではない。私の中のダンスって何だ。今も答えは見つからない。でも子供達が元気に毎日過ごしていること、ごくたまに友達と立呑で飲んだり、ライブに行ったり。小さなダンスには間に合ってるだな、と自分を自分で褒めてあげてる。

そんなこんなで未だにドハマリしてる思い出野郎Aチームの曲を何曲か紹介したい。


「週末はソウルバンド」

「私の彼氏は 才能もないのにバンドなんかやって〜♪」と始まるダミ声おじさんの歌は勿論最高of最高なんだけど、この曲は演奏もめちゃくちゃいい。全体を通して凄くシンプルな構成なんだけど、各楽器のソロパートがめちゃくちゃいい。SAX、ホーン、キーボードとしっかりソロパートが設けられていて、どうしてもボーカルのイメージが強い「バンド」という存在において、しっかり演奏によって実力が裏付けされている思い出野郎Aチームの良いところが凝縮されまくった名曲。調べてみたら、メンバーの皆さん平日は会社員らしく、週末に集まって楽しそうにセッションしてるお姿を妄想してニマニマしちゃう。

「逆にパワー」

朝の子供向け番組「シャキーン!」で初めて逆にパワーを聴いた時、鼻血が出そうだった。朝7:00〜の子供番組に思い出野郎Aチームが出とるやんけェ〜!この頃はまだ司会が百恵ちゃんの時代で、到底子供とは思えないパワフルな歌声が印象的だった。それがまさかの!まさかの!いや、まさかの!思い出野郎とコラボーーーーーー!そもそも「シャキーン!」がかなり攻めた音楽番組で、ハンバートハンバート、MOROHA、キュウソとか民放でもなかなかお目にかかれない素晴らしいアーティストがじゃんじゃん出てくる。それで!まさかの!思い出野郎!私の趣味しか勝たん!ダミ声おじさんと子供(しかも)の組み合わせってなかなか難しいと思うんだけど、百恵ちゃんのとんでもない歌唱力がダミ声おじさんと凄いパワフルな良いコラボ。そして音楽全体がハッピーで爽やか!これもやっぱり演奏の素晴らしさあってこその絶妙さ。これはYou Tubeがないので、各々各自のサブスク等で聴いてみて。

最後に

今年のフジロック、残念ながらダミ声おじさん(すみません最後まで失礼ですよね、高橋さんです。大好きです)とトロンボーンの山入端さんの体調不良で出演がキャンセルになった。会社員をしながらバンド活動を続けていくのは本当に大変だと思う。正直活動が少ない時期があってめちゃくちゃ心配した。それでも年に1曲でもいいから新曲を出して、いつまでもいつまでも、この素敵なソウルバンドを続けていて欲しい。いつか思い出野郎Aチームのライブに夫と2人で行くことが「ダンスには間に合う」の1つだから。

追伸、ダミ声おじさんなんて言ってるけど明らかに同世代です。申し訳ありませんでした。大好きです。