スマホで撮影した写真が世界を救う「Cow」のビジネスモデル

写真を通じて世界から貧困をなくそう!というコンセプトで、2017年7月に『Cow』というアプリがカンボジアでリリースされました。

このアプリは、開発途上国のBOP層の人々が、スマホで撮影した何気ない日常の一コマの写真を販売できるシステムです。

アプリ内で2ドルから販売可能で、販売されている写真を先進国の人々は気軽に購入することができます。(月額料金、出品費用、クレジットカード手数料など一切不要)

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このアプリは、社会貢献をしたいと思っている先進国の若者にとって、写真を通じて社会に貢献できる新しい形です。

そして、『Cow』のビジネスモデルはBOP層の間で急速的に広まっているスマホの普及をうまく活用しています。

BOP層とは

年間所得が、3,000ドル以下の低所得層はBOP(Base of the Economic Pyramid)層と呼ばれ、開発途上国を中心に、世界人口の約7割を占めるとも言われています。
BOPビジネスとは、途上国のBOP層にとって有益な製品・サービスを提供することで、当該国の生活水準の向上に貢献しつつ、企業の発展も達する持続的なビジネスです。
(参照 JETRO)

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『Cow』が、BOP層に着目しているのは、
・開発途上国の人々の生活を向上するため
・BOP層の市場価値が非常に高いから
などの理由が、挙げられます。

BOP層に着目して、ビジネスを行っている企業はたくさんあり、日本の大手企業だと『住友化学、ヤマハ、ホンダ、味の素』などがこの市場に参入しています。

BOP層に対してビジネスを行うことで、
・企業は利益を得ることができ社会貢献もできる
・現地の人々にとっては生活の質が向上する
という『Win-Win』の関係性を成り立たせることができるため、BOPビジネスが今注目されています。


Cowの強み

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①寄付だけで成り立つプラットフォームじゃない

Cowのようなサービスがあることで、開発途上国の人々はスマートフォンなどの身近なものを使ってお金を稼ぐことができます。

しかし、ただ写真を撮れば簡単にお金を稼げるという訳ではありません。

Cowの代表取締役社長である大木大地氏は取材に対してこう答えています。

何もしないで一方的にお金が回ってきますというような寄付だけで成り立つプラットフォームは作りたくはなかったんです。きちんと先進国のユーザーに写真の良さやストーリーを伝えないと写真を売って収入を得ることができない。そういった売り手の努力も必要なプラットフォームを作り出したくて、現在のビジネスモデルに至りました。
出典:http://asenavi.com/archives/18098


②カンボジアでのリリース

このアプリの強みは、カンボジアでリリースを開始しているところだと思います。

国際通貨基金(IMF)によるカンボジアの成長率を見ると、非常に成長見込みがある国だと分かります。

そのため、スマホの普及率は今以上に多くなることが予測できるので、アプリに提供される写真の数も多くなってくるでしょう。

写真の数が多くなると、欲しいと思う写真に出くわす機会が利用者にとっては増えるため、このサービスの成長が見込めます。


③画像の希少性が高い

Cowの1番の強みとしては、画像の希少性が非常に高い点ではないかと思います。

画像を販売するというサービスを行っている企業は他にも多くありますが、画像の希少性の高さでいうとCowのサービスの方が上位ではないでしょうか。

カンボジアで生活している人が見ている光景を、先進国の人々は画像を通して見ることができます。

また、カンボジアの首都以外の場所に住んでいる人もこのアプリを利用することができるので、そのような場所の状況や生活を知ることができるのは非常に希少性が高い。

カンボジアに住んでいる人からすると、代わり映えのない日常の一コマかも知れませんが、先進国の人からすると新鮮で新しいものです。

写真のクオリティー自体は、素人が撮るので期待はできませんが、希少性という面では非常に高いのです。


まとめ

↑カンボジアの学生に対して『Cow』がインタビューをしている動画

『Cow』は、写真を通じて貧困の問題を解決することに繋がる新しい形です。

最近は「世界の問題に対して何か貢献したいけど、寄付という形だと実際にどのように貢献されているのか分かりにくい」という寄付に対するネガティブな声も多くなっています。

しかし、Cowでは写真を購入して貢献するという形なので利用者側も現地の写真を手に入れることができ、自分が携わっているという認識も生まれます。

他にも、写真を通じてカンボジアの文化や習慣を理解することができるので、新しい世界を知るきっかけにも繋がるのではないでしょうか。

このサービスは現在カンボジアのみですが、今後その他の国の貧困地域などでも活用できる可能性を秘めています。

『Cow』のようなサービスが生まれることによって、世界の問題が解決されていく事に繋がります。


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