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保育の見える化!動画配信を「クラス新聞」の代わりに|サールナートこども園の動画運用

 園児管理システムを導入するなど、ICTを活用した働きやすい職場づくりを進める佐賀県にあるサールナートこども園。2020年7月には、それまでクラス担任が月1回、制作していた「クラス新聞」に代わるものとして、動画配信アプリ「てのりの」を導入しました。働き方改革につなげる運用方法について伊藤先生・松藤先生に聞きました。

はさみの練習02

運用テク①
保育の見える化につながる動画を配信

 全職員がテーマにしているのは、「保育の見える化」。何を狙いとして自分たちが保育をしているのか、それに応じた子どもたち1人1人の成長の姿を保護者さまに見てもらえるように撮影しています。

 「例えば、はさみを使った創作あそびでは、曲線を切るときも持ち手を意識して(紙などの)切るものを回しながら切れるようになったとか。他にも、友だちとのやりとりや会話をのせて『みんなでこういう風にして解決しています』というように、ふだん保護者さまが見られないようなシーンをのせるようにしています」

 そう教えてくれたのは、年長クラスを担任する松藤先生。
 サールナートこども園では、(3歳以上の)以上児も未満児も、クラス担任が撮影。未満児は、もともと担任問わずいろいろな先生が撮影していましたが、その日の保育活動の目的を立てる担任の思いに沿ったシーンをつかめるようにクラス担任が撮影するようになったそう。動画とともにアップするコメントも、変化や担任の思いが伝わるように工夫が凝らされています。

コメント例

運用テク②
クラス担任の「配信したい」を叶える負担軽減作戦

 サールナートこども園は、クラスごとにグループコードを発行し、保護者さまにお知らせ。スマートフォンではなく、iPadを使って撮影・編集・アップロードを行います。

 「もともと園児管理システムを導入してから、子どもたちの出欠管理はPCやiPadを使って行っていました。なので、てのりのも各クラスにあるiPadを使っています。個人情報の観点からも教室内に私物のスマートフォンを持ち込むのは禁止していたので、ちょうどよかったです」

 伊藤先生・松藤先生によると、「『毎日更新』ではなく『週に2~3回の頻度で配信』」というように、気構えをしないことがポイントのよう。

1日の流れ(未満児)
○午前中
保育活動のなかで、「いま、いいな」と思ったときにクラス担任が撮影。
撮影は、クラスに1台支給されているiPadで。画面も大きいので楽々♪

○14:00~
職員室での事務仕事の時間に撮影した動画を確認、iPad上で編集し、アップロード。編集の負担も減らすため、カット編集のみでテロップはなし!
1日の流れ(以上児)
○午前・午後
午前中に撮影する未満児と異なり、以上児は1日の保育のなかで撮りたいシーンを撮影。

○15:00~
子どもたちが帰り、預かり保育と入れ替わる時間。
職員室に戻ってきてから、iPad上で編集し、アップロード。

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サールナートこども園の働き方改革!
『クラス新聞』に代わる動画運用

 てのりの導入を決めた2020年7月、サールナートこども園はちょうど毎月発行していた『クラス新聞』に代わる保護者さまへの情報発信を探していました。

 「『クラス新聞』は月に1回、カラーの写真に先生たちがコメントを入れてつくっていました。でも、写真だけじゃ伝わらないものも、動画にすることで育ちの前後を伝えられる。思い切って『クラス新聞』をなくす代わりに『てのりの』を入れたので、先生たちにとっては負担も軽くなり、より伝えることが楽しくなったかもしれない」

らいおん組

 しかし、園の文化でもある『クラス新聞』をやめることは、悩ましく大きな決断です。〝やめたくてもやめられない〟園もあるなかで、同園が保護者さまに伝えていたことは、園における働き方改革の重要性でした。

 「いま、園全体がいかに仕事の量を削減するか、働き方改革を進めています。てのりのを導入する前、2020年4月の時点で、『業務の改革をして、変えられるものは変えていきたい』と保護者さまにご協力を仰いでいました。だから、『クラス新聞』をなくすことに対して、変えることに対して、反対の声はあがらなかった」

 同園は2020年10月に最後の『クラス新聞』を発行。松藤先生のクラスでは、ある保護者さまから「新聞、ありがとうございました。てのりのを楽しみにしています。」という言葉をいただいたそうです。こうした背景を聞くと、同園がてのりので「保育の見える化」を大事にする理由がよくわかります。

サールナートこども園様01

ーー伊藤先生、松藤先生、取材にご協力いただきありがとうございました!

◎幼保連携型認定こども園サールナートこども園(佐賀県神埼市)
令和元年12月に開園から65年を迎えたサールナートこども園。「みんなにとって楽しく心やすまる共育・集いの場であるように」という園の理念のもと、よく遊び、よく学び、よく育つを大事にしている。園の日常や行事、友だちや先生との会話などをクラスごとに配信し、保護者さまから「普段見られない姿が見られてうれしい」と喜ばれていると教えてくれました。