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評価経済社会における音楽ビジネス論【これから、音楽でどう生きる?】

こんにちは。
作曲家の天休です。

今日はちょっとお硬い話をさせていただこうかと思います。

今日のテーマは「評価経済社会における音楽ビジネス論」です。

評価経済社会とは、岡田斗司夫さんが1998年に提唱した貨幣経済社会の次の時代の社会システムのことです。

いま、まさに僕たちは次の時代へと踏み入れようとしています。

そんな激動の時代に、社会はどうなっていくのか、音楽はどうなっていくのか、今自分が考えていることをまとめさせていただきたいと思います。

ぶっちゃけ自分もそこまで上手くいってないので、そんなエラそうには話せないのですが、ご参考になれば幸いです。

それではいってみましょう!

1.いま、私たちは巨大なパラダイムシフトの渦中にいる

いま私たちは、人類が史上2回しか経験していない巨大なパラダイムシフトのど真ん中にいます。

パラダイムシフトとは価値観の変遷のことです。

最初のパラダイムシフトは農業革命です。

それまでの狩猟時代に終わりをつげ、一か所で大人数で暮らすようになり、コロニーでの役割=身分が生まれました。

次のパラダイムシフトは産業革命です。

それまでの身分制度が終わりをつげ、職業選択の自由が生まれ、すべてがお金で交換可能になりました。

そして今、私たちは情報革命の真っただ中にいます。

それほど激動の時代に、私たちはいるのです。

情報革命はインターネットの発達によって引き起こされました。

今までの貨幣経済的価値観は、お金を稼ぐこと=幸せでした。

年収○○円になって、高級車に乗って、ブランド物の服を着ることが幸せの象徴でした。

しかし、それがどうやら嘘であるということが分かってきてしまったのです。

年収と幸福度を比較した研究では、だいたい年収700万円を超えてから、幸福度は頭打ちになってしまうそうです。

つまり、「お金を稼げば幸せになれる」という旧世代の価値観が崩壊しつつあるのです。

次の時代の価値観は「自分の気持ちを大切にする」ことです。

今までの物質的な豊かさから、精神的な豊かさへと変化しているのです。

会社がどうとか、世間がどうとかではなく、自分が快適か、心地良いかが重要になってきます。

パラダイムシフトが起こると、人類は前時代の価値観を理解できなくなります。

農業革命が起こり、狩猟生活が終わり、その日食べるものをその日に狩るという狩猟民族は蛮族と呼ばれるようになりました。

産業革命が起こり、身分制度が崩壊すると、前時代の人たちを身分制度に縛られていた自由のない人たちと呼ぶようになりました。

そして今、情報革命によってパラダイムシフトが起こり、価値観は「お金を稼ぐこと」から「自分の気持ちを大事にすること」へ変わっていっています。

今までは勤勉は美徳でした。

休みを返上して働くことは、社会に貢献し、尊敬されるべきことでした。

しかし、これからの時代では違います。

休みを返上して働くこと、つまり貴重な「自分の時間」を労働に費やすことは悪なのです。

こう言われると、納得される方も多いんじゃないでしょうか?

つまり、それだけ新しい価値観が芽生え始めているのです。

では、お金よりも自分の気持ちが大事になった社会では、どのようなものが必要とされてくるのでしょうか?

2.評価経済社会

自分の気持ちを大切にするということは、自分の人生を快適に過ごすということです。

裏を返せば、自分の人生における不安や悩み、不満を解決できる人が最も世の中から必要とされます。

実は、中世では、評価経済社会と同じように働くことが悪とされていました。

働きすぎることは、他人の利益を奪ってしまうという価値観だったからです。

なので、中世の人たちは時間があり余っていました。

かといってモノが豊富な時代ではありません。

なので、そんな中世の人たちの悩みは病気や死についてでした。

医学が未発達で、医者も信用ならない時代です。

死んだらどうなるのか、病気になったらどうすればいいのか?

その答えを教えてくれたのが聖職者たちです。

神父様は、祈りの時間を作り、善行をすれば天国に行けると、だから心配しなくて良いと言ってくれたのです。

そういう世の中の人たちの悩みを取り除いてくれる聖職者は人々から必要とされ、地位がとても高かったのです。

これと同じようなことが、現代でも起きようとしています。

あふれる情報とメディアの信用の失墜によって、何が正しいのかもわからない時代。

みんな自分の不安や悩みを解決する方法をどこに求めるのか?

それが、信用できる人々=インフルエンサーです。

本当に良いものを紹介してくれる人、本当に良い情報を与えてくれる人。

そういった信用のある人が今後ますます求められていきます。

そして、お金を稼ぐ時代は終わり、他人からの評価を稼ぐ時代=評価経済社会に遷移するのです。

これからは年収○○円よりも、他人からの評判が良いかどうかが重要になってくるのです。

ちなみに、信用はお金の上位互換です。

お金で信用は買えませんが、信用があればお金を稼ぐことはできますから……。

3.人類総フリーランス化

さて、調査ではコロナ後リモートワークの継続を希望している人は20・30代で6割を超えているそうです。

在宅勤務はますます一般化していくでしょう。

そうなると、フリーランスと会社員の違いはどうなってくるのでしょうか?

企業の目線からすると、会社員は会社に所属させて、育てることができるのがメリットです。

逆に、どんなに仕事をしなくても、固定給を払い続けなければならないというのがデメリットです。

フリーランスは、プロジェクトごとに仕事を振ったり、すぐにクビにできる使いやすさがメリットです。

逆に、いつバックレられるか分からないという信用のなさがデメリットです。

つまり、信用さえあれば、フリーランスは最も企業にとって使いやすい存在なのです。

信用を稼ぐ時代では、信用のあるフリーランスが活躍します。

ひとつの会社に長く勤めるという時代は終わり、複数の会社や仕事を掛け持ちするのが普通になるでしょう。

そして、どんなに学歴があっても、信用のない人には仕事が全く来ない時代になるのです。

4.評価経済社会における社会システム

評価経済社会では、旧時代とお金の流れが逆転します。

岡田斗司夫さんは書籍の中でこう書いています。

「消費者→経営者→社員」というお金の流れが逆転し、「社員↔社長↑(FREEのコンテンツ)→消費者」んが、もう既にたくさんあります。

そう、オンラインサロンです。

オンラインサロンでは、サロンメンバー(社員)がサロンオーナー(社長)にお金を払うことで成立しています。

そして、そこで制作されたものはほとんど無料で一般の人に公開されます。

「えんとつ町のプペル」などが良い例です。

このオンラインサロンの仕組みが、今後ますます一般化していくと思います。

まぁ、ただオンラインサロンという名前はダサいので、サークルとかグループのようなもっと気軽な名前になるかもしれませんが……。

そしてこの流れは、今まさにコロナで加速しています。

5.閉じたインターネットの時代

オンラインサロンが一般化する理由はいくつかあります。

まず、閉じたインターネットの時代が来るということです。

インターネットの発達で、これまで出会えなかったような人とも交流できるようになりました。

しかし、裏を返せば、今まで出会わずに済んだ悪意のある人とも出会うようになってしまったのです。

インフルエンサーは、有名になればなるほど、悪意のある人とも出会わなければならなくなります。

そうすると、インフルエンサーは「本当に自分の情報を求めている人たちだけに情報を届けたい」と思うようになります。

つまり、無料で情報を提供するのをやめ、オンラインサロンを開設し、お金を払ってでも自分の話を聞きたいと考えている人たちに向けて情報発信をするようになるのです。

そしてその方が、同じ価値感を持っている人たちが集まるので、再生回数やチャンネル登録者数を気にせずに、よりディープな内容を発信できます。

ちなみに、いままさに、その流れがかなり来ています。

ブログやYouTubeで落ちている無料の情報は、どんどんゴミのようなものになっていきます。

本当に自分の人生に役立つ有益な情報は、お金を払わないと得られなくなってきているのです。

そして、オンラインサロンが流行するもう一つの理由はコロナです。

コロナになり、在宅勤務者が増え、人との交流の場が少なくなりました。

それでも、人間はポリス的動物なので、ZOOMではなく、人との実際の交流を求めます。

そこで需要が高まるのが、オンラインサロンのオフ会です。

広く一般の人が集まるイベントはやりづらいですが、サロンメンバーだけの少人数で集まるイベントは今後もっと増えてくるでしょう。

仮に何かあったとしても、サロンメンバーの身元が分かっているので対策も取りやすいです。

このように、閉じたインターネットの時代がますます加速します。

どこのオンラインサロンにも所属せず、自分の意志を表明できない人は恥ずかしい人間だという価値観にすらなるかもしれません。

6.で、いま私たちは何をすればいいの?

ここまでお話したことはSFでも何でもなく、今私たちが実際に直面している事実です。

しかし、今は貨幣経済社会と評価経済社会のちょうど移行期です。

どちらかだけでは生きていけない苦しい時代です。

この時代、僕たちがやらなければならないのは評価への投資だと思っています。

お金でお金を稼ぐのではなく、他人からの評価を稼ぐのです。

他人から信用をもらう方法は大きく2つあります。

①ギブギブ&ギブ

②毎日発信する

です。

ギブギブ&ギブは、他人に何かを与え続けることです。

別に見返りを求めているわけでも何でもなく、他人の幸せを本気で考えて行動するのです。

音楽で言えば、それは良質な音楽かもしれないし、音楽知識かもしれないし、楽器の練習方法かもしれない。

それを他人に与え続け、他人の役に立つことによってはじめて信用してもらえるのです。

2つ目の毎日更新も実は大切だと思っています。

信用できる人と言われると、どんな人を思い浮かべますか?

ひとつ大きいのは約束を守ることだと思います。

約束を必ず守る人は信用されやすいです。

そして、一番約束を守るのが難しいのは、そう自分との約束です。

誰もが、自分との約束を守るのは困難です。

明日からダイエットしよう、明日からタバコをやめよう、明日から勉強しよう……。

でも、誰にも迷惑が掛からないので、みんな「まぁいいか」と言って挫折します。

しかし、毎日更新をしている人は、そんな「まぁいいか」を乗り越えて自分との約束を守り続けている、誠実さの象徴になるのです。

それだけでなく、評価経済社会では、発信していない=存在しないのと同様です。

他人に影響を与えず、他人からの情報をもらってばかりいる人は、お金ばかり消費する穀潰しのような扱いを受けるようになってしまうかもしれません。

7.僕の当面の目標

こういう時代なので、「劇伴作曲家になるために事務所に入りたいです」と言っている人を見ると「やめとけ!」と言いたくなってしまうのです。

それは明治維新のときに「将来、立派なサムライになりたい!」と言っているようなものです。

もう、そういう時代は終わったのです。

映像コンテンツはますます、低予算で良いものを作る志向になります。

視聴率が伸びるか、お金になるか、ではなく、評判が良いかどうか、感動が与えられるかどうかがカギになってくるのです。

そういう意味で、どんどん自主制作や、スポンサーを必要としない作品が台頭してくると思います。

なので、いま事務所に入ってコキ使われるぐらいなら、自分で作品を作って発信していった方がはるかに良いと僕は思うのです。

それを踏まえたうえで、僕の当面の目標は毎月500円払ってくれる天休ひさしファンを400人集めることです。

そして、僕はその人たちのためだけに音楽を作り、情報を発信していきたいと考えています。

プロデューサーやスポンサーの顔色を気にせず、ただ良質だと思えるコンテンツを作り続けます。

いろんなオンラインサロンを見る限り、毎月500円払ってくれる人の割合はYouTubeチャンネル登録者数の1%程度っぽいです。

なので、僕の目標はYouTubeチャンネル登録者数4万人ということになります。

めっちゃ遠いなぁ……笑

8.評価経済社会を生きる人たちが求めるもの

さて、最後に評価経済社会で売れる音楽についても考察しましょう。

そのためにはまず、評価経済社会を生きる人たちが求めるものを知る必要があります。

評価経済社会を生きる人たちが求めるもの、それは自分の人生を豊かにしてくれるものです。

まずは健康への投資です。

快適な人生を送るために、運動を習慣にしたり、定期的に検診を受ける人が増えるでしょう。

そして生活環境への投資です。

ドラム式洗濯機や、ルンバ、食洗器などを購入し、「唯一無二の自分の時間」を増やす人が増えると思います。

また、観葉植物やインテリア、ディフューザーなどを買って、自分の居心地のいい空間を構築することの価値が増大します。

食事に投資する人も増えるでしょう。

美味しくて、健康志向で、ちょっぴり贅沢なものの需要がますます高まります。

そして、一番大きのは、TV番組やYouTubeの衰退です。

そのうち多くの人が「なんとなくYouTubeでダラダラと見たくもない動画を見てしまった」とか「なんとなく点けたTV番組を見てしまった」ということが悪いことだという価値観が広まると思います。

なぜなら「唯一無二の自分の時間」を、浪費してしまっているからです。

その時間を削って、本当に読みたかった本、見たかった映画、やりたかった趣味に没頭することが、自分の時間を充実させてくれると考えるでしょう。

なのでVODの需要が加速します。

NetflixやHuluのように、お金を払って良質なコンテンツを見るという発想です。

お金を払って良質な情報を得るオンラインサロンと似ていますね。

そういう意味では、NetflixもHuluも、もっと言えば日本という国ですら、月額課金のオンラインサロンなのです。

9.で、どういう音楽が”売れる”のか?

というわけで、これから重要になってくるのは、どのオンラインサロン(月額課金サービス)に入っているかです。

そして、それが他人から見てどうみられるかが重要なのです。

オンラインサロンに入ることは、ある意味でそのオンラインサロンの価値観を支持しているということになります。

つまり、その価値観を支持しているのがカッコいいのか、ダサいのか、イメージが良いのか、悪いのかが重要なのです。

なので、これから求められる音楽はたったひとつ。

世界観(価値観)を提供できる音楽です。

そのバンドの音楽を聴いていることが、他人から見てカッコいいと思われるかどうかが重要です。

旧時代の人たちが高級車やブランド服で自分のステータスを高めていたように、評価経済社会ではどの音楽を聴いているのかがステータスになります。

「この音楽を聴いている私ってオシャレ」と思わせるような音楽が売れる(ちなみに"売れる"というのは旧時代の価値観です笑)のだと思っています。

おわりに

いかがだったでしょうか?

今日は「評価経済社会における音楽ビジネスの話」をさせていただきました。

今回のお話が、荒唐無稽な話であると断罪するのは自由です。

しかし、今明らかに時代の変化が来ていると感じている人は、信用への投資を始めても良いかも知れませんね。

というわけで、長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

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それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!



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