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サニツ・浜下り

今日は旧暦弥生三日。
伝統行事であるサニツ(浜下り)にお義母さんと行ってきました。
おひなまつりとはちがうけれど、かつては女の人が浜に下りることをゆるされたのがこの日だったとのこと。
お弁当持ってピクニック&潮干狩りしたりするんだよ。
今では男性も女性も関係なくサニツを楽しみます。

私が島に来た頃は時期になるとアーサ(海藻・ヒトエグサ)を採ったり、貝や魚をとったり、わりと自由にみんなしていたんだけれど、
漁協ができてからは漁業権とかなんとかいろいろあって、とれなくなりました。
それでもサニツは、昔ながらの伝統行事なので、自分ちで食べるぶんぐらいなら大丈夫。
びくびくしながら採るのもへんだよね、
今日は堂々と採っていい日。

すこし歩いて、よさそうな場所をみつけて。

酒、水、お塩とお米。それからヒラウコウ(平たいお線香)には火をつけずに。
昨年同様にこの日を迎えられたことへの感謝。
今日、ここに来させてもらえたことへの感謝。
今日はたくさん遊ばせてね、のおことわりと、
これからも安全でおだやかな、ゆたかな海でありますようにとの祈りを。

毎週毎週、シーグラスを拾いにざぶざぶ海に入らせてもらっている私ですが、
サニツはご神事なので(そう教わった)
毎年きちんとさせてもらっています。
お義母さんは、できる人なんだけどこういうのはやらない。
それは、人目があるから。
なので、内地嫁の私が厚かましくも率先してやるのです。
今日は潮が干きはじめる前に来たからか、誰にも会いませんでした。

この海は、毎週末に夫と回る浜とはちがう場所にあり、普段あまり入らないので、新鮮です。ちなみにシーグラスはぜんぜんありませんでした。

今日はどんよりと曇り、写真が暗く写っていたので
目でみた景色と同じぐらいになるように明るさを加工しましたが、
手前側が緑っぽく写っているのがおわかりいただけるかと思います。
そう、この浜はアーサがいっぱい採れるところ。
・・・なんだけど、時期的にはもうとっくに終わっているはず。
だけど見渡す限りアーサがもりもり育っていて(育ちすぎなぐらい)
すこしいただいてきました。

片手の手のひらに乗るぐらい。根っこに砂が入り込むので、これをつくろうのに一時間以上はかかります。あ、お義母さんだったらもっと早いはず。写真は、きれいにした後のもの。どうか、ジャリッとしませんように。

天ぷらにもしたいけど、一瞬で食べ終わってしまうし、かき揚げにしようかな。あとは少し残しておいて、だし巻きにしよう。


不思議としか言いようがないのですが、
私は島に来てからこういった祈りの場に立ち会うことが多くありました。
来たときは結婚もしてないただの内地の人だったのに、なぜか島の人からいろいろと教わるようになり、そのうち「あの人をこの場所に連れていきなさい」と言われたりすることが増え、線香をバーナーで点けるようにもなりました。
(今日は竜宮のかみさまへの線香なので火はつけなかったです)

だからといって私にわかることなんて何もありません。
霊感とか、審神者とか、そういう能力もありません(いや、ないと言うのもアレなので、とくに秀でたものはないと言っておきます)。

でも、わからないのがいいのかもしれないな、と思うのです。
わかろうとして調べものをするより、知識を入れるより、
その場で感じることをただ、素直に受けとっていくこと。
『感じる』『感じない』に素直であること。
感じられないのに、無理をしようとはしないこと。


素直でいることしか、できない島なのかもしれないです。
自分に正直でいることしか、できない島なのかも。

素直にならざるを得ないこの島にいて、なおも自分を無視したり、拒絶したり、向き合おうとしないとき、
そのとき、かみさまが何らかの、強めのメッセージを送られるのかもしれない。

10年いても、まだわからないです。
嫁になっても、まだわからないです。
わかる日が来るかどうかも、わからないです。

それでも、感じることをただ素直に受けとっていこう。
そう思います。

これから夫と一緒に、サニツの恵みをいただきます。




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